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インタビュー

2017-05-08 12:00 追加

新監督に聞く 久光製薬スプリングス・酒井新悟監督

SV女子

──そもそもの話になりますが、最初に久光製薬スプリングスの監督を打診されたときのお気持ちは。

酒井:悩みました……ずっと男子畑だったので未知の世界ですし、正直、この伝統のあるチームで指揮を執る、ましてや女子バレー初めてということで相当な覚悟を持って決心しました。今でもプレッシャーありますけどね。(監督をやると)決断するにあたって葛藤がありましたが、いろんな状況がある中で部長や久美さんに相談して、どの形が日本のバレー界にとっていいのかと話をした上で、最後に久美さんが「一緒に」と言ってくださったので、久美さんがそう言ってくださるならと。1シーズンでも久美さんと一緒に戦わせていただいて学べる機会を持てたのは大きいことでした。なかなかそういった人の下でできることはないですから。中田久美さんと一緒に過ごせたこのリーグはこれからやっていくにあたって自分の財産です。

──リーグ中には難しい判断もあったように思います。長岡(望悠)選手を途中先発から外すなど……。

酒井:そうですね。今回はオリンピックが終わった後のリーグで、オリンピックに出た長岡(望悠)や石井(優希)は五輪後も世界クラブ(選手権)があってすぐにリーグと休みがない状態だったので見計らいながらで。長岡だけでなく石井も体調不良で途中で代えたこともありました。そのようにずっと戦ってきた選手をどこかで休ませながらうまく……との思いでやっていましたが、その判断がよかったのかどうか。私の中では結論は出ていないのですが、代わって出た選手がしっかりと仕事をしてくれていた。ので、勝敗だけを見るのではなく長い目で見て、途中で野本(梨佳)を起用していたから、長岡がけがをした後も活躍をしてくれたと思いますし。
このチームにはいい選手がたくさんいるので、固定ではなく、いいときにうまく選手を起用していきたいと思います。出場機会も少なくもったいないという選手もいるので、黒鷲旗(黒鷲旗全日本男女選抜バレーボール大会)では若い選手にどんどんチャンスを与えて黒鷲旗を優勝したいと思っています(取材は黒鷲旗前)。若い選手たちも久光製薬スプリングスのプライドを持って結果を残していくという思いでやっているので。その後の世界クラブ(選手権)は久光製薬がスポンサーでもあるので、世界を勝ち抜いていくための強化をして、しっかり
戦いたいと思います。

──オプションがいろいろ増えるといいですね。

酒井:そうですね。岡山シーガルズ戦で新鍋(理沙)をライトに置く形に変えてみて、長岡(望悠)がけがをした後はそれで戦いました。あの形は持っておきたい。また戻したときにも違う形、違うメンバーでもできるようにしておきたいですし、いろんな可能性を持った選手がいろんなことができるという、そういうことを想定しながらチームを作っていきたいです。

──男子と比べて女子での難しさや、逆に面白さはどんなところでしょう。

酒井:女子で難しいのは、メンタリティーで大きくスキルが左右してしまうということですね。私も初めはなかなか話す機会を持てずにいましたが、選手の方から声を掛けてきてくれて話をする中で、メンタリティーについては繊細に見ていかないといけないと思いました。また(女子は)一つにまとまったときにはすごい爆発力が出るんだなというのも感じました。練習の中での違いなどもあります。例えば女子では成功体験をたくさんさせることが多いです。
男子の場合はお互いに競争しあったりの部分が多いですが、女子の場合はそういうことも含めて成功体験をつけていったり想定練習の中でまとまっていったりというケースが多い。そういう持っていき方の違いはありますね。バレーボール自体は当然決定力が求められますが、その前のパスやディグの力が即試合に影響してくるので、ラリーをどうやって取るか。久光製薬スプリングスは元々パス1本に対する追求心がすごいですが、それは本当にやっていかないといけない、ちょっとした何センチかのパスのずれが、その後の攻撃で決まるかどうかに関わってくるので、ラリーに勝つためにパスは必須で追求していきたいです。

──酒井監督が思う久光製薬スプリングスというチーム、そのバレーの魅力は。

酒井:ほんとのプロ集団ですよね。勝つことへの執着心が素晴らしい。一つの負けに対する厳しさもその分すごいですし、悔しさやこだわりも強い。3連敗という苦しい場面がありましたが、お互いがモヤモヤしていたり、ぶつかりあっていたことをしっかりとみんなで共有できた後のチームというのは本当に素晴らしい力を発揮する。連敗の後4連勝してレギュラーラウンドを2位になれたのは大きかったです。
ファイナルステージで長岡(望悠)がけがをしてしまい、周囲の方々からは「ファイナル3」では長岡がいないなら負けても仕方ないみたいな雰囲気を感じましたが、うちのチームはそうではなくて「長岡の分まで頑張ろう」「誰が出ても勝つんだ」という思いで実際結果を残した。本当にそういうところはすごいところです。決勝も負けはしましたが、フルセット2つで。みんな最後まで諦めずにやってくれて、ある意味感動したというか、素晴らしい選手たちだなとつくづく思いました。だから本当に最後は勝たせてあげたかったです。

──最後まで諦めないというのは本当に感じました。「ファイナル6」のフルセット3試合、しかも0-2から逆転の試合もあり……。

酒井:そうです。2セット取られてからの逆転勝ち。一つでも負けていたら「ファイナル3」はなかったですから。それがチームなんですよね。そんな状況からでも取り返す。そういう粘りも久光製薬スプリングスの素晴らしいところです。

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