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インタビュー

2016-04-27 16:09 追加

久光製薬 優勝インタビュー 中大路絢野

優勝記念特集第2弾

SV女子

 

_M9A8689-sファイナル6でまさかの連敗スタート。それまで正セッターを務めていた古藤千鶴選手が負傷。そんなピンチに久光製薬の先発セッターの大役をまかされた中大路絢野選手。ファイナル6・第3戦前夜のミーティングで中田久美監督からいきなり「アヤノでいく」と言われ、「正直びっくりした」と振り返った。そんな中大路選手にリーグの感想や、セッターとしての自分の強み、目指すバレーについてなどうかがいました。

――優勝おめでとうございます!
ありがとうございます!
――改めて振り返ってみて、リーグどうでした?
ほんとに崖っぷちで……最後は自分たちの力だけじゃ(ファイナル3にも)上がれないという状況までいって。そのときにみんなが何かをしなきゃいけない、何か自分たちが変わらなきゃいけないって思って、素直に勝ちたいって気持ちを前面に出して練習をすることができたので、素直なバレーボールに対する気持ちっていうのが最終的に優勝につながったのかなと思います。

――レギュラーラウンドの最後2つを勝っていい形で入りながら、ファイナル6は連敗。たいへんな状況で、3試合目のトヨタ車体戦から先発。聞いたときはどう思いました?
正直びっくりしたっていうか、えっ? って思って。土曜日の試合(日立に0-3)が終わって、夜の20時過ぎぐらいからみんなでミーティングをしたんですけど、久美さん(中田監督)のミーティングの初めの一発目がその一言で、「明日、アヤノ(中大路)で行くから」って。それから(トヨタ)車体に対する対策ミーティングをしました。

_M9A8741-s――前に個人的に言われることもなく?
はい、何もなかったです(笑)そのときに言われました。

――その後もなかった?
その後もなかったです(笑)試合中はすごく話してくださったりアドバイスをもらったり、今こうなってるよって言って頂いて、あとはやりながら、みたいな。他の選手とかにも、ミーティングが終わってからたくさんいろいろ不安なところがあったのでいろいろ聞きにいったりしたんですけど、「いろいろ考えてもしょうがないから、やりながら頑張ろう」みたいな感じやったんで、いい意味で割り切りました。

――その車体戦からファイナル6、ファイナル3、ファイナルまで自分が上げて優勝。自信になりましたか?
そうですね。自分がどうにかしたっていうことではないので、自分の自信かどうかはわからないんですけど、やっぱりコートに立ってやってみて初めてわかることもいっぱいありましたし、試合に出ないとわからないなっていうところはけっこうありました。優勝できて……やっぱり“ホッとした”が大きいです。

――「スパイカーが気持ちよく打てるように」「調子がいい人の調子を下げないように」「楽しんでやろう」って言っていたのが印象的でした。
自分のできることは限られていて、持ってる力をいかに出すか。自分の世界に入っていってもしょうがないし、固まってしまうと自分の持ってるプレーも出せないと思ったので、楽しく雰囲気を作っていっぱいコミュニケーションを取ってやるのが一番自分が力を出せる方法かなって思ったので、(同期の)ミユ(長岡望悠)とかユキ(石井優希)とかからどんどんしゃべっていこうと。上の人たちもみんな、リサさん(新鍋理沙)もナナさん(岩坂名奈)もミズさん(水田祐未)も「もうちょっとこういうコンビ入りたい」とか「こういうトスがほしい」とか言ってくださったり聞いてくださったので、すごいやりやすかったです。

――声出してましたよね。「いけーー!!」とか(笑)
はい、言ってました! 言ってました!(笑)言っていいのか迷ったんですけど、気にして遠慮してないで気持ち出そうと思って。

――「ユキーーー!!」とか「ミユーーー!!」もよく聞こえましたよ(笑)
「ユキーーー!!」めっちゃ言ってました。トス上げないときにも「ユキーーーーーー!!」って(笑)トス上げるまでは頑張るけど、トス上げた後はスパイカーに頑張ってもらうしかないんで「そこからはお願い」っていう気持ちで。

――改めて、中大路さんというセッターの持ち味というか強みはどんなところですか?
基本的にけっこう速いトスが好きで、特にライトへの速いトスが自分的には得意なので、それを活かしたいなと。ミドルのワンレッグのスピードだったり、ミユの高い打点を残したところでの速さとか。コンビが作っていければ、そういったところで私の得意な速いトスが活きてくるかなと思ってます。

――新鍋選手へのトスは難しいと中田監督がおっしゃっていました。ファイナルではそれがいい感じで、それまでより速くなっていたように感じました。
そうなんです。リサさんはいろいろ打てるからこそ難しい。幅のないスパイカーとかだとここに上げれば打ってくれるっていうのがあるんですけど、リサさんはどこに上げても打ててトスをみてタイミングを合わせて入ってくれるので、セッターとしてはいつ入ってくるのかわからないっていう……。ファイナルでは、リサさんも機動力があるので中に切り込んだりとか得意で、私もそれを活かしたいなと思ったので、短めのトスを多めに入れたりしていました。

――速さが持ち味なら、ミドルももっともっと使っていきたい感じですか?
ミドルは使いたいですね。チャンスがあればどんどん。ただいいパスのときにミドルばっかりいっちゃうとどうしても苦しい場面でサイドサイドとなっちゃうので、いいパスでもサイドへ持っていってって考えてるとどうしてもサイドが増えてきて……と。

――そういえば監督が、「(ファイナル3の前に)中大路は怒られて、私のいないところで泣いていたそうです」とおっしゃっていました。厳しい言葉があったのですか?
はい。コンビでスパイカーの使い方を偏ったところに上げすぎてて、Aパスのときにミドルを使いすぎていたということの指摘をうけて。自分の中では使える所でミドルを使わないとっていうのがあったので、半分どうしていいのかわかんない、どうしたらいいの、みたいなパニックになって……練習が終わっていろいろ考えようとするとぶわーってなっちゃって。久美さんはセッターなのでセッターに対しては厳しいと自分でもおっしゃっているし、セッターが崩れるとチームがぶれちゃうんで、そういう期待をこめてなのかなと今では前向きに捉えることができています。

――セッターが監督というのは、やっぱり心強かったりしますか?
そうですね。セッターにしかわからないことってけっこうあると思うので、それを経験した監督が指導してくださるのはとても心強いです。セッター目線での指導が多いのでわかりやすい。具体的なんですよね。トスの足の一歩目はこっちから出した方がいいとか、やった人にしかわからないアドバイスが、細かいことまで、それがわかりやすいです。

_M9A8746-s――中大路選手が思う「久光が目指すバレー」ってどういうバレーですか?
速い展開を追求している。パスも1本目から高く上げるんじゃなくて「ワンフレーム」っていってコートの上にゴムをはって練習したりしているんですけど、1本目も2本目もそのゴム以上に上げないリズムでバレーをしようってチームで統一してやっているので、その速い展開かなと思います。

――そういったバレーではセッターの役割は大事ですね。
はい、大事です! 久美さんからは速くボールの下に入れってよく言われます。1本目が速いんで落下点に速く入らないと、スパイカーもいつ踏み切っていいか、いつ跳びこんでいいかわからないからまずはセッターがしっかりボールの下に入って、スパイカーにここからいくよって見せるのを速くするようにって言われてます。なかなか難しいです。自分が予想してる所に来たら1歩目がスッと出るんですけど、思ってるとこと違うとこに来たら止まってしまって一歩目が出なかったりするので。

――どんなセッターになっていきたいですか?
ファイナルでもやったんですけど、「切り込み」とかがけっこう好きなので、スパイカーと目を合わせて、呼ばなくても、“ああこのときはここに入ってくるな”とかそういうのがわかるぐらいまで詰めた練習をして、コンビネーションを組んでやっていきたい。見てて面白いっていうかやってて面白いっていうか、やってて面白ければ見てても面白いと思うんです。日本人が外国人に勝とうと思ったら、単調なバレーじゃなくそういう機動力を活かした攻撃をしていかないと勝てないから。日本人らしいバレーっていうか、それが久光の目指している速いテンポのバレーと重なってくるとすごい展開が出てきて面白いと思うので、そういうバレーをセッターの私が中心になって考えたり、そういう切り込みやコンビを使ったバレーをもっとできたらいいなと思います。

――トスワーク以外でのプレーは? ブロックとかはどうですか?
ブロックは、位置取りができればそんなに苦手意識はないので。相手のレフトが外国人とかでむちゃくちゃ高かったら上から打たれますけど、日本人とかでそんなに高くなければ、吹っ飛ばされたりはしないので特に意識はしていません。

――ディグはどうですか?
ディグは……もう課題だらけです(笑)

――でも今リーグ見ていて最初の頃よりはすごく上がってるって思いましたよ。
はい、だいぶ(笑)

――練習、頑張ったのでは?
はい。練習もとにかくディグ! 今まで強打は後ろにまかせてセットアップを早めにするというシステムをとることが多かったので、しっかり強打に残ってから上がるってことをあまりしてこなかったから、それがずっとできなくて。どうしてもふっとよけて上がってしまったりとか。しっかりレシーブしてから上がるということを意識してできるようになったのは久光に来てからです。

――やっぱり全日本や世界、意識しますか?
久光というチームとしてもアジアクラブ(選手権)や世界クラブ(選手権)で世界に挑戦する機会があって、2度行かせていただいて向こうでの生活も含め、試合に向かっていく準備なども勉強になったし、人としての幅も広がるって思ったので、世界を相手に戦いたいなと思います。全日本については、久光でもまだ正セッターとして出ているわけではないので、まずはここで正セッターにならないと全日本という道もないと思っています。

――世界クラブでは中大路選手が上げて、欧州チャンピオン(トルコのエジザージュバシュ)に勝ちました!
あのときは嬉しかったです。あのときも急だったんですよね、スタメン。現地に行ってから決まったっていう。

――そのときに活躍した石井選手や、長岡、野本(梨佳)、栄(絵里香)選手は中大路選手と同期。「これからの久光を引っ張っていく存在になってほしい」と監督も期待しています。
5人……今、中堅くらいの年代で、これから引っ張っていくような存在になっていくと思うんですけど、同い年でコミュニケーションも取りやすいんで、自分たちがこうしたいっていうのをたくさん話し合うことで、上にも下にも伝えていく。いっぱいいるからこそできること、いろんな意見も出ると思うんですけど、練習しながらすり合わせたり話をしてチームに還元していければいいかなと思います。下は遠慮して、みんなの前でしゃべるのは難しいだろうから、私たちが歩み寄って意見を吸い上げてあげたいです。

――最後に中大路選手の目標を聞かせてください。
まず自分が正セッターとして、みんなに安心してもらえるように、「アヤノだったら大丈夫」って思ってもらえるようになりたいです。技術面でもそうだし精神面でも。久美さんがよく「ブレない」っておっしゃるんですけど、チームがどんな状態になったときでも自分がブレずにどっしりと構えて落ち着いて、心は熱いけど頭は冷静に……熱くなりすぎず、常に冷静にしっかり考えられる、それができるようになりたいです。

_M9A8797_-s

写真:大森大

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