2012-12-09 03:07 追加
レゼンデが目指したバレーボールの姿 第2回
レゼンデバレーを分析するコラム・第2回。
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レゼンデが目指したバレーボールの姿 第2回
2章 北京オリンピックで見えた課題 -サーブ・レシーブがアタック・ライン付近に返球された時にMBの攻撃を機能させること-
前回、男子ブラジルナショナルチーム(以下、ブラジル)の北京オリンピックでの課題のひとつが「サーブ・レシーブがアタック・ライン付近に返球された時にMBの攻撃を機能させること」であった。
では、その頃のブラジルを含めた世界標準のMBの攻撃はどのような攻撃であったのだろうか。2008年・北京オリンピック前後までのMBの攻撃を振り返ってみる。
1.リカルド・ガルシアがいた頃のブラジル
リカルド・ガルシアがセッターの頃のブラジルは、ボールの返球位置に関わらず、MBはネットに近い位置で踏み切って攻撃をしていた。いわゆる「縦B」のような攻撃も見られた。リカルドのセット・アップ位置がネットから離れた位置からでもMBの攻撃を使うことができていた。言い換えれば、2006年頃までのブラジルはリカルドのセット・アップ力の高さ(個人技)でMBの攻撃を使っていたと言える。
2.ロイ・ボールがいた頃のアメリカ
一方、アメリカもブラジルと同様にMBはネットに近いところから攻撃をしていた。
当時、世界的にはこうしたMBの攻撃が「あたりまえ」であった。
ボールの返球位置に関わらず、ネットに近いところから攻撃を行なっていた。そのため、セッターがネットから離れた位置からセット・アップするときは、いわゆる「縦B」のような攻撃を行なっていた。
セッターのセット・アップ前に踏み切るマイナス・テンポの攻撃が多かった。
相手ブロックの横を抜くようなコンセプトでスパイクを打っていた。そのため、いわゆる「ターン打ち」のような攻撃が多く見られた。
セット・アップ位置がネットから離れている局面でMBの攻撃を有効に使えるかどうかはセッターのセット・アップ力によるところが大きかった。
当時のMBの攻撃のコンセプトでの代表的な選手は、ロドリゴであった。
こうしたMBの攻撃を有効に行うためには、比較的ネットの近くにファースト・タッチを返球するか、アタック・ライン付近からはセット・アップ力の高いセッターが必要であった。実際に、北京オリンピックではブラジルのセッターのマルセロと、アメリカのセッターのロイ・ボールとのセット・アップ力の差が見られた。アタック・ライン付近からでも前衛MBにセット・アップ出来るかどうかのセット・アップ力の差が勝敗を分ける要因のひとつとなったことは間違いない。
2008年の北京オリンピック以降は、相手のブロッカーよりも相対的に早く踏み切り「相手のブロッカーの上を抜く攻撃」が見られるようになった。(そのため、相手コートのエンド・ライン付近にボールが落ちるような攻撃も多く見られる。)また、サーブ・レシーブがアタック・ライン付近に返球されたときは、MBがネット際ではなく、離れて打つことで、セッターのセット・アップ力に頼ることなく攻撃を行うことができるようになった。
<レゼンデが求めたMBの姿>
ボールの返球位置によって、ネットからの距離を変えて攻撃を行なう。そのため、セッターがネットから離れた位置からセット・アップするときは、ネットから離れて踏み切る。いわゆる「縦B」のような攻撃はほとんど行わない。
セッターのセット・アップ直後に踏み切るファースト・テンポの攻撃を行う。
相手ブロックの上を抜くようなコンセプトでスパイクを打つ。
セット・アップ位置がネットから離れている局面でMBの攻撃を有効に使えるかどうかはセッターのセット・アップ力によらず、MBの踏み切り位置による。
次回は、レゼンデの取り組みから少し離れ、世界の国々がどのようなプレーを行なっていたのかを振り返る。
文責:手川勝太朗
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