2015-05-09 14:16 追加
世界のバレー会場から 第9回 イタリアセリエA1 2014/15ファイナルラウンド
2014/15セリエA1ファイナルラウンドのシステムと現況、サポーターたち
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レギュラーラウンドを1位で抜け2季ぶりにファイナルへ駒を進めたファイナル常連チームトレンティーノ、決勝相手は、今シーズン若手イタリア代表を一気に獲得し、若さとともに実力ある選手の揃うモデナ。
一戦目、順調に走るモデナの2セット連取から3セットを取り返したトレンティーノがフルセットの末勝利。続く2戦目は逆にトレンティーノの先攻を覆し3セット連取のモデナが逆転勝ち。ともに一勝一敗となった現在、セリエA1ファイナルラウンドはまさに接戦、目が離せない状況が続いています。
このように、セミファイナル、クオーターファイナルを含めたファイナルラウンドに1ヶ月を要するセリエA1プレイオフは、4月12日より13チーム中レギュラーラウンド上位8チームによって行われています。システムは次の通り。
まずは1位‐8位、2位‐7位、3位‐6位、4位‐5位がそれぞれ対戦し、3戦2先勝したチームがセミファイナルへ進出。次に勝ち上がった(1位‐8位勝者)‐(4位‐5位勝者)、(2位‐7位勝者)‐(3位‐6位勝者)が対決し、3戦2先勝したチームがファイナルへ。最後、ファイナルだけは3戦先勝、もつれれば5戦目で優勝が決定するという、実に長い日程が組まれているのです。
レギュラーラウンド終了の翌週から週2ペースで開催されるプレイオフ。終了時の順位、上位のメリット下位のデメリットも活かされつつ、1戦で決着がつかないところに下位チームにも大きなチャンスがもたらされており、実際にクオーターファイナルでは昨シーズンの王者ルーベ(マチェラータ)が6位のラティーナに破れるという予想外の結果をもたらしています。このプレイオフこそシーズン最高の盛り上がりの舞台。それぞれのホーム会場を舞台に交互に行われることで試合運びも大きく変動、そしてもつれることによって試合を重ねる度に集客も大きく変化。レギュラーラウンド以上の接戦が常に繰り広げられ、ここにイタリアバレーの魅力が詰まっていると言っても過言ではありません。そしてここからの展開に、チーム発展の未来が託されているように思えるのです。
3シーズン前(2011/12)にA2から昇格、2シーズン前(2012/13)は6位に終わっていたペルージャは、昨シーズン、アタナシエビッチ(セルビア:オポジット)の獲得もあってレギュラーシーズンを3位で終え、セミファイナルで上位ピアチェンツァを破り準優勝という快挙を成し遂げました。まばらだったサポーター席も先へと勝ち進むごとに人が増え、決勝のホーム対戦では会場全体が隙間なくぎっしりと埋まり、多くのサポーターが集結。今シーズンはデセッコ(アルゼンチン:セッター)や、イタリア代表ベレッタ(イタリア:ミドルブロッカー)など各国代表人気選手を獲得することによりサポーターの数がさらに増え、グッズの種類も一気に増大、チケットも一部指定になるなど運営にも変化がみられ、順調に発展の一途を辿っています。
そんなペルージャは今季、プレイオフを敗戦でスタート。背水の陣での戦いを強いられたチームにサポーターの力も入ったのか、もつれ込んだセミファイナルのトレンティーノとの3戦目には、なんと地元ペルージャからサポーターを乗せた大型バス8台が7時間をかけて駆けつけるという異例な光景が見られました。片側エンド一帯を埋めるイエロー&ブルーのトレンティーノサポーターに対抗し、もう片側一帯を埋めるブラック&ホワイトのサポーターたち。2セットを奪われたところからフルセットに持込んだチームの底力には、少なからずこのサポーター陣の後押しが影響していたように思えました。
サポーターを友達と呼ぶペルージャの選手。惜しくもセミファイナル敗退が決定したこのトレンティーノ戦後、選手の乗り込むバスの周りでは彼らを激励しているサポーターの姿を目にしました。シーズンが終了して「お疲れさま」の気持ちを応援のリズムに合わせて表現するサポーター達と、それに応える選手たち。中には一緒に歌う選手もいました。小雨の降り注ぐ中、続々と体育館から出てくる選手一人一人に老若男女のサポーター一団は声をかけてゆき、選手も敗戦の負い目を感じている様子なくどこかほっとしたような顔さえ見せています。一旦、バス車内に荷物を置いて出てくる選手や長く話し込む選手もおり、「身内」に見せるような安堵の表情が伺えました。周りにはセキュリティスタッフなど誰も指示をするような姿はなく、選手とサポーターのみの世界。だからと言って混乱を招くことはなく、お互いが尊重し合っているからこそ保たれている空間。セキュリティの厳しいサッカーでは決して見られないであろう、バレーならではの世界がありました。
勝利後の選手を客席に呼び拡声器で讃えるモデナ、シーズン終了後大勢のサポーターとともにコート上で集合写真を撮っていたピアチェンツァ。試合後、誕生日の選手を囲みホールのケーキでお祝いしていたマチェラータのサポーター、元在籍していた選手が観客として来場した際、手を降って歓迎するトレンティーノの観客たち。ペルージャに限らずどのチームにも選手とサポーターの親しくも讃え合う関係をみてきました。が、選手の入れ替わりの激しいイタリア、来季はどんな選手が何処へと移動するのかサポーターも気になるところでしょう。徐々に動いている世界の市場、ファイナルラウンドで盛り上がる一方で来シーズンに向け、既に多くのチームが動き出しているようです。
文責:宮﨑治美
長崎県生まれ。2007年ワールドカップをきっかけにバレー観戦を始め、2009年頃から徐々に海外へも観戦に行くように。競技経験はないながらも、コートの中で繰り広げられるドラマ、選手の人間性に魅了され観戦し続けている。
第1回 ロシアリーグ
http://vbw.jp/5161/
第2回 イタリアセリエA1
http://vbw.jp/5267/
第3回 韓国Vリーグ「オールスターゲーム」(2013)
http://vbw.jp/5414/
第4回 ヨーロッパ選手権(2013)
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第5回 ドイツリーグ
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第6回 ポーランドリーグ
http://vbw.jp/6613/
特別編 男子世界選手権 第1次ラウンドを終えて
http://vbw.jp/7825/
特別編 男子世界選手権 第2次ラウンドの概要
http://vbw.jp/7911/
特別編 男子世界選手権閉幕
http://vbw.jp/8087/
第7回 2014/15セリエ A1選手動向
http://vbw.jp/8261/
第8回 佳境に入るイタリア「セリエA1」
http://vbw.jp/9310/
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