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コラム

2021-09-29 14:51 追加

河野裕輔のエール!第9稿 今年度最後の龍神たちの活動、アジア選手権終了に寄せて

全日本代表 男子

◆河野的アジア選手権ハイライトその1. vsオーストラリア

 個人的ハイライトは、オーストラリア戦とイラン戦である。まずはオーストラリア戦。
 最も分かりやすくサーブターゲットを集中攻撃していくスタイル。ターゲットは35番のOH(マーチ)。とにかく、ジャンプサーブだけでなくフローター系もタイミングが合っていなかったため、集中攻撃。李博や小野寺太志のサーブで連続得点が生まれた。サーブで崩し切ったため、オーストラリアはエドガー中心の攻撃となり、日本のブロックは非常に絞りやすかったのではないか。そしてリベロの山本を中心に、ディグでも粘り強くつなぐことによりエドガーにストレスをかけ、ミスを誘発する理想的な展開であった。途中交代で入った大宅がコート中央の攻撃でリズムを変えて、オーストラリアディフェンスを大きく揺さぶることができたことも大きな勝因であろう。この試合において小野寺が6点、李が10点のスパイクポイントをたたき出していることもコート中央付近のスロットが生きていた証拠になっている。
日本の勝ちパターンであるサーブで攻めてトータルディフェンス、サイドアウトは4枚で攻撃。がしっかりと構築できた試合であった。

◆河野的アジア選手権ハイライト その2. vsイラン

 変わってイラン戦。結果だけ見れば0-3のストレート負けだが、内容的にはどちらが勝ってもおかしくない内容であった。勝負を分けたのは被ブレイク数≒日本のサイドアウト失敗数が少しだけイランよりも多かった。その要因としては、イランのブロックが若干テディケート気味(エール第8稿参照のこと)で石川/高橋藍の両レフトを徹底的にマークしていた。その戦術に対し、日本がライトサイドの攻撃でインパクトを出すことが上手くいってなかったように見えた。結果石川/高橋中心のトス回しになり、イランのブロック戦術にはまってしまったように思う。

ミドルの得点はオーストラリア戦の16点に対し、イラン戦は小野寺、山内、李の3人で9点。
イラン戦のスパイク打数は石川30本、高橋25本、宮浦23本とサイド攻撃の2/3はOHの選手が打ってくると想定されるため、ブロックも絞りやすくなってしまった。結果イランのブロックポイントは9点、日本は2点であった。

サーブもイランに対し今一つ効果が上がらないためブロックも厳しい状況。その結果ブレイクが取りづらくなっていたことは否めない。そんな状態でも1、3セット目はデュース、2セット目も22-25と接戦に持ち込めたのは、サイドアウトが取れていたためである。

両方の試合を通じて言える事ではあるが「個」主体になってしまうと相手も絞りやすく、いい状態であるとは言えない。日本としては「個による状況打破」に頼るのは、最後の手段にしておきたい。できるだけ4人がそれぞれ違うスロットから攻撃する「組織的な攻撃」を主体とし、高確率でサイドアウトを獲得していくスタイルが今の龍神には最も合うのではないか。

まんべんなく毎回4スロットから攻める事で相手に強いストレスをかけていくスタイルは、現代バレーにおいてはもはや当たり前のことであるし、実際オリンピックでは日本もそうであった。

そして攻撃的なサーブ。攻める意識という「個の部分」も大事だが、仮にミスしても高確率でサイドアウトを獲得できるという安心感も大きな後押しとなる。サイドアウトが取れないと、サーブミスはマイナス要因と感じやすくなってしまうため、チームとしては負のサイクルに入りやすい。よってサーブをしっかりと攻めるためにも高確率でサイドアウトを取ることが重要であると考える。
 

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