2022-03-22 07:19 追加
JT・籾井あき「感情が表に出なくなったかな。それが良いこともあるけど、時には奮い立たせてもっと自分を出さなければ」、埼玉上尾・目黒安希「姉は絶対自分のところに打ってくると思いました」 V1女子会見
SV女子
●アントニオ・マルコス・レルバッキ監督(以下マルコス)
単純に良いプレーができませんでした。状況をひっくり返すトライを何度も試みたのですが、打開できるポイントが見出せませんでした。ひとことで言えば、良い試合ではなかったということです。
ーーハードな日程、さすがに選手も疲れてきているのかなと感じました。
マルコス:疲れがあるのは間違いないのですが、そこは他のチームも同じ条件ですから。全体的に質の高いプレーを見せることができなくて、今日みたいな試合になってしまった印象です。誰一人としていいプレーができていなかった。試合において選手個々に調子の波はあっても、今日はこの選手が良い、この選手は調子が良くないというのがあるわけですが…。今日は全員が良くなかったということです。
ーードルーズ選手への対策は?
マルコス:ドルーズ選手への対策はもちろんありました。ただ、我々の考え方としてはドルーズ選手が決めたとしても、そこまで気にしなくてもいい。それは彼女の能力だから仕方ないという考え方を持っていました。ドルーズ選手に打たせないということではなくて、抜けてきたコースに対してディフェンスができるか、できたとしてその後に決め切れるか。こちらの問題が大事で、今日はそこで相手に合わせてしまっている印象でした。ドルーズ選手以外も当然、対策はしていますけど、もうそういう話じゃなくて…勝手にこっちがJTを助けてしまった。そういう展開でしたね。
ーー埼玉上尾はショートサーブを多用されますが、その効果は?
マルコス:常に使うわけにはいきませんが、効果的なところがあります。実際、ブレイクに繋がることもあります。ただ、今日を振り返れば、仮にそれで相手のサーブレシーブを崩せたとしても、そこからディフェンスをつないで、うちがトランジションアタックで決める、メインアタッカーであるロレンネや、サイドの選手が有効な攻撃をできるか。今日はその課題が随所に出てしまったのではないかと思っています。
ーー元Vリーガーでもあり、海外経験も豊富な島田桃大通訳に。通訳としてマルコス監督に接して学んでいることは? サッカー界ではジョゼ・モウリーニョなどが通訳を経験して偉大な指導者になっています。
島田:すごくたくさんのことを学んでいて、ここで集約できるかどうかわかりませんが。
今の日本のバレー界の印象としては、多分どこのチームも、日本代表もそうだと思いますし、埼玉上尾もそうだと思うのですが、最善を尽くしていると感じています。みんなちゃんとバレーボールをわかっているし、分析の仕方もわかっている。
ただ、分析はあくまで「統計」なので、試合になった時には状況がいろいろ変わります。そこを感じ取る力と感じるスピードが凄く大事なんだと思います。
そこについては監督も同じように言っていて、今日のバレーもそうなんですけど、データの世界に入りすぎちゃってる部分もある。データを見るだけじゃなくて、実際に現場で的確に「アウトプット」しなければいけないよ、と。
私個人の印象ですが、日本のバレーの試合に対してのやり方そのものはもう大丈夫だと思うんです。監督がいつも言うのは、日本のバレーが世界に勝ちたいのだったら、15歳のカテゴリーから大きい選手を選抜してフィジカルパートを少しずつやっていく。シニアになったらその選手たちを招集して、世界で戦わせる。その土台作りをやっていかないと対世界という面では進まない、ということですね。
まず代表がその(成功例の)フォームを見せないと裾野が広がらないし、下からそういう育成ができないと代表も伸びないということをマルコスはずっと言っています。ここを変えなければ、世界と戦うということにおいて現状のレベルからは多分変わらない。
考え方、技術、分析に関してはもうやることもないくらいできていると思います。あとはどうやって土台を作っていくか。そのことを本当に日本全体で協力してやらなければ今後が難しい。
マルコスはブラジル代表の黄金期に団長をやっていました。最強世代の形成されるプロセスを知っている人物です。そのマルコスの傍にいて学んだのは、今後の日本バレーには育成のシステム構築がすごく大事なんだろうなということです。
プロセスの1歩目を日本バレー全体で共有して、全員で取り組まなければ、これ以上のレベルアップは困難なのではないかと思います。そのほかの部分はもうみんな十分に上手いのではないかと思っています。
撮影 堀江丈
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