2023-06-05 22:07 追加
河野裕輔のエール! 21稿 Vリーグ22-23シーズンの終了と国際シーズンの始まり
Vリーグ男子コラム
SV男子
元日本代表で、JTサンダーズ広島でも活躍した河野裕輔さんによるコラム。エール!は第21回目となりました。
皆様こんにちは。河野です。4月のVリーグファイナル、5月の黒鷲旗、そしてアジアクラブ選手権をもちまして22-23シーズンが終了いたしました。各チームの選手、スタッフ、関係者各位にまずはお疲れさまでしたと述べさせて頂きたい。さらには応援していただいたファンの皆様、本当に今シーズンもありがとうございました。皆様の推し事により大変盛り上がったままシーズンを終える事ができたと感じております。
今回は今シーズン私が感じたことのまとめとして位置づけさせていただき、22-23シーズンの最終稿としたい。
◆変化から熟達へ。レベルアップのハイスピード化!
今シーズンここを抜きにしては語れないであろうというくらい今シーズンの象徴的な部分である。ここ数年やれトータルディフェンスだ、やれシンクロ攻撃だと述べさせて頂いてきたが、今シーズンにおいては「できて当たり前」、「できないチームから不利になる」ということが数多く見られた。
例えばサーブ。今年はビッグサーバーがいるチームが強いのではなくチームとしての戦略性を持ったチームが強い傾向に見えた。例えば優勝したWD名古屋。データ上サーブ効果率は10チーム中6位だがサーブミスは一番少ない。準優勝のサントリーもサーブ効果率では5位だ。3位のパナソニックパンサーズはサーブ効果率1位。パナソニックはサーブにおける得点が多いだけでなくミスもWD名古屋と同等に少ない。サーブ効果率が全てではないのは当然だがデータ上の「ノータッチ」や「エース」以上に「効果」と「失点」の部分が大きな意味を持つように思えた。
サーブは殴るもの、少々のミスはリスクとして含んでおく。とよく言われるが今シーズンにおいては「サーブで殴る前提は崩さずにミスはしない」という段階に入ったのではないか。
次にオフェンスについて。これだけリードブロックが浸透した以上攻撃のチャンネルは4にしておかねば厳しいマークにあうことが多く見られた。これはVリーガーがリードブロックの習熟において大きく進歩し、もはや当たり前の技術になったことが大きい。現状攻撃チャンネルが2や3になった場合2枚、3枚のブロックが付くためスパイクの決定率は上がりづらい。ラリー中のMBの攻撃参加やハイセットしかない状況に変化を持たせるパイプが対リードブロックにおいてアドバンテージを取りやすくするキーとなることからここが無いチームほど不利になっていた。繰り返しになるが、もはやVリーグは拾ってつないで外国籍選手のハイセットで打開!という戦術は通用しないリーグになっていると私は考える。
最後にディフェンス。オフェンスの部分でも述べたが、リードブロックについてはV1選手はできて当たり前、出来ないと不利になるスキルとなった。できるから有利なのではなくできないと不利になる段階に来たと認識している。なぜならパイプを含む攻撃チャンネルが4だから。というのが答えだ。攻撃枚数が4に対してブロッカーの最大数は3。であるならばゾーンディフェンスで守ることが現代バレーにおいては定石である。よってバンチ/テディケートシフトによるリードブロックが最も有効とされているブロックシフトとなる。このディフェンスとオフェンスの「当たり前」の変化をここ数年述べてきたがこの変化こそVリーグのレベルアップの要因の一つなのではないか。
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