2023-10-08 03:27 追加
バレーボール男子 パリ五輪予選、リオデジャネイロ会場観戦記 ブラジル ドイツ ウクライナなど
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■ドイツが快進撃
リオデジャネイロ会場にはブラジル、イタリア、イラン、キューバ、ウクライナ、ドイツ、チェコ、カタールの8カ国がいる。五輪予選が始まる前の私のA組の出場権獲得予想は、安定した力のイタリアと、ここ一発を発揮できるウクライナかキューバだった。ところがこの中盤の2連戦で次々と大物を倒し4連勝でトップに出たのは、ドイツだった。続いて3勝1敗で、キューバ、イタリア、ブラジルが追う展開になっている。
ブラジル、イタリアを共に3-1で下したドイツのOPグロゼルに勝因を聞いてみると、「全員が自分の役割を果たせたからだと思います。流れが相手に行きかけた時に、レシーブやブロックでつないで踏ん張って、自分たちの攻撃につなげられたと思います」とのことだ。グロゼルが来ると分かっていてブロックがついてくるのに、それを打ち抜くのもすごいが、MBのブレーメとクリックの二人が絶妙のタイミングでスパイクやブロックを決めていたのも印象的だった。前日にブラジルの敗戦を見ていたイタリアはサーブを緩く前に落とし、ドイツに思う様に打たせない様にレセプション崩しを狙っていたのだが、逆にネットになるサーブミスが多く、自分たちのリズムに持って行くことができず、得意のブロックもお株を奪われた形となった。
■苦しむブラジル、ウクライナ
今季のブラジルはOHの選択に迷いがある。パスヒッターとなる攻守に長けた選手がルカレリしかおらず、対角を誰にするか、高さをとるか、守備で固めるか……となかなか2枚揃わない。加えて、全体的にサーブで優位に立つことができず、サーブ&ブロックの得意の形に持ち込めない。五輪予選前には、南米選手権で遂にアルゼンチンに南米王者を奪われる羽目になった。
世界ランキングで来年決まる出場枠が望めそうにないので、この五輪予選に一発勝負を賭けてきたウクライナだが、初戦のキューバ戦でキャプテンOHプロトニツキーがひざを負傷したようで、その後はピンチサーバー、後衛の守備固めに回っている。チームにとって大きな打撃である。
ブラジルのダーランの気迫のスパイク。写真:FIVB
ブラジル対ウクライナ戦は3-2で辛うじてブラジルが出場権獲得に臨みをつないだ。終始、ウクライナが優位に試合を運んでいたのだが、要所でミスが出たり、終盤は疲れからか足が止まり勢いを失った。この試合でブラジルに息を吹き込んだのは、OPダーランだ。サーブ前の『NARUTO』のポーズでお馴染みの選手だ。普通、サーブの前には「エース、エース」や「ダーラン、ダーラン」と連呼する声援が起こるのだが、この日は4セット目後半からなんと「NARUTO、NARUTO」と耳をつんざく様な大声援が起こった。
試合後、ダルゾット監督は、「去年の世界選手権のウクライナの成績を見れば、難しい試合になると分かっていました。ブルーノ、ルーカス、ルカレリ、ターレスといったベテラン勢が引っ張り、フラビオやダーランもそれに応えたと思います。点を追う形で試合が進み難しかったですが、精神面で集中できた事が勝因になると思います。チームが乗ってきているし、団結できているのがとても良かったです」とドイツに負けた後の勝利に少し安堵した表情を見せた。
■応援する側も体力がいる
ブラジルの応援に鳴り物は欠かせない。写真:筆者
ブラジルのバレーファンはとにかく元気だ。試合前からウエーブやら歌ったり、試合中はいいプレーが決まればバッと立ち上がって、叫びながら手に持っている旗やTシャツを振り回す。サンバの打楽器の応援団も2時間半叩きっぱなしだ。ブラジルは円形の体育館が多いので、音がぐるぐる回る感じで迫ってくる。しかしお見合いなど凡ミスが出れば、「何やってんだ!」と容赦なく野次も飛ぶ。ブラジルは次のキューバ戦を“決勝”と思って戦わなければもう後はない。残り3連戦。このままドイツが突き進むのか、五輪や世界選手権を制したブラジルやイタリアが意地を見せるか、そこにキューバが食い込むことができるか、目が離せない。
取材:ブラジル在住 唐木田 真里子
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