2017-02-27 12:06 追加
いつかは日本人選手だけで日本一 ジェイテクト・増成一志監督
インタビュー
SV男子
ジェイテクトSTINGSの増成一志監督のインタビューです。現役時代からいろいろなチームを経験してきた苦労人(詳しくはプロフィールをご覧下さい)。後半はスーパーリーグ構想や、思い出話をお聞きしています。
——さて、話題を変えます。(2016年9月にVリーグ機構が発表した)スーパーリーグ構想についてはどう考えられていますか?
増成監督:会社は別として私自身の考えですが、日本のバレー界というのは企業スポーツとしてバレーが成り立っているところがあると思う。Vリーグ機構からスーパーリーグ構想について発せられた時、バスケットボールのBリーグの開幕もあって、焦りがあったのかなと思いました。しっかりした下地もできないうちに、こういう構想がバレーにもあるんですよと、メディアに問いかけたかったのかなと正直思いました。
企業スポーツで、各企業が支えてきた。スーパーリーグをやるのは当然いいんですけど、もっと各企業のトップとバレーのトップの方々が話し合って、もっときめ細かなところをきめていかないといけないと思います。プロ化して本当にいいのかとか。
——それで、収入が減ってしまたったら、選手には魅力にうつりませんもんね。
増成監督:やはり他のチームも企業スポーツとしてやっています。私たちのチームも、リーグ中もリーグ前もそうですが、ずっと仕事しているわけですよね。職場の人たちの関わりだったりとか大切に思っている。
——特にジェイテクトはそうですよね。
増成監督:どこにいってもジェイテクトを応援してくれるひとたちがいますし、大切にしていく。スーパーリーグになった時は、仕事の量を減らすこともあるかもしれない。基本的には、会社の人たちの全面的なバックアップの中で企業が一体となって、日本一を目指してやるんだぞという中で、プロ化という話は企業も同じだと思う。プロの選手もいるんだろうけど、企業のバックアップも必要だよと。もう少し話し合いが必要だと思う。
——あまりにも期間が短いですかったもんね。
増成監督:そりゃ二ヶ月くらいでできないでしょ。って。そういうところは漠然しすぎたかなと。
——いずれにしろバレー界の少しでも底上げしたいという焦りを感じます。バスケにしてもBリーグができてただ、決して順調かどうかまだわからない。ラグビーだって模索して。バレーがどうやって成立できるか、模索していく。というのはわかるんですけど。
増成監督:ひとつ思うのは、ぜったい海外に選手を出さないといけない。こういう企業の理解も踏まえ。僕もヨーロッパのバレーボールを見にいったりするんですが、やっぱり背の高さが違う。バレーのネットの高さ243センチが、背が低いから220になるわけでない。背が高い選手が当然有利。高いブロックに対して、例えばアタッカーだったら、瞬間的に打つスペースをどう見つけていかないといけない。低いブロックだったら、指先を狙えたりもある。もっと高いブロックが来た時、ジャンプして、打つ選択肢をコントロールしていかないといけない。この経験というのは、日本ではできない。
——カジースキ選手を見てて思うのは、203センチありますけど、ヨーロッパでは低いですよね。
増成監督:ですね。
——カジースキ選手を見ていると、プレーが冷静そのもの。無理して強打しない、ブロックつかれてもきっちりワンタッチとりにいく。決して高さに頼ってない。我々のメディアの問題もありますが、ひとくくりに高さがあるからとしがちですが、そもそもカジースキ選手は助走スピードもあまりないなかで打点が特別高いわけでない。でも、二枚の間を抜いたり、ストレート抜く。三枚来たらワンタッチとりにいく。あの高さであんな冷静にプレーされたら、どうしようもないなと思います。
増成監督:僕はカジースキとイタリアのトレントに、2016年4月に行って一緒にトレーニングしたんですけど、カジースキが小さくみえますからね(笑)。そのなかでも、ヨーロッパのセリエAの中でやっていってるといことは、そういった高い技術を持っている。そして彼はミドルもオポジットもこなし、アンダーユースの時にセッターもやっていた。そして、ここぞという時はやはり違いますよね。ここは点を取らないといけないという時は、踏切がちがいます。ここは点取らないという時は助走も強いし、すごくジャンプもする。試合の流れの時、ブロックがきてもこれはいけるなという時は8割くらいで決める。自分の体をコントロールしながらバレーをしていますよね。日本の選手は逆に常に全力で打ちにいく。
よくカジースキが言うんですよね。「なんで、今のトス打たないの?」って。
——あ、うまいですよね。どんなトスでも対応しますもんね。
増成監督:その時に彼が言っているのは、「お前トス信用してるの? 俺は信用していない」どういう状態でトスがきても、(アタックの助走が)3歩のところを2歩にしていくし、3歩で入れるトスならはいるし。
——それは思います。日本人のアタッカーってセッターに対してわがままかもしれませんね(笑)
増成監督:そうなんです。これからの大学生(バレーボーラー)はやはり海外で学んでいかないといけないなと。日本でも当然学ぶことはできるけど、世界はこうなんだという経験を一度でも海外だして、経験させるのは大きい。こういうプレーじゃだめなんだ、こういうのが必要なんだ、日本では決まるんだけどという経験をつむ。五輪のメンバーに入った時、日本で練習することが多いと思うけど、常にそういう意識を持っていかないといけない。チャンスがあれば、石川祐希選手(中央大学3年)みたいに短期でもいってほしい。各企業にやってほしいし、ジェイテクトもそういうところは、認めてくれると思う。
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