2022-01-13 20:08 追加
元Vリーガー北沢浩のバレーボール質問箱 2022春高男子決勝をランニングスコアも用いて完全解説
高校バレー 男子
最後に各setを簡潔にまとめると、
1set目(20-25):一進一退の攻防の末、終盤に日本航空のミス(クイック✕3本)により鎮西勝利
2set目(23-25):鎮西No.4桝本の活躍と高さによるブロックが火を噴き鎮西勝利
3set目(25-23):どうしても勝ちたかった鎮西、No.4桝本に集めまくったが勝利に届かず。日本航空が堅実な組織バレーを展開し勝利
4set目(25-19):日本航空ノリノリ、鎮西休憩中
5set目(15-11):日本航空のブロック炸裂&No.1前嶋が圧巻のパフォーマンスを見せ、念願の初優勝!
全体の総評:3set目が全て、そんな試合でした。
4set目以降、日本航空は勢いに乗り、落ち着いたゲーム運びをします。
逆に鎮西は疲労が見え始め、セッターの組み立てに迷いが生じているように感じました。
No.4桝本選手を中心としたエースバレーである鎮西は長期戦ほど不利になります。
一方、日本航空は組織バレーのため、全員が攻撃に貢献出来ます。
何よりセッターであるNo.6樋口選手は1set目終盤こそクイックで失敗しましたが、その後は見事に全員を活かしました。本当に良いセッターだと思います。
あとはミスが異常に少ないのもスゴいなと感じました。
5set合計で日本航空9本(setあたり2本)、鎮西16本(setあたり3本)。
参考情報として、東山高校(2020春高優勝時)は1setあたりミスが5本でしたので、両チームのミスの少なさが理解出来ます。
また、両チームともサーブで崩す場面が少なかった(共にサーブ効果率1%)。
そのため、組織(コンビ)バレーの日本航空はほとんどがAパスのため、サイドアウトが獲りやすいのも追い風だったと思います。
—————————————————–
今回はこれでおしまいですが、僕の願いを1つだけ。
「ランニングスコアを読める選手・指導者がもっともっと増えてほしい」
【メリット】
・1set25点の流れがパッと見て分かる(マクロ視点)
・勝ちパターン、負けパターンが理解出来る
・セッターの配球の選択肢ミスが一目瞭然で分かる
・問題点や課題が見つかりやすい
【デメリット】
・作成がただただ面倒くさい
現在伸び悩んでいる選手・チームは騙されたと思って取り組んでみてください。面倒くさいというデメリットさえ乗り越えれば、必ず新たな発見があります。僕がそうでしたし、周りの人たちも同様でしたので間違いないです。
と違う話で長くなってしまいそうなので、今回はここまで。
ありがとうございました!
文:北沢浩
写真:坂本清
*執筆者プロフィール
北沢浩(きたざわ ひろし) 1985年7月11日生まれ ポジション:セッター
小布施中
岡谷工業
(全国優勝3回・全日本ユースU18)
早稲田大
(全日本インカレ3位・ベストセッター賞)
富士通カワサキレッドスピリッツ
(現在)明治学院大学コーチ。
明学大バレー部の3部優勝、2部昇格を目指しつつ、セッターやチームの指導について日々勉強中。
URL:https://twitter.com/h_hiroshi_i?s=06
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