全日本バレー、Vリーグ、大学バレー、高校バレーの最新情報をお届けするバレーボールWebマガジン|バレーボールマガジン


バレーボールマガジン>コラム>河野裕輔のエール!13稿 カテゴリを超えた激闘!! 天皇杯・皇后杯を振り返る!

コラム

2021-12-20 18:37 追加

河野裕輔のエール!13稿 カテゴリを超えた激闘!! 天皇杯・皇后杯を振り返る!

河野裕輔コラム

V1リーグ 男子 / V2/V3 男子 / 高校バレー 男子


元バレーボール日本代表でJTサンダーズでも活躍した河野裕輔さんによるコラムです。今回は、2週にわたって行われた天皇杯ファイナルラウンドの振り返り。

◆男子バレーの日本一決定戦・天皇杯開幕!
2021年12月10~12日、18~19日、高崎アリーナにおいて天皇杯・皇后杯が開催された。この大会はV1の各チームに加え、ブロックラウンドを勝ち抜いた16チームが、カテゴリの枠を超えて対戦する真の日本一決定戦ともいえる大会。開催時期も高校生は春高前の腕試しとして、大学生はインカレ後の4年生の最後の試合として、Vリーグチームはリーグ中とコンディション的にも作りやすい時期であることから激戦が予想された。

筆者にとって毎回の事ではあるが、期待してしまうのがジャイアントキリングや上位カテゴリとの大接戦である。大学生がV1と大接戦をしたり、あわよくば…というような試合は、観戦していて非常に興奮を覚える。果たして今年はそのようなビッグマッチがあったのだろうか。また、Vリーグであまり調子が上がっていないチームが、一つ切り替えて調子が上向いてくることがあるのもこの大会の特徴だ。

残念ながら時間の都合上全試合の観戦をすることは出来なかったが、筆者が観戦したゲームの中からピックアップしながら主観に基づいてこの大会を振り返ってみたい。
現時点で、すべての試合がアーカイブとして無料で配信されているので、ぜひざっとでもご覧になることをおすすめする。https://www.videoflow.io/channel/vfc-_4mg2q0ae

◆河野的注目カードその1 ヴィアティン三重VS鎮西高校

まず私がお勧めしたいゲームはここだ。ヴィアティン三重VS鎮西高校の試合。結果は2-1にてヴィアティン三重の勝利であったが、内容が非常に面白かったため簡単に振り返っていく。
まず勝利したヴィアティン。7番・春藤洸介のサイドが中心と見えたが、しっかりとMB(ミドルブロッカー)の攻撃も多用しながらトランジションを取りに行くスタイル。今季挙げていた「攻撃型バレー」はしっかりと見えた。両サイド、MBだけでなくパイプ(バックセンターからの攻撃)やBick(バックセンターからの速い攻撃)も多用しているところは非常に見ごたえがあった。また、鎮西高校がリードブロックではないとみると、一人時間差を混ぜてくるところもリードブロックを多用するVリーグでは見る機会は少ない事から、非常にレアなプレーとして観戦のスパイスとなった。

一方の鎮西高校。攻撃の中心は4番(舛本颯真)だが、1番(平嶋晃)や2番(平野悠真)等周りを固める選手の技術力も光った。特筆したいのは、1枚になった時のブロック力とディグ力。ヴィアティンの両サイドへのファーストテンポに対し(ブロックが)1枚になることが多かったが、手をしっかりと前に出し、打つコースを最大限狭めるブロックや強打に対するディグなど非常に見ごたえがあった。V2のヴィアティンに対し、2セット目~3セット目中盤までは互角の打ち合いをしていたように思う。是非春高バレーにおいても存分に戦ってほしい。

◆河野的注目カードその2 ウルフドックス名古屋VSヴォレアス北海道

続いてのお勧めのゲームはこちら。V1に所属するウルフドックス名古屋対V2所属のヴォレアス北海道。クレク主将率いるウルフドッグス名古屋と、V1リーグ入りを目指すヴォレアス北海道の試合は文字通り死闘となった。一進一退のままフルセットにもつれ込み、最後はウルフドッグス名古屋がV1のプライドで勝利をもぎ取った。客観的に見た感想だが、特別名古屋の調子が悪いわけではなかったように見える。むしろヴォレアス北海道がしっかりと対策を取ってきたように思えた。

理由は2点。一つはバンチリードシステム対策。バンチリードはコート中央に3人のブロッカーが集まるシステムのため、サイドの速い攻撃に対してライン際をディグすることが多い。ヴォレアスのサイド陣は、徹底してそこを突いてきた。ウルフドッグス名古屋が2枚の時はラインショット、2枚揃わないと思ったら中にスパイクを打つことで、決定率を上げていた。もう一つはbickの標準装備だ。筆者が前回ヴォレアス北海道を見たのは、5月のチャレンジマッチ。その時とは全く別のチームでは?と思うほどの進化を遂げていた。

対するウルフドッグス名古屋は、流れがなかなか掴めず非常に苦しいゲーム展開ではあったものの、要所でしっかりとゲームを締めることができるのは、やはりチームとしてゲームにおいて「やらなければならないこと」が共有、理解されているのであろうと考える。そして5セット目にもう一つギアを上げることができるのも強さの証であろうかと思う。

>> コラムのページ一覧へ戻る

同じカテゴリの最近の記事

コメント

Sorry, the comment form is closed at this time.

トラックバック