2015-08-01 11:41 追加
WL2015ファイナルレビュー&コメント
ワールドリーグファイナルを別の側面からレポート
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ワールドリーグファイナル2015。「世界のバレー会場から」では主にセルビア会場を中心とした観戦のレポートでしたが、ファイナルのリオラウンドでの声をお届けします。
新王者フランス誕生
■ロシアがまさかの11連敗
予選リーグのグループは、A組イタリア、オーストラリア、セルビア、ブラジル、B組はアメリカ、イラン、ポーランド、ロシアとなった。ブラジルが開催国としてファイナル出場が決まっており、昨年のグループ2からあがったオーストラリアが力では一歩劣るため、当初からB組の激戦が予想された。
予想通り、アメリカ対イラン戦からファイナルの決勝かと思うような両チーム一歩も譲らぬ試合運びになり、昨年、世界選手権で優勝したポーランドも好調なスタート。この3チームのぶつかりあいに対し波に乗れないのがロシアだった。大黒柱のMBドミトリー・ムゼルスキーがケガで出遅れたのが痛いが、個々の力はあってもチームとしてのまとまりがなくずるずると11連敗。アンドレイ・ヴォロンコフ監督は解任され、ロンドン五輪優勝のウラジーミル・アレクノ氏が復帰した。
A組はどのチームも若手や新加入の選手を試しながらスローペースの試合運びだった。監督、メンバーを大きく交代したオーストラリアもイタリアとセルビアから1勝ずつ金星をあげた。イタリア対ブラジル戦では、テニスのローマオープンで使用されている会場で屋外試合が行われた。
ファイナルにはポーランド、アメリカ、イタリア、セルビア、開催国ブラジル、そしてグループ2を圧倒的な力で勝ちぬいたフランスが勝ち進んだ。
■五輪テストマッチの開幕
リオ五輪を翌年に控え、様々な競技でテストマッチが行われるが、その第一陣となったのがバレーボールだ。ボランティアや警備員の配置の確認、ドーピング検査対応など本番に近い形で行われた。バレーボールは既存の施設を使うために、警備などは慣れたものだ。会場入口に今までにブラジルが獲得したメダル、写真、今回のWLの優勝トロフィーなどの展示が行われたが、昨年の世界選手権前は展示した優勝トロフィーが盗まれるという事件があっただけに、最終日に無事、優勝トロフィーを渡すことができ担当者はホッとしていた。
五輪では準々決勝以降、最後の試合が夜の10時15分開始になり、試合終了は午前0時を超えることが予想されるため、会場内よりも周辺の治安が問題になる。ちなみにコパカバーナ海岸で行われるビーチバレーは最終戦が午後11時開始だ。どちらもTV放映の時間の都合によるものなのだが、観客そして何より選手の体調管理を優先してもらいたかった。
■ブラジル、イタリアが不安を抱えての予選リーグ
まず開催国ブラジル。直前に今季絶好調だったMBリアド・リベイロが膝の靱帯損傷で離脱。OPワラセ・デ・ソウザが背筋痛で出場が微妙となり、メンバーを外れたOPレアンドロ・ヴィソットが急きょ招集された。次いでイタリアはチーム内の規律違反を犯したということで、大黒柱のOPイヴァン・ザイツエフを含む4人がイタリアに帰され、他のメンバーを呼ぶという非常事態になった。飲酒や女性問題か様々な憶測があるが、詳細は明らかにされていない。
3チームに分かれた予選リーグはどちらのグループも全て1勝1敗で並ぶ混戦だった。準決勝進出を賭けたフランス対アメリカ戦。ここでフランスが勝てばブラジルが準決勝にいけるはずだったが、先にアメリカが2セット連取、続く第3セットをフランスが取り返すが、ここでもし3-1でアメリカが勝っても得点差で、フランスが14点取れば両チームの進出が決まり、ブラジルは敗退となる。フランスが15点を取った時点から両チームとも気の抜けたサーブミスばかりの試合になり、ブラジルファンの怒りが爆発する。「今日はブラジルの試合がないのに、金払って見に来てるんだ。まじめにやれ」、「フランスよ、自分たちが勝って準決勝に行きたくないのか? 恥を知れ」と両チームに激しいブーイングが浴びせられた。
もう一方のグループはセルビア対ポーランド戦で準決勝進出が決まる。両者譲らず2-2でフルセットにもつれこむ。この試合で27得点と安定した力を見せたアレクサンダー・アタナシエビッチが力でねじふせた。この結果、イタリアの敗退が決まった。
■準決勝アメリカ対セルビア、フランス対ポーランド
チケットが早々に完売となった準決勝、決勝戦。ブラジルの進出を阻み、おまけに前日だらけた試合となったアメリカとフランスに対するファンの怒りは収まらない。会場全体がセルビアとポーランドの応援となった。
【第1試合アメリカ対セルビア】
セルビアが昨日の勢いを持続し、良いサーブで優位に立ち2セット連取。アメリカは初戦で今年WLにデビューしたWSアーロン・ラッセルがねん挫したのが痛い。予選リーグではラッセルが相手ブロックを引きつける分、OPマシュー・アンダーソンがより自由に打ちまくることができた。アンダーソンも打ちまくるが、ネットタッチのミスやスパイクアウトで相手にポイントを献上してしまう場面が多かった。ここでチームを引き締めたのが、キャプテンのMBデヴィッド・リーとSのミカ・クリステンソンだ。セッターながら198cmと高さのあるクリスチャンセンが1枚ブロックで止める場面が何度もあり、それを警戒したセルビアのアタッカー陣が今度はMBのリーにつかまってしまい、2セット取り返す。
第5セットに入ると集中力の切れたセルビアにミスが出て10-6とアメリカが勝負を決めたかにみえたが、ここからセルビアが粘りを見せアタナシエビッチを下げるも、サービスエースとブロックで17-15で逃げ切った。
【第2試合フランス対ポーランド】
世界選手権でブラジルを破り憎いはずのポーランドだが、この日ばかりは前日のフランスへの怒りが勝り、会場に「ポローニャ、ポローニャ(ポーランド、ポーランド)」の大合唱が響く。出だしにフランスのWSケビン・チルリエが膝を痛め退場となったが、2セット連取と勢いに乗る。この後、ポーランドのサービスが良くなり、フランスのレシーブミスも出始め、OPアントニン・ロージエルを抑え込むことができた。最後は両チームともWS、OPの点の取り合いとなるが、最後はフランスのブロックで3-2で勝利した。
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