2014-05-14 07:49 追加
南部ジャパン、越川優主将でスタート
私の強化方針を述べさせていただきます。現状男子バレー界非常に厳しい状況の中、いよいよスタートいたしました。男子バレーチームを一日も早く世界の強豪チームと対等に戦えるチームにしてメダルを取りたい。それが大前提。今日午前中キックオフミーティングをして、「意識改革」というのをテーマにして持ってもらいたいと述べました。どういうことかといいますと、バレーは高さとパワーが勝るチームが強いと、みなさんがそういう考えをお持ちかどうかは分かりませんが、特に日本チームは高さになれてないというところがあります。これからは高さとパワーに勝るチームに対し、技術とチームの総合力で勝るというそういった強い気持ちを持ってもらうために、少し考え方を変えてもらってスタートを切りたい。
具体的には、最近ではロシアがオリンピックを確かに優勝しているのですが、その少しまえは機動力のあるブラジルが世界トップをずっと走っておりました。現在でもランキングは一位。このブラジルの選手たち、世界のクラブチームで分かれた時に活躍しているかというと、そんなに高い評価を受けておりません。しかし自国の代表に集まった時は本当に国のためにという誇りを持って結束をし、素晴らしいチームになります。そういった団結心は、ブラジルより、日本の選手の方が高いレベルにあると思うんです。そういったところを全面に引き出しながら持ち味である技術力をしっかりと磨いていきたい。
ことし最大の目標はアジア大会で優勝する。4年前はこの大会で優勝しております。しかし昨年はアジアでベスト4という現実もあります。できるだけ早い段階でいいチームを作って勝負したい。
今シーズン確かに若い選手がたくさん入っております。最年少は中央大学の石川19才。何故そこに目を向けたか。ベテランの力が必要でなくなったわけではありません。北京からずっと引っ張ってきた選手は体のコンディションが悪いのでいろんな面でリセットの期間を設けてあげた方がいいということです。
新たな人材の発掘を考えております。若い選手の伸びしろというのは非常にはやく、力をつけるのは本当にはやく必ずやチームにとってプラスになってくれる。一日も早く世界の舞台で活躍できる選手を育て、またベテランの力も借りながら強いチームにしたい。
今回の強化ポイントとして特に推進したいのは、チームカラーとして相手からサービスエースをとられないチーム。最終的にどういうことかといいますと、サイドアウトのパーセントを上げていくことにつながります。これによって海外チームと競り合いの試合展開に持ち込みます。これがまさに日本男子バレー復活のポイントになると確信しています。持ち味のサーブレシーブからなんとかコンビネーションを作る。
一回で決めれなければ、次のチャンスを。ラストボールを返す時にも、相手の攻撃を展開しにくいようないやらしいところに。次のチャンスを待てる。粘って粘って最後は逆に相手がミスをする、そういうチームにしたい。
それぞれポジションにそれぞれの役割があると思いますが、しっかりと選手に伝えていきそういう役割を全うできる個人でありチームになっていくようにしたい。
今シーズンは世界選手権に出られない。まずワールドリーグが5月23日から開催されます。明日からイタリアの方にチームは出発。クネオで事前合宿。そこでオーストラリアと練習ゲームして外国チームになれた中で初戦ドイツに挑みます。そしてフランス、アルゼンチン。小牧でアルゼンチン京都でフランス、越谷でドイツ。
新戦力を起用しながら、新しい選手の育成、中堅選手のさらなるキャリアアップというのを目標に試合を進める。その後戦績によってワールドリーグファイナルフォー、ファイナルシックスが行われる。ワールドリーグ終了後、いよいよアジア大会に向けて合宿。今海外の方で経験させてもらいたいと。8月の中旬に予定ではブラジルとチェコ、あともう一カ国位海外で。最後9月アジア大会の直前合宿を行って、何とか金メダルを獲りたい。
――選出されたセッターとリベロ各選手の戦力分析を。特にセッターに関して国際経験が少なかったりルーキーだったり。
リベロについて。判断基準は、昨シーズンのVリーグのデータを基準にしました。古賀はサーブレシーブナンバーワン。永野は成功率もそうだし 井手君に関しては、年齢は若いんですが、私の見たところではサーブレシーブの能力が高い。
一番のポイントになるセッターですが、深津に関しては今までの私の所属であったので彼の長所をいいますと、ブラジルからアシスタントコーチを呼びました。彼はアテネで金をもたらした戦術コーチ。相手ブロッカーを見れる能力。それを少しずつ身につけてくれています。はやい平行を出せる。東レの王君。身長の高い大型セッターということで。高橋君、リーグを通してみた中で非常に安定してゲームメイクできる。内山君に関しては、開幕戦の非常に安定したトスワークが印象的だった。佐川君に関しては、年齢的には若いというのはあるんですが、身体能力が高い。宇佐美に近い運動能力があるというふうにみこんだので見てみたいと思い選びました。
日本が唯一突破口にできるのは、サイドアウト率を高めること。細かくいいますと、結局海外との対戦によって負ける大きな要因は、一つにはジャンプサーブによる相手のサービスエース。もう一つは相手にブロックされる確率が高いこと、最後にスパイクミス。これがここの数字はスパイク決定率とミス率ということなんですが、実際の話、決定率は低くてもいいんですよ。サイドアウト率はまた違う。リバウンドで何度でも返してもいいし相手に一回返してまたチャンスを待ってもいい。ここのプレイが日本の突破口。
まずサービスエースをとられてはいけない。二段トスでも何でもいいから、極端な話相手に返ってしまってもいい。絶対にサービスエースをとられない。そこを意識することによって、たとえば清水は黒鷲の決勝戦、ミスが一つもない。いかに自分たちの中からミスを出すのがマイナスなのか。特に海外チームとの対戦の時に自分からミスを出すことが多かったかということを気づかないといけない。
相手にやられてるわけではない。高さのコンプレックスによってミスを出したりとか、またはスピードのコンプレックスによって飛びにいけないとか。まずそこを改善すれば、戦い方、試合展開は絶対に変わってくる。これからの日本チームの一番の課題。
――サーブについては?
これも一緒。これまで非常にミスが多かった。それなら入れておくだけでいいのか。相手もレセプションいい状態で返せば攻撃力がたかいので、簡単にサイドアウトを取られてしまう。そうするとサイドアウトの応酬ということになる。では目指すべきサーブというのはどういうものなのか。ローテーションによって必ずポイントがある。たとえばここのコースに打てば、相手がクイック攻撃がしにくいとか。スピードとかそういう単純なモノではなく、このローテーションではここに打つということから。
一番最終的にはスピードもあって変化もある。ローテーションによってここに打つのがいいというコントロールを最優先。ただし勝負でいってポイントが取れるサーバー。越川を筆頭に、伏見、彼が非常にいいサーブを打つ。皆さんにちょっと信じてもらえないかも知れないんですけど福澤が今非常に調子がいいんですね。いや、皆さん笑ってますが、本当に昨日の練習ではすごく良かったんですよ(笑)。そういう勝負できる選手に関しては思い切ったサーブ。
また、国際大会はボールがミカサなので、ジャンプフローターを効果的に入れていきたい。ジャンプサーブの人間も、もしかするとジャンプフローターを打たしてという場面もこれからはあるかもしれません。
――植田元監督は速いトスにこだわったりされていましたが、南部監督はそのあたりいかがでしょうか。
はい。まずはクイックのテンポという話になりますが、サイドアタッカーが打つテンポといいますのは、クイックの次のタイミング。クイックが入って、その次のジャンプするテンポ。完全に二段トスはハイボール、オープントス。そしてちょうどはやい平行を呼んでいる状態でパスがちょっと乱れた時に少し浮かせてほしい、そういうテンポの3テンポあります。
ちょっと余談になりますが、黒鷲旗まで昨シーズンうちにいたダンチはこれにプラスもう1テンポ、クイックのようなテンポを持っていた。細かくいえば、この4テンポがあります。
チームとしてどれかのテンポに統一するとなった時に、必ず選手がその状況によってそのテンポに合わないということが出てきます。ですので、そこに関しては、たとえば4テンポ全てに対応できる選手であれば、その状況によって使いなさいと。そういう選択肢で行きたいと思っています。
チームとして両サイドのトスが、ということでなく、能力として各自身につけさせて、その状況で使い分ける。そういうチームで行きたい。
パナソニックの選手でいいますと、福澤は3テンポ。4テンポ目、一番はやいトスに対してすごく興味を持ってくれているのがキャプテンの越川。昨日ちょっと話したんですが、「僕はこれに挑戦したい」と言ってくれているので、取り入れられる選手に関しては取り入れていく。なぜなら、はやいテンポでやった方が絶対にブロックが割れる。あのテンポでやるとサイドブロッカーも最初からマークしておかないと、ブロックにつけないので、真ん中にセンターブロックがいて、サイドのはやい攻撃に対して外側に動きますよね。そこでパイプ攻撃を使えば絶対に空くんですよね。ですからはやい攻撃というのは、相手のディフェンスを崩すには非常に効果的なんです。
ただしリスクもある、ミスをするということ。ここは選手の能力に応じて自分が判断をして、使える選手に関してはそのテンポで行く。3テンポで十分という選手に関しては、この3テンポでやっていきたい。
――越川君は挑戦しようとしている、他の選手は?
福澤は彼の高さが死ぬんですね。彼のジャンプは独特なんで、そこからぐっと跳ぶんですね。むしろ、一番はやいより次のテンポの方がいい。数字もそう出ている。通過位置とかそういうのも分析が出ている。彼がいいテンポはそこなんですね。無理してやる必要はないのかなと。本人がやるといってそれが効果的となれば、それはやります。 あとは清水がそれくらいのテンポで行けそうですね。
最終的な目標は、3テンポに関しては全員のアウトサイドヒッターが打てるようにします。4つめに関してはちょっと個人技になります。
――ワールドリーグの目標は。
結果目標はもちろんあるが、世界と対戦した時に我々のサイドアウト率が何パーセント行くか。試合結果はもちろん大事ですが、我々のサイドアウト率を72%以上に持って行った時にどういう結果が生まれてくるか。そういう目標の立て方をさせている。それが達成できれば、ブレイクを28とれば勝てるんですね。サイドアウトとブレイクを足して100になれば大体その試合は勝つんです。
ブラジルはサイドアウト率は70%をくだらない。それにプラス、ブレイク率が35~6%なんです。これなら絶対負けませんよね。
全日本男子の場合はサイドアウト率が60%しかない。それにブレイク率が21で81しかいってない。
必然的に1.5倍のサイドアウト率、75%という数字は非常に高いので、とりあえず72%にサイドアウト率の目標を置いて、考えていきたい。もちろん結果は大事ですよ。大事なんですけど、そういったところにまず重きを置きたい。それができれば結果も必ず、大差で負けることは絶対ない。
――サイドアウト率を高めるのも具体的には?
鍵になるのはサーブレシーブ。無理してAパスを返すのではなく、まずサービスエースをとられない。Cパス、Bパスになっても、セッターでなくスパイカーなんです。スパイカーが一回で決めなければならないと思うとシャットとかミスしてしまう。そこを無理してしまうのではなく、意識改革して、一回いってチャンスを待ってみようと。
具体的にいいますと、セッターがワンとれば次つなぐのがリベロか他の選手ですよね。そうしたらコンビネーションはくめない。そうすると我々3枚ブロックをしけるわけです。今回大型の選手も入れてますので、いくら2メートルを超す外国人選手でも、3枚つかれればプレッシャーを感じるはず。そこで相手がどう出るかというのを見ておく必要がある。それで相手にミスが出れば、この形は通用する。サイドアウト率を高めるというのはもちろんサーブレシーブもそうなんですけど、スパイカーの意識と技術ですね。
――意識改革で他のスポーツを参考には?
他のスポーツというよりは、一番にはブラジルのナショナルチームを参考にしています。背が小さいからということは一切ない。レゼンデ監督にもメッセージもらったので。
――いつですか?
就任会見が終わってすぐ。ここに来るときにも、これからがんばって、我々も協力するというメールをもらいました。ブラジルにはパナソニックで毎年行ってナショナルチームに帯同させてもらって。練習もそうですし、試合直前のミーティングもそうですし。アシスタントコーチにも来てもらって、練習方法とか、試合前のモチベーションの上げ方とか。7年前には少なくとも絶対いってます。
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コメント
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山田太郎 [Website] 2012.04.20 13:00
[…] バレーボール男子の日本代表が13日、東京都北区の味の素ナショナルトレーニングセンターで記者会見し、ことしから指揮を執る南部正司監督は「一刻も早く世界の強豪と対等に戦えるチームになる。技術を磨いていきたい」と抱負を述べた。 23日から始まる国際大会、ワールドリーグが初陣となる。2年後のリオデジャネイロ五輪 出場に向けた第一歩として、ことしは仁川アジア大会優勝を目標とする。南部監督は「粘っ て、粘って最後は相手がミスをするチームを目指したい」と力を込めた。 主将には越川優(JT)が就任した。若手も多いだけに指導力に期待がかかるが「選手個 々が自立した中で、キャプテンとして方向性を出していきたい」と話した。(共同) http://www.sanspo.com/sports/news/20140513/vol14051317390001-n1.html 関連 南部ジャパン、越川優主将、福澤達哉副主将でスタート http://vbw.jp/6244/ […]