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コラム

2022-06-22 20:00 追加

河野裕輔のエール!18稿 龍神たちの新たな船出 龍神日本2nd season!

河野裕輔コラム

全日本代表 男子

元日本代表でJTサンダーズ広島でも活躍した河野裕輔さんのコラム。トップレベルの競技者で今も解説者として学び続ける河野さんだからこそ見える視点でお届けします。

皆様こんにちは。河野です。さて、今回は6月7日に開幕した男子VNLについて6月22日時点での振り返りをしてみたい。筆者の中で東京オリンピック以前の4年間を1st seasonと位置づけ、オリンピックでの経験を引き継いだパリまでの3年間を2nd seasonと考えてみた。東京オリンピックまでの1st seasonにおいては戦術の浸透、大黒柱石川祐希がチームをけん引し、若い選手たちを引っ張り上げるようなイメージであった龍神。しかし転換期ともいえる2021-22シーズンを乗り越えた龍神たちは逞しく、洗練された成長を遂げたといえるであろう。そして期待の新戦力となった新たな龍神たちにもクローズアップしていきたい。

◆第一週から存在感をアピール!新たな龍神たち
開幕戦となったオランダ戦と続く中国戦で、いきなり村山豪(ミドルブロッカー・ジェイテクト)、永露元稀(セッター・WD名古屋)が存在感を見せた。アメリカ戦、イラン戦においても東京オリンピックで出場機会に恵まれなかった大塚達宣(アウトサイドヒッター・早稲田大学)や宮浦健人(オポジット・ジェイテクト)、富田将馬(アウトサイドヒッター・東レ)といった新戦力が十分に力を発揮する場面を見ることができた。中でも永露は永く日本が待ち望んでいたといわれる192cmの大型セッターだ。彼が入ることでチームにもたらしたものは多い。その中でもやはり高さについて言及しなければならないだろう。高身長のため高い位置でのセットアップはもちろんのこと、WD名古屋における練習で「ブロック技術」は昨シーズンのVリーグにおいてもおおいに向上している。現在の日本のトータルディフェンスを稼働させる上では大きな武器となるであろう。そしてセットについてもパイプやBick(センターからの速いバックアタック)、MBをうまく使うことを意識していることが伝わってきたことから、精度を上げることでさらなる強化が望めると考えている。そしてオランダ戦における村山の活躍を読者の皆様には強く伝えたい。チームが劣勢の時に途中からゲームに入ることは非常に難しい事である。しかもMBであればディフェンスの軸であるブロックの中心とならなければならない。結果は彼が入ることで流れが好転、入るなりワンタッチでのチャンスメイクやシャットアウト、離れた位置からのマイナステンポ。さらにはサービスエースとチームを救う働きをしてくれたことは大きく称賛されるべきであろう。191cmとMBとしては非常に小柄だが持ち前の身体能力としつこいポジショニングでしっかりと仕事をしてくれた。

◆海外を経験して強くなった龍神たち
東京オリンピックでは石川一人だった海外チーム所属選手だが昨シーズン関田誠大(セッター)、西田有志(オポジット)、高橋藍(アウトサイドヒッター)と3名の選手が海外リーグにチャレンジした。その結果が早くも表れているようだ。特に3人ともディグに関しては格段の進化をしているように見える。早い打球に慣れたこともあるのか反応速度、ボールの勢いを殺しながらコントロールする力がオリンピック前とは段違いである。結果連続ブレイクによるゲームの支配という場面を何度も見ることができた。さらに各自の持ち味である関田のセット、西田のサーブ、高橋のレセプションも数段進化していることが確認できた。西田については軟攻やブロックアウトといった強打以外の得点の引き出しが増えていることは大きな収穫であろう。

◆Vリーガーの龍神メンバーの進化、深化
龍神日本のMB、LはVリーガーが支えている。MB山内晶大(パナソニック)、小野寺太志(JT広島)、高橋健太郎(東レ)、村山、L山本智大(堺)、小川智大(WD名古屋)といずれもVリーグ所属だ。この守備の要が海外リーグ所属メンバーに対ししっかりとマッチしていることは、Vリーグのレベルアップに起因すると考えている。ムセルスキー(サントリー)、クビアク(パナソニック)、クレク(WD名古屋)に代表される世界有数のプレイヤーと戦術と意思を持って戦ってきたことが力になっているのだ。結果的にMBについてはリードブロックの技術しかり、縦のファーストテンポでブロックを躱して打つ技術しかり世界的に見ても対等に渡り合うことができている。L山本についてもカメラでは速すぎて追うことができないほどのスパイクをディグしてチャンスメイクに繋げている。もう龍神たちは高さにもパワーにも屈しない個の技術を手に入れたのではないか。そしてその技術を戦術と意思でまとめ上げることにより今まで格上と言われていたチームにも組することができているのではないかと考える。

◆まだまだ出てくる新たな龍神候補
さて、ここまでVNL5試合を観戦した中での個にクローズアップしてきた訳だが、龍神日本にはまだ見ぬ龍神達も控えている。本年度龍神日本に登録されているメンバーは36名。まだ我々は半分弱しか見ていないことになる。彼らがどんな個性の選手なのか、どんなプレーを見せてくれるのか、楽しみでならない。3年後のパリオリンピックに向けてまだ見ぬ龍神達を含めて、全力で応援していく所存だ。

◆最後に
ここまでVNLを戦っている龍神たちを振り返ってきたが6月22日現在、日本が首位に立っている。そして西田がベストスコアラー1位となっている現実がある。非常に恥ずかしい話だが筆者は昨晩泣いた。日本が一番上に記載される世界規模のバレーボール大会というものを初めて見たからだ。ミュンヘンオリンピック以降世界を相手に戦ってきた諸先輩方には経験があるかもしれない話だが、少なくとも私は初めて目にする光景であった。いくらオリンピック明けの試運転のシーズンとはいえ、VNL序盤とはいえ、こんなに嬉しいことはない。さぁ今からの2nd season、龍神たちの快進撃を我々も後押ししていこうではないか。

あまりの嬉しさに乱筆乱文となってしまったことをお詫びして、今回はこのあたりで筆を置きたい。最後までお付き合いいただきありがとうございました。

※プロフィール 河野 裕輔(かわの ゆうすけ) 1975年8月1日生まれ ポジション OP.OH 古河4ますらおクラブ-古河2中-足利工大附高(現足利大附高)-中央大学-JTサンダーズ(現JTサンダーズ広島) 現在社業の傍ら、V.TVにて解説者、長野ガロンズテクニカルアドバイザー。

写真:FIVB

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