2021-07-27 12:49 追加
河野裕輔のエール! 第2回 ベネズエラ戦分析 日本男子バレーの新しい冒険が始まった
全日本代表 男子
◆いろいろな形のサーブ戦術
今の日本男子はサーブのバリエーションが豊富なことが武器の一つになっており、ビッグサーバーの西田有志、石川祐希以外にもしっかりと強いサーブでコースを狙える高橋藍、ジャンプフローターで戦術的に崩しに行く山内晶大、ハイブリッドサーブの小野寺太志、そして流れを作った関田誠大のジャンプサーブ。スタメンだけでも、これだけの世界に通用するバリエーションがある。もちろん控えの選手も、しっかりとサーブで殴れる選手ばかり。相手のイヤな所に打つことにより、「相手に気持ちよく攻撃させない」戦術がここから始まる。
1セット目には関田のサーブから山内の3連続ブロック、計6連続得点を演出した。相手のイヤな所を的確に突いていく関田のサーブは本当に効果的であった。相手にとっては西田、石川に崩されることはある程度想定内になるが、この2人以外に崩されると想定していない分相手にとって誤算となる可能性が高い。
◆安定感を増したレセプション(サーブレシーブ)からの攻撃
VNLでの敗戦は、ほぼサーブで崩されて日本の思い通りの展開にならないことが続いたことが敗因だったが、ここも大幅なレベルアップが図られていた。ベネズエラの強いサーブに対しても、大きく崩れることなくシンクロ攻撃につなげていた。いったいなぜこの短期間で、これだけ改善されたのか。本当に不思議なほど、日本のサーブレシーブが素晴らしく改善されていた。その結果レセプションアタックにおいてコート中央付近のスロット(スロット3~Aのあたり)の攻撃本数が多くなり、サイドの攻撃に対する相手のブロックはほぼ1枚か1枚半というのが多かったように見えた。
現代バレーにおいてはレセプションがAorBパス(Aパス:セッターが動かずにトスアップできるサーブレシーブ、Bパス:セッターが数歩動かされるサーブレシーブ)の場合、攻撃枚数は4枚となり3人のブロッカーではマークしきれないことから、いかにAorBパスを返球するかが勝負のカギとなることが多い。
◆1試合を通したゲームマネジメント
オリンピックに出てくるチームで、簡単に勝てるところは皆無である。そのステージで勝つために、1試合を通したゲームマネジメントが必要となる。
それが前述したディフェンスの意思統一であり、「しょうがない失点への割り切り」である。チームとしてやるべき事をやった結果の失点であれば、それは「しょうがない失点」となる。
例えばしっかりサーブで攻めたが、相手のレセプションが返ったため素晴らしい攻撃にやられてしまった。この場合、次のレセプションアタックをしっかり決める事に切り替えることが肝要である。こういった「しょうがない失点」を引きずらないで、今やらなければならないプレーに集中していく。
序盤で多少サーブミスが続いても、「レセプションアタック、つまりサイドアウトが取れている限り負けない」と決して守りに入らず最後までサーブで攻め続けたことも非常に重要なゲームマネジメントであり、ファインプレーの一つであった。
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