2021-08-05 11:20 追加
河野裕輔のエール!第7稿 冒険の終わりと未来へ残した龍神の爪痕
全日本代表 男子
◆世界に刻んだ龍神の爪痕
29年ぶりのオリンピック勝利を挙げた龍神達が、なぜ世界王者ブラジルを相手に各セット
20点以降の戦いに持ち込むことができたのか。代表的なものを上げていきたい。
・主将・石川祐希
彼の存在は本当に大きい。それは技術的・精神的両面において龍神NIPPONの大黒柱となってくれたからだ。毎セット全員とのハグから始まるルーティン、ポイントを取った時だけでなく失ったときにもコート中央でハドルを組み、全員の意思を統一する。素晴らしいキャプテンシーに敬意を表したい。そして攻守の中心となるだけでなく、3セット目終盤の意地のサービスエース。石川の、日本のプライドを見たようで鳥肌が立った。
・レセプションから高確率で取れるサイドアウト
ここは声を大にして言いたい。ブラジルからサーブポイントを取られていないという事実を。あのブラジルの強力なサーブに対し1本もエースを許さなかったことは賞賛に値するであろう。19歳の高橋藍が一角を担ったが、素晴らしいディフェンス力。そしてそのレセプションをさばく関田誠大、藤井直伸のセッター陣がうまくMBの小野寺、山内、Bickを絡めることにより、コート中央のスロットを使える場面では、ブラジルも1枚や1枚半のブロックになっていた。いろいろなスロットからの攻撃を仕掛けることにより、少しでもブラジルのリードブロックシステムを崩そうという意図が見えた。そして西田。彼のいいところは、試合の流れが悪いときにその流れを切ることができるポイントゲッターであると私は考える。連続失点でずるずる行きそうな時に、目の覚めるようなスパイクで流れをリセットしてくれる。素晴らしい仕事を見せてくれた。
・進化し続けたトータルディフェンスとシステム外ディフェンス
このコラムでも何度か書いているが、サーブ・ブロック・ディグの連携が今の龍神の土台を支えている。ブラジルのあの多彩な攻撃に対ししつこくブロックにつき、コースを絞り、ディグで繋げる。小野寺、山内の両ミドルの、ブロックについていく献身的な働きも素晴らしかった。リベロ山本智大は、トータルディフェンスが機能していない時でも何とかして上に上げるディグをすることにより、チームを何度も救った。
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