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バレーボールマガジン>インタビュー>越境バレーボーラー ブドヴァ(モンテネグロ)今村駿 前編「日本は全てが完璧過ぎる!」

インタビュー

2019-03-21 18:00 追加

越境バレーボーラー ブドヴァ(モンテネグロ)今村駿 前編「日本は全てが完璧過ぎる!」

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――レセプション、サーブのみの練習を1時間くらいやっていましたが、あれは通常ですか?

今村:今日に関しては練習量落とす日だったので、いつもの練習メニューとは全然違います。今日はノージャンプ、6対6をやるわけでもなく、敢えてサーブレセプションとかサーブにフォーカスを置いた中で、あんなに長くやりました。

――サーブ練習だけをあれだけ長くやったことは、他の国でもありますか?

今村:ないですね。今の監督は練習をハードにやるのが好きなんです。

――その練習で今村さんはレセプションを崩したりサービスエースをたくさん取っていましたが、何か他の選手に言われたり、こちらから何か言ったりなど、アドバイスすることは?

今村:有難いことに、「すっごいね!」って言ってもらえるんですよね。と言っても僕、このチームで、ダントツの最年長なんです。次が新しく入った選手で29歳なんですけど、入って1か月くらいなんです。その下が25~6歳で、その下は何歳かな。とりあえず試合に出てる選手が、22歳、21歳、20歳、25~6歳なんで。

――平均年齢で言うと20代前半ですね。

今村:僕がいなければ20代前半ですね。僕より下しかいないし、10代もいるし、(平均年齢)稼いじゃってます、僕が(笑)。

――そういう選手からアドバイスを求められたりはしますか?

今村:たまにいます。僕のやっていることをまねたりします。僕がモンテネグロでプレーする初めての日本人なんで多分、一緒にやってるチームメイトも興味があると思うんですよね。

――他に何か聞かれたりは。

今村:「日本のリーグはどうなの?」とか「30超えてるけど、痛みないの?」「体痛いとこないの?」と聞かれるけど、「昔は痛かったよ、でもこういうことをやってたら、今痛みはないよ」と言うと、「じゃ、おれそれやってみよう」みたいな、感じのコミュニケーションを取ったり、伝えたりしています。

――逆に彼らに質問したり、疑問に思うことはありますか?

今村:ひとつは、結構自分のやりたいようにやることですね。チームのシステムがあって、監督からシチュエーション、システム、ポジショニングについてあれこれ言われますけど、それ以外は、自己アピールを凄くするっていうか、凄いっすよ。日本でやったら自己アピールし過ぎやろ、と言われるかもしれないけど、海外に出てみたらそれが普通です。

――若い選手が多いからかノリがよくて練習でも盛上っていますよね。

今村:だからその分、気持ちの浮き沈みのコントロールがまだ上手じゃないんです。試合中にガタっときたら、ガタガタっといっちゃうし、かといって急に爆発するときもあるし…。そこらへんはもう要観察しながらやらないとだめです。そういうのを見て、例えばスパイクがミスになっても、ミスの仕方がいろいろあるわけじゃないですか。だから何も意図しないでアウトだったら今のは違うんじゃない? って言うけど、明らかにブロックが揃っていて指先を狙ってとか、空いてるコースを思い切り打ってミスしたのなら、今のいい選択だからもう一回、次々とか言います。年齢が若い分、まだコントロールが出来ているわけじゃないので、そこら辺をカバーしないと、チームが上手く回らないのです。

――年齢的に上ということもあって、まとめなきゃいけないという意識もありますか?

今村:まとめなきゃなっていうのはないですけど、結局は結果を出さないと、次に繋がりません。チームがいい結果出せたら、きっと自分もいい仕事してるだろうな。チームが勝つためにやってチームがいい結果出して、それが自分に返ってきて、何かプラスアルファで、例えば次の契約に繋がるとか、そのためだったらなんでもやります。今できなくてもいいんです。だってその人と僕のバレーボールの過ごし方も年齢も育った環境も違うから。どの世界でもすぐできる人もいればできない人もいるし、それをその場で言ったところですぐできるわけではないんです。

――声をかけているうちに変わっていきますか?

今村:変わってきますよ! 僕の今いるチームは若い選手も多いんで、最初は「めちゃくちゃ下手くそだな」っていう印象を持っていた選手も、シーズン過ごしていく中ですごく成長するんですよ。だから、スタートした時期と、後半のプレーオフに賭けたチームの成熟度は全然違うし、チームの形にもなってきています。僕自身もその国のポジティブなワードとか自分が使えるようなワードだったら、単語でもいいから口に出して一緒に盛上がったりもします。

――監督からはどんな指示が出ますか?

今村:基本的には何でもトライしなさいと言います。トライしたことはオッケー。ただ選択肢として間違っていたとか、この選手が助走の準備が十分取れてないからトスはちょっと高く上げてねとか、単発で言われることはあります。あとは状況を見てアドバイスされます。

――モンテネグロのバレーボールを一言でいうと?

今村:僕の所属しているチームに関していえば、豪快ですよね。豪快っていうのはその、正直スキルがある選手がいるかって言ったら、そういうわけではないんです。でも豪快にブロックの上から叩くとか、そういうところです。今は、選手のポテンシャル、アタッカーのポテンシャルを一番出させる空間にセットを供給するみたいな。僕もセッターとしてはアタッカーのポテンシャルが一番発揮できるセットを供給することが仕事だと思っているので、「速いトスを上げたいからあなたそれに合わせてくださいね」っていうのは一人よがりだと思うんですね。今このチームで求められてるのは、そのアタッカーのポテンシャルを最大限引き出させる空間に、セットを供給することだと思うのです。その点では昨シーズンのイスラエルだったら、サイドは速いトス、速いセットの得意な選手が多かったので、それに需要を合わせてやっていたし、ライトのオポジットの選手は速いトスが得意ではないので、そこは需要に合わせていました。スウェーデンはスウェーデンで両サイドは速いテンポを求めていたので、それに需要を合わせていたし、モンテネグロはモンテネグロで、速いトス速いセットでというよりは、アタッカーのポイテンシャルを引き出せる空間にもっていくっていうのが、このチームでは求められてることなのかな、と思います。

――それは誰かに言われたとかではなく、自分で感じてプレーしているんですか?

今村:観察して、このシチュエーションに合わせた自分なりの技術を駆使します。例えばトスの速さで振ってアタッカーが打てなくて点数にならないのであれば、アタッカーが十分打てる体制の状況を作ってアタッカーに勝負させてやる。それをミスするのは若い人たちなんで、(自分の)モチベーションが保てます。だれも文句言うわけじゃないんで有難いです。

後編に続く
取材・文:宮崎治美

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