2021-03-14 08:48 追加
”裏天王山”第1戦VC長野の”柱”戸嵜 キングダムから学んだ言葉の力
SV男子
戸嵜が意識した言葉の語尾とは
今回の重要な一戦に向けて、戸嵜は「言葉の語尾を意識した」という。
試合の中で、劣勢の場面は出てくる。そこでどんな声掛けをしたら、仲間の背中を押せられるのか。戸嵜は研究した。
「どういう声かけで皆の士気が上がるのか、言葉の語尾を調べたりした。命令形ではなくて、皆に寄り添うような言葉を意識した。ネットとかで、メンタルの上げ方とか、どうやったら人が言うことを聞くのかとか。一応、コートキャプテンなので、どれだけ選手一人一人のやる気や不安をなくせるかを意識した。それぞれテクニックを持っている。あとはそういう面なのかな、自分に求められているのはそこかなと感じた」
戸嵜は以前から勉強していたが、特に重要な一戦を前にした今週は意識した。試合中にどんな言葉をかけたら、仲間たちの背中を押せるのか、心に訴えかけられるのか。
「『やれ!』『絶対止めろ!』とかではなくて、『止めよう』とかですね。本当に寄り添った語尾です。お前が全部やれっていうことではなくて、こっちもやるから一緒になって頑張ろう、という声かけの方が吸収しやすいということが書いてあった。できるだけそういう声かけだったり、表情も優しくするように心がけた」
コート上でプレーと声かけで、味方を鼓舞し続けた戸嵜。
第4セット終盤、大分三好に追い上げられ、コート内に動揺が広がりそうな展開になった場面では、戸嵜のスパイクで絶ちきった。戸嵜だけでなく、笠利真吾や矢貫龍馬など他の選手たちも積極的に声をどんどん上げていき、盛り上げていくと、コート内の雰囲気が最高潮に。それまで食らいついていた大分三好だったが、唯一フィリピン代表バグナス・ブライアンだけが圧巻のスパイクで最後まで抵抗を示したが、彼以外からの選手からは、気圧されたのか覇気が失われていった。VC長野がつかんだ勢いを手放さず、ラストは3連続得点を奪って締めた。
プレーだけでなく声かけでも味方を支えた戸嵜に、特にどんな本を参考にしたのか尋ねた。
「『キングダム』(※)です・・・(笑)。味方の士気を上げるという点で、参考になる部分が最近あったので、本当に関連しているなと感じました」(※古代中国を舞台にした人気漫画)
単なる漫画好きではないかという疑念もわいたが、キングダムは名作。信(キングダムの主人公)の持つ現場でのリーダーシップを発揮する言葉や表現力は大いに参考になったのかもしれない。
昨年12月6日のFC東京戦、フルセットで敗れた直後、戸嵜はコートの端に前屈みで倒れ込み顔をタオルでしばらく覆っていた。試合後会見では「僕がチームの”柱”として引っ張らないといけない」と何度も”柱”を強調していたのが印象的だった。あまりに使うので、「『鬼滅の刃』でいう何柱でしょうか」と聞いてみると、会見に参加していた選手たちから「そこは水柱にしときましょ!」と茶化されていた。
それから3カ月。決して順風満帆ではないが、VC長野を引っ張る”柱”として活躍しているのは誰もが認めるところ。東レアローズ時代の内定時代に見せていたプレーを遙かに上回るパフォーマンスを見せてきている。
V1残留を確実なものにするまで、戸嵜は長野の柱としてチームを引っ張っていく。
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