2021-08-30 18:19 追加
河野裕輔のエール!8稿 特別編 現代バレーのトレンドとは?ブロックとシンクロ攻撃
Others / V1リーグ 男子 / 全日本代表 男子
◆攻撃は参加人数に注目!
前述したように今までの日本のバレーボールは3枚攻撃(レフト、センター、ライト)が主流であった。レフト対角(OH)、センター対角(MB)、セッター対角(OP)がコート両サイドと中央の3か所から攻撃を仕掛けてくることが多かった。(時間差を使うとライトがなくなってセンターに2枚攻撃者が入る等もあったが)そしてバックアタックはOPがメインで打っていた
よって日本チームの最大攻撃枚数は「3」であった。
これが近年、諸外国の強豪や現在の日本代表は攻撃枚数が「4」になっている。セッターが後衛の時は前衛3枚+OHのバックアタック。セッターが前衛の時は前衛2枚+OPのバックアタック+OHのバックアタックとなり3+1あるいは2+2の4枚攻撃が主流になっていることを前提として述べておく。
攻撃枚数が増える利点は言わずもがなではあるが、ブロックの最大枚数は「3」から増やすことが出来ないことにある。4枚攻撃が成立した瞬間に4vs3の構図が出来上がり、守備側は2枚以上のブロックをそろえることが非常に難しくなるところに、この攻撃の意味がある。
そしてMBの攻撃が大きく変化した。従来からある「クイック」と呼ばれるマイナステンポの攻撃。これは少しでも早く打つことにより、ブロックが来る前に打ってしまうという狙いを持った攻撃である。そして「ファーストテンポ」。これは少し高めのトスをしっかりジャンプしブロックを見て打つ攻撃であり、ほぼ同じタイミングで両サイド、バックアタックが助走開始することにより「シンクロ攻撃」が完成する。このコート中央のMBとバックアタックが相手のMBをコート中央から動けなくすることで、両サイドのマークが甘くなり、スパイクが決まりやすくなるという利点がある。
◆攻撃に合わせて変化した守備体系
現代バレーの守備についてだが、一言でいえば「相手の4枚攻撃に対するトータルディフェンス」が機能するかしないかである。トータルディフェンスとはサーブで相手のレセプションを崩し、ブロックターゲットを絞り、あらかじめ決められたコースをブロックで塞ぐことによりディグ(レシーブ)が「ここしかない」という状況を作り出すことである。これが機能すると、スパイカーはブロックがいないコース=ディガーが待ち構えているコースに「打たされ」てしまい、打っても打っても決まらない状況になる。オリンピックのベネズエラ戦やカナダ戦は試合後半になればなるほどデータが揃い、日本のトータルディフェンスが機能したことは記憶に新しい。機能しているかしていないかは、抜けてくるボールに対してディガーがいる場所に抜けているのか、いない場所に抜けているのかが判断基準の一つになるであろう。
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