2026-06-22 17:37 追加
【バレー】【後編】大塚達宣インタビュー 激闘の幕切れ、そして満員のホームで掴んだ欧州の頂点――「僕のバレー人生は、ここでは終わらない」
中2日、中3日という極限の過密日程で行われるセリエAのプレーオフ。ベローナとの第4戦、ミラノのベンチには異様な光景があった。主力選手数名がコンディション不良に陥り、普段は見られないマスク姿でベンチに座る選手もいた。満身創
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中2日、中3日という極限の過密日程で行われるセリエAのプレーオフ。ベローナとの第4戦、ミラノのベンチには異様な光景があった。主力選手数名がコンディション不良に陥り、普段は見られないマスク姿でベンチに座る選手もいた。満身創痍のミラノは死力を尽くして戦ったものの敗戦。3敗目を喫し、大塚達宣のセリエA2年目のリーグ戦は、昨季と同じ準々決勝敗退という形で幕を閉じた。
「完璧なコンディションで全試合に臨めたわけではなかった。3日に一回ピークを持っていかなきゃいけない難しさを痛感しましたし、心身ともに本当にタフでないとやっていけない世界だと感じました。相手にやられたことを対策して、それが結果に繋がった試合もあった。届かなかった悔しさは率直にありますけど、試合を重ねるにつれてチームとしても個人としても成長を感じられた、悪いものではないプレーオフでした」
リーグ戦が終わっても、ベローナ戦の合間にもトルコ遠征を挟んでいたミラノには、もう一つの、そして最大の戦いが残されていた。欧州の強豪クラブが競う「CEVカップ(欧州チャレンジカップ)」の決勝だ。
満員のホームアリーナに響いた「愛」
決勝第2戦は、ミラノのホームアリーナで行われた。会場を埋め尽くした満員の観客の前に大塚が呼び込まれると、割れんばかりの大歓声がアリーナを揺らした。その光景は、彼がこの2年間、イタリアの地で血の滲むような努力を重ねてきたことへの、現地ファンからの回答だった。
「呼び込みの時の歓声がすごく上がっていて、期待を感じるというか、本当にこのチームでみんなにすごく愛してもらっているな、ありがたいなとピュアに感じました。自分がこの2シーズンで、プレーもそうですし、表現してきたこと、やってきたことの積み重ねだと思うので、純粋に嬉しかったです」
試合は、ミラノが終始主導権を握った。大会規定により、2セットを先取した時点でミラノのCEVカップ優勝(タイトル獲得)が確定する。普通ならそこで緊張の糸が切れてもおかしくない場面だった。
「2セット取った時点で(優勝は)決まったんですけど、監督からも『最後の最後まで自分たちのベストを出して戦うことが一番大事だ』という話があった。満員に近いぐらい入ってもらっているホームですし、集中力をなるべく切らさずに、みんなで3セット目もしっかり戦い抜けたのが良かったです」
ストレートで見事な完勝。優勝が決まった瞬間、コート上は歓喜の渦に包まれた。大塚の脳裏には、準決勝で無念の負傷離脱を遂げた対角の相棒、レチネ選手の存在があった。
「このカップ戦の前半、僕はケア(離脱)で出られないことが多かったし、レチネも途中で怪我をしてしまって相当悔しい思いがあったと思う。普段からすごく信頼し合っているメンバーの1人だったので、彼の分まで優勝したいという気持ちが強くありました。勝てて本当に良かったです。
日本でのキャリアを含めても、決勝まで行っても勝てなかったりという経験が2シーズンあったので、こうやって大事な決勝で勝ち切って優勝するという経験ができたことは、すごく大きい」
元ミラノのリベロであり、試合後には敵味方関係なくミラノの選手たちと温かいハグを交わしていたベローナのリベロ選手との交流や、海外の目の肥えたファンたちとの触れ合い。大塚がイタリアバレー界の文化に完全に溶け込んでいる証拠が、そこにはあった。
貪欲に、さらなる未踏の領域へ
イタリアリーグの結果自体は昨季と同じ。しかし、大塚達宣の中に残った手応えは、昨年とは比べものにならないほど大きく、重い。
「同じ結果でも、自分がコートに出る機会や立場も変わったので、また違った捉え方ができるシーズンでした。シーズン前の自分と比べても、自信を持ってコートに立っている部分が身についたと感じるし、サーブ、アタックをぶつける力、パス、ブロック、一つ一つのスキルの精度が上がっている。自分自身でその成長を感じられていることが一番良いことだと思います」
「優勝は狙えないからってモチベーションが落ちてしまうのはもったいない。僕のバレー人生は、まだまだ別にここで終わりじゃないですから。残りの期間、今までだったら勝つために自分の苦手なところを隠して勝負しなきゃいけない場面もありましたけど、これからは良い意味でどんどんトライしていきたい。自分の課題だと思っているところに積極的に、貪欲に取り組みたい」
怪我の苦しみ、チームの牽引役としての重圧、そしてヨーロッパチェブチャレンジカップの頂点。すべてをその肉体と精神で受け止め、血肉に変えてきた25歳。巨匠フリオ・ベラスコが「日本代表の強力な武器になる」と認めたその才能は、イタリアの激闘を経て、誰も見たことのないタフな領域へと突入している。
大塚は2026年度も日本代表に招集され、6月7日にネーションズリーグの登録メンバーとして日本を旅立った。アウトサイドヒッターには石川祐希主将や「たつらん」の髙橋藍のほか、日本のSVリーグ優勝に貢献した富田将馬ら、ライバルがひしめく。その中でベンチ入りを、更にはスタメンを勝ち取って、今年度最大の目標であるロス五輪の出場権を獲得するために、大塚はイタリアで培った力を存分に発揮するだろう。
(2026年3月22日、およびCEVカップ決勝後にイタリア・ミラノにて取材)
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