2021-05-18 09:54 追加
小野寺太志「ポジション争いは誰にも負けない自信あり。同級生の石川が主将になり、僕もチームにいい働きかけをしたい」囲み会見コメント
全日本代表 男子
――同世代の石川(祐希)選手がキャプテンになり、長く一緒にプレーしてきて、石川選手に感じる変化、そしてご自身も自分の年代がそういう立場になったということで、気持ちに変化はありますか?
小野寺:同級生が日本代表でキャプテンをやっているということに刺激をもらいますし、彼が代表に合流して放つ言葉の一言一言がいろんなことを経験してきて話してることなんだろうなというのを感じます。そういったところを見て、「キャプテンらしいじゃん」って思いながら(笑)、話を聞いています。今、代表にいる選手もどんどん若返ってきているので、僕らの世代もチームを引っ張る立場になってきています。そういった中で自分のプレーもそうですし、チームにいい働きかけができるかを僕も意識して取り組んでいかなければならないと思っています。
――今おっしゃっていたように、チームに若い選手が増えて、リオ五輪のOQTも経験していない選手が大半を占めるようになってきました。これからネーションズリーグの先のオリンピックを制していく中でチームにとっていちばん大事だと思うことは? 石川選手はネーションズリーグは8位以上になることが必要と話していましたが、小野寺選手はどう捉えていますか?
小野寺:自国開催で出場権がもともとあった中で、オリンピックでは結果を出していかなければならないということで、そこは2年前に福澤(達哉)さんも言っていましたし、石川も今言っていますが、どれだけ自分たちにプレッシャーをかけながら、普段の練習であったり、ネーションズリーグなどの試合に取り組み、結果を残していけるかが大事になってくると思います。
各国の選手たちは予選を勝ち抜いてオリンピックに出るわけなので、そこのプレッシャーをもっともっと自分たちにかけながらやらなければならないと思うし、ネーションズリーグの順位というのも大切だと思うので、そこがオリンピックに向けていい弾みになれるように。若い選手もいますが、僕自身もOQTを経験していないので、そこは先輩たちに頼りながら、プレッシャーを感じて、逆にチームにいい影響を与えられるように、その意識はチーム全員が持っていると思うので、それを継続してネーションズリーグを戦っていきたいです。
――アウトサイドに若い選手が出てきて注目されがちですが、ミドルブロッカー陣は自分たちが引っ張っていこうという気持ちが強くなっているというのはありますか? また、選考に関して自信があるとおっしゃっていましたが、具体的にご自身の強みは?
小野寺:サイドの選手がどんどん若返っているので、プレッシャーを感じずにのびのびとプレーできるように、僕たちがミドルブロッカーとして役割を果たしていけたら、どんどん楽になってくる部分はあると思います。のびのびとやってもらうためにも、僕たちの技術的なところやブロックに関する戦略もしっかり詰めて彼らを引っ張っていくことができれば、負担は減っていくのかなと思うので。
僕自身についてはVリーグの中でも個人賞(2年連続ブロック賞、3年連続ベスト6。一昨年はスパイク賞も)をとることができ、そこが自信になっています。(高橋)健太郎さんは高さ、李(博)さんはスピードとサーブ、山内(晶大)さんは身長を生かしたブロックがすごいけれど、その中でも負けずにVリーグを戦い抜いて結果を残すことができました。スパイク、ブロック、サーブ、ディフェンスも含めていろんなもので他の選手に負けていないという自信があるので、そこは何よりも大きいかなと思います。
――代表歴を重ねて、現在はどのような心境でコートに立っていますか? 2018年世界選手権の頃などと比べるとどのような変化がありますか?
小野寺:前ほど緊張はしなくなったかなと。周りに若い選手が増え、年齢もコートの中では少し上になってきたので、緊張していられないというか(笑)
先日の親善試合でいえば、藍があれだけ活躍してくれたので、負けてられないという思いもありますし、逆に引っ張っていかなければならない立場なので、緊張というよりもどう戦っていくか? 藍のように国際大会の経験が少ない選手は1試合目で相手にブロックされるシーンが多く見受けられたので、そこはチームでもカバーしていかなければならないと思います。僕たちのこれまでの経験をもとに、経験の少ない選手たちが戦っていけるようにサポートしながら、僕たちもいいプレーができればいいと思うので、心境としては前よりはリラックスして試合に臨めているかなという印象です。
――先ほどのお話の中で石川選手が合流して発した言葉で「キャプテンらしいな」と思ったということでしたが、どんな言葉を聞いてそう思ったのか具体的に教えてください。
小野寺: 練習が始まる前にキャプテンが挨拶をするのですが、その中で合流が遅れたことに対するコメントや、これからネーションズリーグを戦っていく上でこういう意識を持っていかなければならないといったことを、チームを代表して話してくれました。チームとして目指すべき方向を示してくれましたし、あれだけの実力のある選手が話すのを聞いて、若い選手や他の選手も「なるほどな」と思ったシーンだったと思います。その時に声は小さかったですけど(笑)、「頼もしいな。キャプテンらしくなったな」と思いながら聞いていました。
――東京オリンピックは復興五輪ということがひとつのテーマとされています。 東北(宮城県)出身者として、それについての思いを聞かせてください。 東日本大震災の時、ご自身はどのような状況だったのかも併せて教えてください。
小野寺:中学校3年生の卒業式の日だったのですが、卒業式が終わってから、幼なじみの家族とみんなで温泉旅行に行くことになっていました。母がお菓子や飲み物を買い出しに行って帰ってきて、あと5分か10分で出発しようという時にあの地震が起きました。もちろん温泉旅行はなくなりましたし、電気やガスも使えないような状況だったので、避難所に行った人に比べたらまだ楽だったのかもしれませんが、不便な生活でした。 家は無事でしたが、それでも大変な思いをしながら過ごしていました。
東京五輪は復興五輪と呼ばれていますが、僕の地元の人たちであったり、そのほかにも福島など、いろいろなところで被災を受けた方に対しての思いを、僕たち選手がスポーツを通して見せていける部分は、結果だったり、プレーのところだと思うので、そこを見てスポーツの力で元気になってほしい。そういう力が僕たちにはあると思うし、見せていかなければならない立場だと思うので、それを意識してオリンピックに臨んでいきたいです。たくさんの方々が応援してくださっていると思うので、その期待にも応えたいと思っています。
写真:黒羽白
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