2025-03-28 16:27 追加
1984ロス五輪銅メダリスト・三屋裕子さん(現・日本バスケットボール協会会長)インタビュー「スポーツが世の中にいい影響を与え、社会課題の解決につながるような活動をしていけたら」
Others / 全日本代表 女子 / 大学バレー 女子
――当時の女子日本代表は大学在学中や大卒の選手がとても少ない時代でしたね。1984年に銅メダルを獲得されたロサンゼルス五輪は三屋さんと同じ筑波大に進学した廣紀江さんも出場され、2人でした。
一方、昨年のパリ五輪は交替選手も含めると5人が大卒選手。2022年世界選手権には当時大学生だった佐藤淑乃選手と宮部愛芽世選手がメンバー入りしたりと、女子もだんだん大学バレー経験者がフル代表に選ばれるようになってきました。これについてはどのように感じていらっしゃいますか?
三屋:とてもいいことですね。ひとつはスポーツ科学が発達し、体のメンテナンスをすごく丁寧にやっていただけるようになって、選手寿命が伸びたのだと思います。
1976年モントリオール五輪あたりの先輩方は24歳くらいに引退される選手が多かった。大体1回オリンピックに出てお辞めになっていましたから。私は26歳で引退だったんですけど、それでも遅い方でした。
今は26ぐらいだと「まだまだできる」って言われちゃうでしょう?
私の現役時代はメンテナンスも殆どないし、アイシングなんかもなかった時代なので。やはり今は体のケアがすごくできるようになってきたし、JISS(国立スポーツ科学センター)のような施設もできて、いっぱい科学的なサポートをしてくれてたりとか。あと、アナライズも進化して、動作分析やゲーム分析もしてくれる。そこは経験的な部分でやっているわけではないので、今は大学に行ってからプロになっても遅くない。私たちは大学卒業したら22歳でもそんなに長くできないと言われた時代だったので。だから、大学に行くことが回り道ではなくなってきているのはとてもいいことです。
――大卒や大学バレーの選手に取材すると、「高校までは指示に従ってやらされるバレーで、大学では練習メニューなども自分たちで考えて取り組むので、大学バレーを経験して良かった」という声をよく聞きます。
三屋:やらされ感の強いバレーをやっていたら続かないと思います。我々の頃は今みたいにスマホなどもなく、娯楽といえばテレビを見るか、友達と話すかくらいでしたけど、今の子っていくらでも遊べて、1人でもオンラインで何でもできてしまうので、そんな中でやらされ感が強いのは耐えられないでしょうね。私たちの頃みたいに、何にも他に娯楽がない中であれば、やらされ感いっぱいでも何とか我慢できる。でも、今みたいに何でもできちゃう時代にぎゅっと抑圧されると、むしろ今の子の方がしんどいのではないでしょうか。
そして、確かに自分で考えることを身につけてからプロになるというところではプラスに働きます。でも逆に考えられない性格だと落ちていくケースもあります。
最初に話した時間管理の問題で、勉強との両立とか、好きなものを好きなだけ食べてしまって体重管理ができなかったり、解放されて遊んでしまったり…。その解放されたことがすごくプラスに活きる人とマイナスになっちゃう人って両極端なので。高校の時いい選手だったのに、大学に行って失敗するケースもあるので、バレーに限らず、大学スポーツをするなら自己管理をきちんとできるようになることが大事だと思います。
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