2016-09-19 09:30 追加
バレー新リーグ「スーパーリーグ」構想 18/19シーズンから
スーパーリーグ構想
SV女子 / SV男子 / V女子 / V男子
Vリーグ機構が18・19シーズンを目標に新たなリーグ「スーパーリーグ」の立ち上げを計画していることがわかった。新リーグに参加するチームは、バレーボール事業が主体の独立法人である必要があり、チームの実質”プロ化”だ。既にVリーグに所属する男女チームに説明を行った。20日に正式に発表する。新リーグ参入チームは、11月末までに表明し、来年4月末までに地元自治体の協力やスポンサー獲得などを取り付ける必要がある。日本のバレーボールリーグは、過去にプロ化を図ったことがあったが、とん挫した過去がある。今回再びプロ化へ舵を切り、無事に出航できるのか、日本のバレーボール界は大きな正念場を迎える。
Vリーグ機構が大変革を掲げた。現行のVリーグとは切り離した「スーパーリーグ」の立ち上げを構想する。リーグ参加チームは男女共、最低6チームから最大12チーム。10チームを超える場合は東西地区に分けたカンファレンス制も視野に入れる。2018年秋の開幕を目指す予定だ。 スーパーリーグが開始した後、入れ替え戦は当面実施しない。また、Vプレミアなど現行のリーグは存続する。
参加チームはバレー事業主体の独立法人
新リーグと現行のリーグと大きく異なるのは次の3点。参加チームはバレーボール事業を目的にした独立法人のみ、チーム運営の独立採算制、ホームアンドアウェイ制度の導入など。チームのプロ化を求めるが、選手は当面、雇用形態に幅を持たせる。プロ契約だけでなく、企業から出向の形も認める。ただし、監督はプロ契約のみ。
一番大きな点は、独立法人化によるチーム運営。地元開催の試合では、自由に運営を行ってよい。現在は興行権を開催地の都道府県バレーボール協会に与えている。新リーグでは興行権をチームに与える。例えば、これまで認められていなかった、試合会場にスポンサーを誘致してブースを置くことなども可能になる。チームをプロ化することで、運営に責任を持たせ、収益を意識させる。当然、試合会場に観客をよびよせる営業努力が必要。そして、チームは魅力的な試合や勝利を見せることで、足を運んでくれた観客を満足させる。最終的にはリーグ全体のレベルアップに繋がる可能性はある。
チーム名には企業名を残してもよいが、必ず地域名を入れなければならない。
選択迫られる実業団チーム
ただ、独立法人化となると、Vプレミア所属の多くのチームは、大きな選択を迫られる。堺ブレイザーズや岡山シーガルズこそ条件に沿ったクラブチームだが、他は豊田合成、ジェイテクト、パナソニック、サントリー、JT、東レ、NEC、日立などと特定企業を母体にした実業団チーム。新リーグ参加となると、新たに別会社を立ち上げる必要がある。各企業がその手続きを踏んでまで、新リーグに参入するのか、現時点では不透明だ。
また、選手側にとっても、大多数が社員選手であり、安定した収入が保証されている。現状以上の収入が保障されないならば、選手には魅力に映らない可能性がある。
一方で、堺ブレイザーズや岡山シーガルズ、Vチャレンジに多く所属するクラブチームには大きなチャンス。これまで以上に、運営努力が自分たちの収益に直結する。
背景には危機感
新リーグ構想の背景には、リーグ側の危機意識がある。日本代表こそ、男子の石川祐希、女子の木村沙織など人気選手に支えられ、会場には観客が多く集まり、テレビ放送が多い。一方で、Vプレミアリーグの注目度は決して高くはない。1試合あたりの平均観客数は3000人前後で推移。テレビ中継では試合の地上波放送がほとんど無い。
もう一つの背景が、9月22日に開幕するバスケットボールのプロリーグ「Bリーグ」の存在。国内リーグは内部対立により、NBL(実業団中心のリーグ)とTKbjリーグ(プロリーグ)と分裂していた。しかし、国際バスケットボール連盟の介入や、日本バスケットボール協会会長に就任した川淵三郎氏(当時、現エグゼクティブアドバイザー)によって統一、Bリーグとして大々的に生まれ変わった。川渕氏はサッカーJリーグ開幕時に見せた剛腕をバスケットボール界でも披露し、Bリーグは各メディアから注目を集めている。Bリーグの注目が集まることで、今後、Vリーグの存在感が相対的に薄らいでしまう。
さらに、試合会場の確保の問題。VリーグとBリーグはシーズンの開催時期がかぶる。今後Bリーグの各チームが、収入源に直結する客席の多い体育館の確保に走るのは当然の流れ。各地域の大規模体育館を抑えられてしまうことで、Vリーグの試合会場確保に支障がでる可能性がある。また、スーパーリーグが始まるとなれば、ますます少ないパイの取り合いになるだろう。
プロ化へ最後のチャンス?
新リーグが実現すれば、自ずとチーム間の競争力が高まり、試合レベルも高まると思われる。注目が集まれば、観客やファンが増えるはず。プロチームの運営経験、収入源の確保など多くの課題にぶつかるとは思われるが、チームの経営自由度が広がる魅力は大きい。Vリーグの関係者は「2020年東京オリンピックまでは、代表人気は続き、バレーボールへの注目は一定集まる。その間にプロ化できなければ、もう二度とチャンスは来ないのではないか」と指摘する。約20年前に一度失敗したプロ化。果たして本当に実現するのか。11月末までVリーグのファンはやきもきする日々が続くだろう。
◎…突如表に出てきた新リーグ構想。各チームの反応は、もろ手を挙げて賛成とはいってない模様だ。鍵を握るのは、収入源の確保なのは間違いない。経営の自由度が高まるとはいえ、試合会場でのスポンサーブースや入場料収入は、現状の観客数に照らし合わせれば心もとない。やはり、放映権収入をどれだけ稼げるか。リーグとして多額の放映権収入を確保できれば、各チームに多く分配できる。現状、テレビの放映はNHKがほとんどで、試合数も多くない。今シーズンは、英国パフォームグループが日本で運営する有料スポーツ動画サイトDAZN(ダ・ゾーン)で全試合視聴可能だが、Jリーグが得た放映権料2100億円と比べると、非常に少ない。新リーグ構想を多くのメディアに取り上げてもらい、リーグ戦の地上波放送を少しでも増やしてもらうためにも、リーグ機構側も価値を高めるための営業努力がこれまで以上に求められるだろう。
取材・文:大塚淳史
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コメント
[…] 「バレーボールマガジン」 http://vbm.link/12112/ 「サンスポ・コム」 […]
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山田太郎 [Website] 2012.04.20 13:00
危ない橋ですね。しかし前に進まなければ衰退はするでしょう。もう少し工夫しないと失敗するでしょう。