2019-06-14 17:00 追加
カーテンコール 河合由貴 (前編)「自分の中で3年と決めてV1昇格の目標を達成できたことが引退の理由です」
SV女子
── チームがスタートしてから、いろんなことがありましたね。
河合:ほんとに……。最初の発足時は選手3人(河合、片下恭子、筒井視穂子)で「本当にチームできるのかな」と思いましたから。そこからトライアウトなどしてメンバーが増えていって。試合では初戦で大学生に負けたこともありました(2016年7月、天皇杯皇后杯兵庫県ラウンドで武庫川女大Bに敗戦)。
眞鍋(政義)さんや竹下さんという世界で活躍したバレー界のレジェンドがチームを作りました、という時点で注目されるじゃないですか。姫路城の前で選手発表会見をした時にもまだ8人ぐらいしかいなかった。そういう状況の中で大々的に発表して、自分たちが全然追いつけていないという不安もありました。名前だけがどんどんどんどん先に走って実力が全然追いついていない実状に不安しかなかった。頑張ろうという気持ちはあったんですが、自分自身も6年ブランクがあったし試合勘やいろんなものを取り戻す時間も必要だなと思っていました。でもそんなこと言っている暇ないぐらい必死でした。
──どのあたりがターニングポイントになりました?
河合:やっぱり天皇杯皇后杯の近畿ブロック予選(2017-18シーズン)が一番大きかったです。天皇杯皇后杯に出ないとV.LEAGUEに上がれるかどうかもわからない。絶対勝たなければいけないということで、1日で8セットしたんですよ(1回戦の近江高校戦2-0、2回戦の千里金蘭大学戦2-1、代表決定戦の帝塚山大学戦2-1)。私より年上の選手もいましたし、真夏、体力的なことなど大丈夫かなという不安もありましたが、ベテランの選手はいろんなことを経験しているから、最後は気持ち、それが前面に出た試合になりました。いつもなら落ちているボールが上がるし、みんなで試合してる感じで『ああチームになってる』とて試合をしながら感じました。やっとチームにもなれた、自分的にもちょっと戻ってきたかなと思えて、けっこう自信がついてきたという感じで、そこからですね。その後、地域リーグでも優勝。去年のサマーリーグでV1のチーム(デンソーエアリービーズ、トヨタ車体クインシーズ)に勝った。自分の中ではそれもすごく大きかったです。その2つでポンポンっていけたかなと。
──ポンポンとV1昇格も。
河合:はい。『絶対に上げないと』いう気持ちだけで。決まってホッとしました。だから、今は気が緩んでだらけてますもん(笑)自分でも『あ、だらけてる』って思います(笑)
──やっぱり相当きつかったですか、体と心と両面で。
河合:体は、けがしていたこともあったので……。前から右肘には違和感があったんですが、V2リーグが始まる2週間ぐらい前に全然伸びなくなっていろんな所が痛くなってきて、それで病院で検査をしてみたら「遊離体」。野球選手がよくなる遊離体が関節内に挟まって肘がロックされる状況になって肘が伸びなくて。レシーブでスパイクの衝撃で伸びちゃうと痛いし、でもリーグはもう始まるしどうしようと思って……。リーグが終わるまでは薬を飲んだり注射を打ったりしながらやろうということでやっていましたが、後半はもうほんとに痛くて。最後は気力でしたね。
日によって違うんですよ。『今日は伸びる日だ』『今日はあまり動きがよくないな』とか。それでトスも変わってくるし、サーブもよい時悪い時で差がでる。あまりサーブミスはしないんですが、けっこうミスが続くと、『やっぱり肘が悪いのかな』と思ったり、ブロックもブロックアウトされるじゃないですか。最後の方は自分にイライラして、もっとできるのに体が動かないからというもどかしさや、でも結果を出さなきゃいけないという思い、いろんな感情がごちゃごちゃでした。だから昇格を果たすことができてよかったです。ほんとによかったです。
──今振り返って思ってみても、ヴィクトリーナ姫路でもう一度バレーをやってよかったですか。
河合:復帰してよかったです。(ヴィクトリーナ)姫路はスポンサーさんあってのチームです。バレー界の中ではプロ選手というだけですごい、となりますが、でも社会に出ればそういうのは関係ない。すごいって思われるのは嬉しいですけど、『本当に応援してくださってありがとうございます』という気持ちが大きかったです。1回引退して社会に出て、選手じゃない普通の一般の生活や仕事を経験してチームに入ったのでよりそう感じられたのだと思いますし、意味のある6年間だったんだと思いました。
(後編につづく)
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