2022-02-17 11:40 追加
ザムストPresents ”Vの肖像”vol.3 堺ブレイザーズ・樋口裕希「まずは途中交代されない選手に。そこからステップを踏んで、チームになくてはならない選手になりたい」 後編
SV男子
チームを勝たせる、なくてはならない選手に
昨年12月に開催された天皇杯の会場は樋口の出身地である群馬県高崎市の高崎アリーナ。馴染み深い体育館で決勝戦を戦い、あと一歩のところで優勝という結果を残した。1回戦で母校の筑波大と対戦できたことも、樋口にとって感慨深かったようだ。天皇杯の経験をVリーグにどう生かしていきたいかを訊くと、こんな答えが返ってきた。
「優勝できなかったことは悔しいことは悔しかったんですけど、そこまで気にしていません。リーグはリーグで切り替えてやっていかなければならないですから。もちろん、天皇杯でよかったところは続けていけばいいし、できなかったところは修正しつつ、他チームのうちにない、いいところを取り入れて、新しいことにも挑戦できたら、もっとチームも良くなっていくと思っています」
今シーズンはJTサンダーズ広島からベテランセッターの深津旭弘、FC東京から同い年でポジションも同じアウトサイドヒッターの迫田郭志が移籍してくるなど、昨シーズンからメンバーの入れ替わりもあった。「深津さんは経験豊富で人を引っ張っていくリーダーシップがある。そのおかげでチームが向く方向が決まったことが大きいと思います。うちのチームはもともとフォロワーシップを持った人が多いので、リーダーシップを発揮する深津さんが加入したことにより、いい方向にチームが変わったと思っています」と樋口は言う。自身は、深津に「ミスをしても、自分のプレーで取り返せばいいんだよ」という声をかけてもらったことが印象に残っているという。「今まではミスを少なくしなければと思いながらプレーをしていましたが、この言葉でミスをしても点をとればいいんだと思えるようになりました」
今後の自身の目標も語ってもらった。
「ブレイザーズの中では、途中で代えられない選手にならなければと思っています。千葉(進也)監督からもずっと言われていて、それが自分の中でのひとつの大きな目標になっています。なかなかうまくいかないこともありますが、できるだけいいプレーをして、チームを勝たせたい。それを継続して、チームになくてはならない存在にならなければと思っています。そして、日本代表に入りたいと話しましたが、ただ選出されて満足するのではなく、その中でも試合に出たいという気持ちが強くあります。まずは選ばれて試合に出ること、そして試合に出たら代えられない、そしてチームを勝たせるというふうにステップをどんどん踏んでいって、バレーボール界を担えるような存在になれたらいいなと思います」
最後に、バレーボールをしている小中高生に向けてのメッセージを語ってもらった。
「僕はバレーボールを始めたときからずっと、好きで楽しいからやっていました。今も“楽しい”と思ってやることが一番だと思っています。うまくいかなくてバレーが嫌いになったとか、監督に怒られて嫌になったとかいろいろあると思いますけど、まずはバレーボールを楽しんでやってほしい。その中で目標も出てくると思います。例えば、“Vリーガーになりたい”とか、そういう目標に向かって頑張れる人がバレーボールだけではなく、人間として強くなっていくのかなと。競技を楽しみつつ、目標に向かって努力できる人になってほしいなと思います」
筑波大学時代
【プロフィール】
樋口裕希(ひぐち ゆうき)
1996年4月27日生まれ。小学生時代はドッジボールで全国大会を経験。中学入学と同時にバレーボールを始める。その後、高崎高に進学し、高校時代はインターハイに出場。大学は強豪・筑波大に進み、3年生の時に全日本インカレ準優勝。4年生では主将を務めた。2018年、内定選手として堺ブレイザーズに入団。2019年日本代表に初登録。191cm/78kg。ポジションはアウトサイドヒッター。
文:高井みわ
写真:木村正史、坂本清、火野千鶴、縞茉未
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