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インタビュー

2018-08-04 10:00 追加

「のろい」「とろい」 悔しさからリードブロックを徹底的に強化 伏見大和207cm

V1リーグ 男子 / 全日本代表 男子

ブラジル代表ルーカスにはビビッときた

――ちなみに海外の代表でやってみたい国は?

伏見:僕はブラジル。ルーカス(・サートカンプ)選手がすごい好きで、今まで特定の代表とか選手にハマったことがあまりなかったんですが、昨年のグラチャンの時ですかね、元々ルーカス選手が気になっていたんですが、クイック(スパイク)を淡々とやっているように見えて、高確率で仕事をこなす。身長も僕と同じくらい。(プレーが)ダイナミックというほどダイナミックではないんですけど、とにかくしっかり自分の仕事を、最低限の仕事をこなせられるミドルブロッカー。

ブラジル代表って身長が大きくなくてもできるというイメージがあったんですけど、ここ最近はかなり大型化をはかった中でも、高い世界ランクを維持できるのは、ああいうミドルブロッカーが重要なんじゃないかなと。同時に、なんかルーカスを見ていてビビっとくるものがあった。試合を見ていて、本当にすごいという言葉しかでてこなかったです。スパイクに関して、プロ中のプロというか、8本あったら7本決めちゃうくらいの決定率がすごい高い。サーブもジャンプサーブをうつじゃないですか、しかも真ん中からかなり高い打点からバーンと打つ。シンプルなんですけど良いサーブ打つんですよ。あれって脅威じゃないですか。ああいう選手になりたいと思ったのは大事だなと思いました。

 

――なれると思いますよ。

伏見:いやもう目指しますよ。とことん目指します。で、また、生でルーカス選手を見られたらもっと良い刺激がもらえるかなと思います。だからぜひブラジルと戦いたいなと思います。

(雑談で欧州トップレベル選手のブロックの話題に)

相当、反応の速さと、どれだけ早く出せるか。あとは準備ですね。リードブロックって準備だと思います。僕もよく言われますけど、常に準備して構えてろって。ただ突っ立てたら反応が遅れるから、膝まげていつでも跳べる準備しておけ、横にもいける準備しておけと、よく篠田(歩コーチ)さんに言われます。リードができる選手って準備がいいんですよ。もちろん勘とか冴えている人もいるし、なんとなくやっちゃってできている人もいる。でも一番重要なのは準備だと思う。海外の選手で、ミドルを見ていて凄いなと思う時って、ブロックもそうですけど、準備だと思う。そういう選手になるためにも、今良い環境があるので、しっかり身に着けて、ここだけじゃなくて東レに帰った後のことも考えてやらないと、戻っても当たり前に席が空いているわけじゃないので、ここにいながらも常に東レのことを考えてやるのは大変ですけど、やらないと生き残っていけない。

 

――ここで選ばれるとなると、どうしても東京五輪が見えてきます。

伏見:そうですね。急になんというか、ここまで4年間かすりもしなかったんですが、誰も予想していなかったと思うんですけど、急にここに出てきてポンと出てきた。あと気が付けば2年しかない状況で。僕の計画では2020年に滑り込みで入ればいいと思っていた。本当に思っていた。今じゃなくていい。2020年3月か4月までに結果を出して、滑り込みで入れば十分だと思っていた。諦めたわけではなくて、もうちょっと時間が必要と思ってやってきた。

 

――ありがとうございました。

 

(写真撮影時、手に持っていたシューズのサイズについて聞いた)

伏見:足のサイズは31センチです。でも佐藤くんは35センチですからね。本当にびっくりしました(笑い)。本人に聞いたらアメリカで作ってもらっているらしいです。僕?作ってないです。売っているんで。

 

伏見は5~6月にかけて開催された国際大会・ネーションズリーグ(VNL)にも選ばれた。東レからは、李博や高橋健太郎が選ばれており、異例の同チーム同ポジション3人が代表入り。東レだけでなく、代表でも同じ顔触れとポジション争いをする羽目になっていた。

李や高橋と比べて、出場機会が少なかったものの、フランス、ブラジル、ロシアといった強豪国との試合を経験した。特にロシアとの試合では同じミドルブロッカーで世界最高峰の選手であるムセルスキーとマッチアップ。鍛えてレベルアップしたはずのブロックだったが、幾度となく打ち抜かれ「これが世界のトップ基準だなと痛感させられた」とレベルアップを誓った。

また、ブラジル戦では、ルーカスとマッチアップ。7月29日の日韓親善試合の後、その時の感想を聞くと、次のように答えてくれた。

「その時、腰をケガして、結局1セット終わったくらいで動けなくなって交代したのですが、ブラジルは第1セットの間はフルメンバーできたから、ルーカス選手とはマッチアップしました。ルーカス選手にお得意のCクイックを打たれてかちこまれたんで、ちょっと嬉しかったです。嬉しかったという言い方は悪いですが、いつもテレビで見ていたあの攻撃を、間近で見ても迫力がある、凄いものだなと。(一緒に試合して)刺激を受けました。もともとクイックは苦手ですが、その中でもCクイックというのがすごく苦手で、それを得意としているルーカス選手というのは、永久的に僕の憧れというか。(試合後に話したのですか?)いえいえ、そんな恐れ多くて、憧れのままで。また、同じコートというかネットを挟んで戦えるようにできればいいですね」

この4年間の苦闘で、伏見は再び日本代表に戻ってこられた。決して代表で出番に恵まれているわけでもない。ただ、それらの苦い経験も糧にして、更なる飛躍に繋がるはず。

 

(プロフィール)

伏見大和(ふしみ・やまと)

1991年12月24日、静岡県出身。清水桜が丘高校、順天堂大学と進み、卒業後、2014年に東レアローズに加入。207センチ、113キロ。ミドルブロッカー。

写真・文:大塚淳史

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