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インタビュー

2019-04-26 07:00 追加

新鍋理沙「昨シーズンよりも戦術的なコミュニケーションが増えました」 V1リーグ初代女王・久光製薬スプリングス優勝インタビュー

SV女子

──シーズンを通して、2セットを先に取られてからフルセットで勝利したということも何度かありましたね。

新鍋:今シーズン、入りがよくないことが多くて、走られても中盤や終盤で追いつくということがありました。グランドファイナルでも、東レ(アローズ)は勢いがあり、久光製薬スプリングスがあまりいいバレーができていなかったので厳しい試合になりましたが、どれだけやられてもリードされても、みんなの気持ちが最後まで切れなかったことが勝ちに繋がったと思います。

──やはり、やってきたこと、積み重ねてきたこと、ずっと勝ってきた「久光製薬スプリングスはチャンピオン」という自信でしょうか。

新鍋:最後は、みんなの意地や負けたくないという気持ちが強かったのかなと思います。周りからは、『勝って当たり前』と思われてそんなふうに言われることも多いですが、勝つのは簡単じゃないし当たり前でもない。いろんなことを経験してつらいことも多いですし、シーズン中もいろんなことがあるけれど、勝つためにみんな準備をして日々の練習に取り組んでいるからこそだと思います。毎日の練習でも、チームで問題が起きた時にはナナ(岩坂名奈)を中心に全員がちゃんと問題解決のために考えていますし、それが「チーム力」だと思うから。

──やってきた中で、たいへんだったことは?

新鍋:「ファイナル8」で1位になってファイナルに進みましたが、「ファイナル3」を勝ち上がってくるチームを待つ時間の使い方やその間の気持ちの持ち方、練習への取り組み方です。昨シーズンは「ファイナル3」を勝ち上がって優勝したので、その勢いというのは自分たちが一番わかっているし、逆に、ファイナルに進んで、「ファイナル3」を勝ち上がったチームに負けたこともある(2014/15 V・プレミアリーグのファイナルでNECレッドロケッツに敗れ3連覇を逃した)。そういう最悪のことも考えたりしました。それを知らない選手もいるので、この「ファイナル3」の間の過ごし方がすごく大事だと。いい練習ができていると思う中でも、練習をすればするほど、『これで大丈夫かな……』みたいなところも出てきて、正直、(ファイナルへの)不安は少しありました。

──新鍋選手はチームに何か言ったり、伝えたりしたのですか?

新鍋:「ファイナル8」の最終戦の後、仙台からの帰りの飛行機が飛ばなくて、新幹線で帰ったので着いたのが夜中の1時前になってしまったんですが、次の日が休みだったので、その前に一回、選手で集まってちゃんと話した方がいいと思って、1時に体育館に集合しました。そこで私とナナ(岩坂)がファイナルに向けての過ごし方について、明日の休みの使い方や気持ちの持ち方など、一番大事なのは何かを考えなきゃいけないという話を15分ぐらいしました。みんなわかってくれていたと思いますが。

ファイナルラウンド1位でファイナルに進みながら負けた時のイメージが最初にすごく出てきて……。やるべきことがやれて負けたのならしょうがないと思えるかもしれないけど、あの時は何もできずに終わってしまったので一番悔いが残る試合だった。受け入れるのに長い時間がかかるくらいに。そういう経験はもうしたくない。そのとき出ていたメンバーもそれを忘れてはいけないし、知らない選手にもそういう思いはしてほしくない。私もナナ(岩坂)もそういう気持ちが大きくて……。

「ファイナル3」から勝ち上がってきた方が絶対に、試合勘や勢いも持ちやすい。ファイナルを先に決めて待つ方はコンディションを整えられるかもしれないけど、勢いに飲まれる可能性も大きい。負けた時はそんな感じだったので、そういうふうにはなりたくないから。

──そうですよね。あの時は新鍋選手も本当に悔しそうでした。そういった話し合いも含めて、今シーズン、久光製薬スプリングスがチームとして成長したと感じたところは?

新鍋:技術的なことでは、昨シーズンからリードブロックをやりはじめて、ミドル(ブロッカー)が遅れてもしつこく跳んでいいタッチを取ってくれたり、サイド(アタッカー)も、スタッフが指示も出してくれるので、クイックへのヘルプの意識などが高まったと思います。サイドとしては、「この選手はトスが速いからヘルプにはいけない」といったこともコート内でしっかり話せていたと思います。

「戦術的なコミュニケーション」がすごく増えました。昨シーズンより成長できた部分だと思います。後ろと前の関係も良かったですし、ブロッカーにこうしてほしいと後ろから要望したり、「ここをおさえるから抜けたところは拾ってほしい」と前から言ったり、そういうコミュニケーションが増えました。

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