2017-05-01 16:42 追加
NECレッドロケッツ 山田晃豊監督「世界クラブ選手権では、まず、世界を知ることから。NECのバレーって面白いなと思ってもらえたら」
SV女子
選手たちの成長
――古賀選手の成長というお話がありましたが、OQTに出場後、残念ながらリオ五輪のメンバーから落選してしまいましたが、その後、チームに戻ってからはすぐに切り替えることができていたと思いますか?
山田:はい、本当に切り替えて、NECの練習に打ち込んでいるように見えましたね。引きずっているような様子は見られませんでした。むしろ、帰ってきてからは練習に打ち込むことで、よりもっと強くなってやろう、やってやろうというような意志が見えていました。
――その結果、技術的にもメンタル的にも向上したということなのでしょうか?
山田:技術もそうだし、技術を作る上での本気度もそうですし。また、仲間に助けられた部分もあると思います。のびのびと古賀のよさが出せるような状態を周りの選手たちが作ってくれましたし、お互い、支え合いながらやってるんですけど、本当にいいチーム状態を維持して戦えたなというのがありますね。普段からのメンバー間のチームワークがよかったと思います。
――セッターの山口選手については、前回の優勝時は引退した秋山美幸選手がいて、交代で出場する場面も多く見られましたが、今回はほとんど一人でトスを上げ続けました。その成長というのは、どのように見られていますか?
山田:山口は、前回は移籍で入って1年目での優勝でしたね。その時は秋山に助けられながら、スタートは山口で、リリーフは秋山でやっていました。そして、去年、秋山が引退後、試合を通して上げ切るということにチャレンジし、優勝に届かなかったという悔しさもあり、より自分が軸になるという意志が表面に出て、これまでの経験をしっかり自分の力に変えて、今年はやっていたと思います。非常に安定感のあるトスワークをしてくれましたし、アタッカーの立場から見ても安心して打てる状態でオフェンスをコントロールしてくれたと思います。
――ファイナルで最後の1点という時に近江選手にトスを上げた時は、長い付き合いでもあるので、二人の「絆」のようなものが見えた気がしました。
山田:最後はやはり上げましたもんね。一緒に戦う仲間としての信頼があると思いますね。優勝を目指して一緒に歩む仲間としての絆は、そこだけに限らず、あると思いますが。
――ベスト6に入った大野果奈選手については、どう見ていますか?
山田:いい活躍をしてくれました。本当に安定していて、スタメンを張り続けていましたので。今季はミドルの中では大野がずっとコートにいた選手なので、本当にミドルポジションの軸となる選手として、引っ張ってくれました。全員がオフェンスをするという取り組みをチームでやっていますが、常に大野が持ち味の速いテンポの攻撃で、スピードを生かして、相手に印象付けてくれていたので、周りの選手が生きたというのもあります。そういう意味で、大野の役割というのは、自分が打つというのもありますけど、打たない時でもしっかり相手を引き付けて、印象づいてくれていたのが大きかったです。
――大野選手は、全日本にも復帰しましたが、そのあたりの期待はどうですか?
山田:チームの中で大事な役割ができる選手だと思いますし、攻撃のインパクトがあり、ブロックもいいものを持っているので、頑張ってほしいと思っています。強いて言えば、大野に限らず、うちの選手のいいところでもあり、悪いところでもあるのですが、個人としてのアピールが弱いんですね。全日本で野心を持ってというのが…。チームの中で自分がどう役立つかというのは、みんな強く思っていると思うんですけど、個人として、自分を売っていくというんですか? そういうところは足りない部分なのかもしれないですね。
――今回はNECから、大野選手のほか、島村(春世)選手、古賀選手、鳥越選手が全日本に選ばれましたが、もっと自分をアピールしてほしいと思いますか?
山田:でも、それは全日本というチームの中で、自分にはどういう役割が与えられて、チームに貢献するために、自分はどう動けばいいのかということになっていくと思うんですけど…。うちの選手は、みんな自分よりもチームのことが優先なんでしょうね。個人としての野心が薄いかもしれません(笑) それはいいところでもあるんですけどね。
――中田久美監督とは初めての選手ばかりだと思いますが…。
山田:それもまた、自分の幅を広げていくチャレンジだと思うので。ナショナルチームに行っても、自分の貢献の幅を広げていくのはどこでも同じだと思うので、その辺は自分たちの可能性を信じてチャレンジしてもらいたいですね。
――鳥越選手は、前回選ばれた時は、大会出場はできなかったかと思いますが、全日本でどんなところをアピールしてほしいですか?
山田:鳥越は運動能力の高い選手で、守備範囲が広いので、広い範囲のサーブレシーブ、ディフェンスをカバーできます。第二セッターを務められるのがセールスポイントで、セッターのようなトスを上げられるので、うちではファーストボールをセッターが取った時は鳥越がトスを上げるのですが、そこが彼女の持ち味だと思います。パス能力も高いです。セッター経験はないのですが、高校時代はレフトアタッカーだったため、アタッカーの気持ちがわかると思うので、こういったところを発揮してもらいたいですね。
――鳥越選手、オールスターではスパイクも打っていましたね(笑) 山田監督もオールスターの監督は初体験でしたが、楽しめましたか?
山田:さすがだなと思いましたね。急造チームでもすぐに連携を取ってやれるというのは、さすがに能力の高い選手たちだなと感心しました。練習を見ていても、その場で組んだ6人なのに、適応が速いんですよ。あれだけ急に集まって、パッとやって、連携を取りながら、見せ場を作ったりとか、ファンの人たちに対して、楽しんでもらおうという余裕もありますし。面白かったです。
――木村沙織選手と古賀選手の打ち合いも面白かったですね。
山田:あれはお互いにラリーが続くように、感覚でやったんでしょうね。すごいと思います。
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