2021-03-22 17:00 追加
ぬのTのバレーボール技術論 動作から見た「ブロックシステム構築」への道 「空中姿勢」について
バレーボール技術コラム
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その2:空中姿勢を身につける
第1回は「ボールの通るコースとタイミングを予測し、そこにちょうどブロック面の空中位置を合わせる」でしたが、今回は、そこで作る「ブロック面」のイメージが大事ということと、その中身について説明したいと思います。
ブロックは「ボールヒットの瞬間に強固な壁になる」ことが動作のゴールであると言えます。
ブロックヒットの瞬間に腕を動かす人が多く、「空中で何かをする」というイメージを持っているようですが、重要なのは体のどこかを動かすということではなく、「その瞬間にブロック面がどんな形と角度で、どんな強度を持っているか」です。当たる部分がボールに飛ばされないように、「全身を使って腕をどのように固めるか」が「空中姿勢」のポイントです。腕だけではなく、全身への意識が必要になるのです。
この「ゴール=ブロックヒット瞬間の空中姿勢」がしっかりイメージできれば、そこに至るまでにどんな状態になっていようが構わないので、より遠くより高い位置により早く到達できるための「最適解」を試行錯誤で探求していくことができるようになります。
第1回でも紹介したセイエド選手のブロック姿勢ですが、ヒットの瞬間に「胸から上」は美しいほど真っ直ぐ安定しています。しかし、下半身は大きく横に流れており、「真っ直ぐ跳ぶ」というイメージからはかけ離れています。このような極端な姿勢を取りながらもブロック面につながる上半身がとても綺麗に整っているのは、ブロックヒットの瞬間にどうなっていればいいかという「ゴールのイメージ」がしっかりしているからです。「ゴールのイメージ」ができれば、全力助走からネットに平行に幅跳びしても、ヒットの瞬間に上半身で的確な「空中姿勢」を取ることができます。そして、下半身はバランスを取るために、意識しなくても結果として様々な形を取ってくれます。
逆に、「ゴールのイメージ」がしっかりできていなければ、「ネットに正対して・静止してから・垂直に」跳んだところで、空中姿勢がいい加減なものになり、的確な壁が作れず、ミスブロックになります。ブロック失敗の最大の原因は「ゴール=ブロックヒット瞬間の空中姿勢」をしっかりイメージできないことだと言っても言い過ぎではないでしょう。
ブロックの成功は、判断や反応の早さ、位置やタイミング、移動のステップ、ジャンプ、空中姿勢といろんなものがそろって初めて実現するわけですが、最後の「空中姿勢」がまずいと他の要素がどんなによくなっていっても「失敗」になってしまいますから、位置やタイミングはよかったのか、ステップはどうか、ジャンプはどうかが分からなくなるんですね。
なので、「空中姿勢」はとても大事なのです。
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