2022-03-12 09:00 追加
名門パナソニックの救世主となるか!? 現役大学生Vリーガー大塚達宣「たくさん学ぶことがありすぎて、毎日毎試合が楽しいです!」
大塚達宣コラム
SV男子 / 全日本代表 男子
2021年の年の瀬も押し詰まった28日に一つのニュースがバレーボール界を駆け巡った。V.LEAGUE DIVISION1MENのパナソニックパンサーズが、期間限定で現役大学生2名を入団させるというもの。1月8日のFC東京戦から今季リーグ終了までとのことだった。一人は昨夏東京五輪にも参加した早稲田大学3年の大塚達宣、もうひとりは筑波大3年のエバデダン・ラリー。V2、V3ではこれまでも現役大学生をメンバーとして戦うチームは存在したが、V1男子でこの制度を活用したのはおそらくパナソニックが初めてだろう。
1月8日の週は別のカードを取材する予定だったが、急遽パナソニックアリーナに変更。FC東京を相手にワンサイドなゲームを展開したパナソニックは、3セット目の16-8になったところで仲本賢優にかえて大塚を投入。4打数2得点、サーブレシーブも3本受けて3本とも返して申し分のないVデビューを果たした。
翌日は1セットを落としたこともあり、出場機会はなかった。バレーの場合、内定選手はすぐに使われるよりも、このように点差が開いたときに試合なれさせるために起用されることが多い。今後もそういった起用になるのだろうかと思いながらこの節は終わった。
デビュー戦後の会見でこのように例外的な加入をすることになった経緯を聞いてみると、「2021年代表を経験させてもらって、オリンピック、アジア選手権、ネーションズリーグなどを通して、自分の中で自信がついた部分もあれば、もっとバレーボールにかけたいという気持ちがとても強くなった。大学はインカレが昨年12月にあって、1月から3月はオフシーズンに入るので、その期間に石川選手を始めとして海外でプレーする選手やVリーグでプレーする選手がたくさんおられる中で、いい意味で焦りがあった。その人達の活躍を見るだけじゃなくて、自分もその環境に飛び込んでバレーボールをしたいという気持ちが強くて、それでこういう形でやらせてもらうことになったんですけど、その中でパナソニックパンサーズさんというのは、もちろんパンサーズジュニアだから、地元だからというのもあるんですけど、まずそれ以前にこのチームの環境がすごくいいと思う。
ティリ監督やクビアク選手だったり世界でたくさんのことを経験されている方もおられたり、日本人の選手も清水選手だったりたくさん経験されてきた方がいるので、たくさんのことを学ぶことができるチームだと思ったのでパナソニックパンサーズを選びました。」と、しっかりとした口調でコメントした。
彼の言葉の中にもあったように、五輪出場したチームメイトたちは、石川祐希をはじめ、西田有志、同じ大学生の髙橋藍がイタリアセリエA、セッターの関田誠大がポーランドリーグでプレーしている。大塚は海外挑戦の意思はなかったのだろうか。その答えは「イエス」でもあり、「ノー」でもあった。昨年の1月ごろには海外でプレーしたいという気持ちがあったのだという。だが、彼が通う早稲田大学は授業の単位取得が厳しく、長期で海外に行くのは現実的ではなかった。また、ずっと早稲田バレーチームを引っ張ってきた宮浦健人が卒業して大塚がチームの中心となった今、チームを離れすぎることも考えにくかった。そこにパナソニックからの話が来て、大塚はすぐに肯んじた。もともとパナソニックの本拠地である大阪府枚方出身で、ジュニアパンサーズにも所属していた。だがそれ以上に大塚を魅了したのが、東京五輪でフランス代表に金メダルをもたらしたティリロラン監督と、バレー界のイニエスタと言っても過言ではないポーランド代表主将のクビアクミハウ、そしてともに東京五輪で戦った清水邦広の存在だった。
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