2026-09-22 01:27 追加
【監督に聞く】ビジネスの世界から母校の指揮官へ。中央大学バレー部・野沢憲治監督が描く「同期との絆」と「世界を見据えた指導」
中央大学バレー部・野沢憲治監督インタビュー
大学バレー 男子

中央大学男子バレーボール部を率いる野沢憲治監督。母校を卒業後、VリーグのジェイテクトSTINGSで活躍したのち、引退後は一般社員としてビジネスの最前線へ。その後、企業からの「出向」という形で母校の監督に就任しました。復帰までの背景や同期たちとの交流、そして中大独特の取り組みである「イタリア派遣」の狙いについてお話を伺いました。
──一度バレーボール界から離れ、企業勤務を経て母校の監督に就任されました。就任までの経緯を教えてください。
野沢監督: 中央大学バレー部は伝統的に、企業からの出向者が監督を務めるスタイルを取っています。私もVリーグ引退後はジェイテクトで一般社員として勤務していましたが、会社からの出向という形で母校の指揮を預かることになりました。
──一般企業での経験があるからこそ、チーム運営に活かせていると感じる部分はありますか?
野沢監督: 大きく3つあります。
ひとつめは、論理的な組織マネジメントを意識しています。企業づとめで培った課題解決のプロセスやコミュニケーション設計を、そのままチーム運営に応用しています。
2つめは、キャリアを見据えた指導ですかね。競技の「その先」にある社会人生活を知っているからこそ、技術だけでなく人間的な成長や将来像まで含めた指導ができます。
3つめは、手前味噌になりますが、客観的な視点があることでしょうか。バレーボールの「当たり前」にとらわれず、フラットな視点で組織の課題に向き合える点も強みです。
──久々の現場復帰にあたって、ご苦労や葛藤もあったのではないでしょうか?
野沢監督: やはり戦術やトレーニング論の進化など、最新トレンドへのキャッチアップは大きな課題でした。ただ、そこで本当に助けられたのが同期たちの存在です。
例えば、中央大学の元監督で石川祐希選手や関田誠大選手を育て、母校の東山高校でもコーチとして髙橋藍選手を育成した松永理生は大学時代の同期なんですよ。彼からは指導者としての考え方や現場でのアプローチ方法など、本当にたくさんのアドバイスをもらいました。
また、大学は違いますが(東海大学出身)、同じく同期の酒井大祐さんにも大変お世話になりました。彼がジェイテクトにいた時期にいろいろと話を聞かせてもらい、現場の感覚を取り戻すうえで大きな糧になりましたね。そう考えると、同期って本当にいいものですよ。
──豪華な同期からの刺激に加えて、中央大学といえば日本代表のキャプテン・石川祐希選手からスタートした「学生の海外(イタリア)派遣」という非常にユニークな取り組みでも知られています。これについての狙いを教えてください。
野沢監督: 中大バレー部では、在学中に世界最高峰のイタリア・セリエAへ選手を派遣・留学させる独自のプログラムを行っています。大学の部活動という枠組みに収まらず、若いうちから世界のトップレベルの高さ・スピード・文化に触れさせることは、個人の技術面だけでなく人間的な精神力(タフネス)を鍛える上で非常に大きな意味を持っています。
海外で揉まれて帰ってきた選手がチームにその空気感や高い意識を還元してくれますし、私自身も企業出身者として「学生たちが世界や将来のキャリアに広い視野を持てる環境を作る」という意味で、このイタリア派遣は非常に重要な取り組みだと実感しています。
私の在任中に海外に派遣した選手たちは、みんな卒業後もトップリーグでのプレーを続けてくれる進路になりました。ありがたいことです。
──最後に、今後のチーム作りで突き詰めていきたいポイントを教えてください。
野沢監督: 春季リーグや東日本インカレなどを経て、上位には食い込めるものの最後の一歩で勝ち切る難しさを痛感しています。イタリア派遣などを通じて世界基準の個を育てつつ、勝負どころで「自分たちのバレーを100%発揮できるメンタリティ」と「細部の精度」を磨く必要があります。企業人としてのバランス感覚も活かしながら、チーム全体の底上げを図っていきたいです。
【取材を終えて】
指導者としての軸には、ビジネスで培ったロジカルな思考と、松永氏や酒井氏といった熱い同期たちとの強い絆がありました。そして「海外派遣」をはじめとする先進的な環境作り──。「バレー畑一筋ではない」からこそ持ち込める新しい風と広い視野が、これからの名門・中央大学バレー部をどう進化させていくのか、今後の戦いから目が離せません。
取材・写真:中西美雁
プロフィール
野沢憲治 のざわ けんじ
2004年中央大学卒業後 豊田工機(現ジェイテクト)へ入社し、2011年までセッターとして活動。2016-2021年には海外駐在を経験し、2023年より母校である中央大学にて監督を務め、海外勤務で培った視点も指導に生かし、競技力だけでなく人間力の向上を目指す。
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