2021-09-01 11:27 追加
益子直美さん主宰の「監督が怒ってはいけない大会」が一般社団法人に。「いつかは私が必要なくなるくらい当たり前のことにできれば」
益子直美さんインタビュー
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バレーボール元日本代表で世界選手権(86年、90年)、ワールドカップ(89年)にも出場した益子直美さんが2015年から主宰する小学生大会「監督が怒ってはいけない大会」(益子直美カップ)が今年4月、社団法人化し、9月1日、公式ホームページを公開した。社団法人の代表理事を務めると同時に、今年6月から日本バレーボール協会の理事にも就任した益子さんの今後の展望などについて、お話を伺った。
2015年に福岡でスタートした益子直美カップは今年で7年目になる(2020年の福岡大会はコロナ禍で中止)。益子さんは中学でバレーボールを始めたが、中高生時代にミスをすると監督が怒ったり、平手打ちなどの体罰を与える指導を当たり前のように受け、自信をなくし、ネガティブ思考に陥った経験があった。怒られるのが怖くて自信を喪失するという体験はシニアカテゴリーでプレーするようになってからも影を落とし、好きで始めたはずのバレーボールが嫌いになってしまうほどであったという。「負のスパイラルに陥っていました」と益子さんは話す。
バレーボールに限らず、運動部では益子さんが中高生時代を過ごした70~80年代などの昭和の時代であれば、パワハラ的な指導や体罰は珍しいことではなかった。しかし、現在でもそのような指導が残っており、子どもが競技をやめてしまったり、最悪の場合は死を選ぶケースもあることをニュースなどで聞く度に「このままではいけない」という思いが募った。そんな時に友人を通じて、福岡で小学生バレーボールチームを運営する北川新一・美陽子夫妻との出会いがあった。妻の美陽子さん(旧姓宮園)も旧日本リーグ(現在のVリーグ)のカネボウに所属していた元バレーボール選手で、バレー名門校の出身。益子さん同様、厳しい指導を経験していたが、指導者の立場になり、旧態依然とした指導が未だにまかり通っていることに驚き、改革したいという思いを持ったという。そのような経緯から北川夫妻もスタッフとなり、「監督が怒ってはいけない大会」は福岡でスタート。2017年からは神奈川県藤沢市でも大会を開くようになった。
「小学生は競技を始める入口の部分。勝利することにとらわれず、まずはスポーツを楽しみ、できなかったことができるようになったり、褒められたりすることで自己肯定感を養っていけるようなワクワクできる大会にしたいと考えました」
大会では監督が怒ると益子さんが監督のもとへ行き、怒った理由を尋ねたり、監督を注意したりする。また、勝利至上主義にならないようにするため、負けたら終わりのトーナメントではなく、1チームが複数回試合のできるリーグ方式を採用している。指導の過程でなぜ怒りの感情が生まれるのかについて、益子さんはアンガーマネジメントを学び、試合とは別に勉強会を開くこともあるという。また、NECレッドロケッツでもコンディションニングアドバイザーを務めるアスレティックトレーナーの岩﨑由純さんが主宰する日本ペップトーク普及協会とコラボすることも。ペップトークとはスポーツの現場などで行うポジティブな言葉掛けのことで、益子さんのイトーヨーカドーバレー部時代の後輩で日本代表でもともにプレーした斎藤真由美さんもそのファシリテーターを目指し勉強中である。そして、元日本代表の大山加奈さんも「子どもたちが笑顔でバレーボールをしてほしい」という思いで、バレーボールの普及活動をしており、こうした関係者、OGの方々ともタッグを組んで取り組んでいきたいという。
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