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インタビュー

2014-08-25 12:12 追加

加藤陽一 地上の星

V2/V3 男子

―次はギリシャのPAOKでしたっけ。確か途中でサラリーが払われなくなってしまったとか。

メインスポンサーが降りて、給料が支払われなくなってしまったんですよ。

ヨーロッパや南米のチームは、ギリシャに限らずこういうことは珍しいケースではない。私自身も、イタリアを含め、給料が支払われないという問題を何度か目の当たりにしたことがある。日本のリーグでプレイしたいと希望する海外の選手は多いが、その大きな理由の一つに、「給料がきちんと支払われる」ことがあるのは間違いないだろう。

ギリシャの選手たちは次のシーズンもあるので、文句を言わずに契約を続けたが、加藤達外国人選手は、何とかして移籍先を探してもらって、加藤の場合は、たまたまフランスのチームが外国人が一人怪我で、その選手に払うお金の残りを加藤に払うから、それで良いんだったらということでフランスに移籍した。

 

PAOKでの加藤

PAOKでの加藤

―フランス、そのあとペルージャ(イタリア)?

フランスとイタリアは国が近いので、トレヴィーゾにいた加藤が、フランスで活躍してるという情報が入ったらしいんです。ベスト8には入りましたし、そういった情報が入ってペルージャが契約してくれました。

―そこで海外生活は一旦終了したんですね。

そうです。もう一度オリンピックを目指したいという気持ちもありましたし、自分のやってきた事を日本のチームに還元したいなという風に思って、社員ではなくプロのバレーボール選手として日本で契約してくれるチームを探す中で、JTサンダーズがプロ選手を受け入れてくれるということで候補に挙がりました。JTサンダーズは広島で伝統あるチームですし、猫田さんの精神だったり考え方に共感するところもあって、広島に移籍することはなんの問題もなく行けそうな気がしました。

ギリシャの時にワールドカップ、ギリシャが終わってフランス終わってペルージャの時にOQT(Olympic Qualification tournament)。

―辛い記憶になると思うんですけども、アテネオリンピックのOQTの時。力はあったチームだとは思うんですけど、オリンピックに手が届かなかったという所で何か思ったところは?

自分がコートに立てなかった、そして、キャプテンが小林さんに代わって、そこは自分が海外でやってきた犠牲というかリスクがそこで出たなと思います。今年キャプテンになった越川優のような若い選手が、高校を卒業してサントリーに入って、自分と同じような思い、「なんとかして上を目指していきたい、高いレベルでやりたい」という気持ちをもった若い選手達がいて、彼らにいろいろ話はしていました。自分がスーパーサブになったことはトレヴィーゾでの経験もありますし、もちろんこういった厳しい試合の中でも試合に出られなかったにしても、アドバイスだったり、メディアに対しての発言だったりというのは自分に注目されるように、そういう事をしていこうと思いました。

―メディア対応もイタリアに行く前と後では変わったなという印象を受けたんですが。

バレーボールに若い選手達を集中させたかったというのもありますし、日の丸を付けて戦う場で負けるということは、どれだけいろんなことを言われるかというのも解っていましたし、そういう事を自分が全部引き受けてフィルターになって若い選手達に伝えると言う事をしようと思ったんですよ。僕自身はプラス思考なので、あんまり変な事言われても次頑張ろうとなりますから、その辺はフィルターになりたいなと思っていました。

―JTでリベロをされてる時ちょこっとお話を聞いたんですけども、リベロになったことは結構びっくりした経験ではなかったですか?

あれはファンの為にリベロになったという感じですね。試合でベンチを温めても、ファンの人たちは高いお金を払って自分を見に来てくれている人もいますから、コートに立つ姿を見たいファンがいるわけでしょう。試合に出ない限りはファンサービスじゃないと思っているので、それは試合に出る喜びも含めてすんなり、本当はリベロの控えはいたんですけど、監督の判断でディフェンス中心のチーム作りをするという感じだったので、自分が3番目の打てないウイングスパイカーとしてコートに入ったのは良い経験にはなりましたね。

全てのポジションを公式戦で経験したという加藤。JTではリベロもつとめた。

全てのポジションを公式戦で経験したという加藤。JTではリベロもつとめた。

 

―海外経験を通して得られた事はたくさんあると思いますが、かいつまんで教えてください。

バレーボールをどう人に見せるか伝えるかという事ですかね。日本では自分が満足したりチームが勝てればそれだけで良いんじゃないかなというところがありますよね。給料も変わらないですし、ファンサービスもそんなにしない。ただ自分達がどういう風に勝っていくかという事を考えればいいんですけど、海外のチームというのはクラブチームでやっていますし、自分達のチームがどういう風に周りから支援されて、どういう風にファンを獲得して、どういう風にチームが潤うかというのを考えながら選手を獲ったり監督を獲ったりしてる中で、ただ単にバレーボールを見せるだけではなくて、人間性だったりとかファンに対する姿勢だったりをすごく周りの人達がみてくれるので、バレーボールに対する価値をどういう風に上げていくかとう事をやっている。そのトッププレイヤーたちが国を代表して世界と戦うので、それはもう勝てないですよね。

もちろんスタート地点がもう違いますし、向いている方向がやはり違うのでそこは少しこれから日本のバレー界も、バレーボールの価値をどう上げていくかという事も考えていければベストだと思います。

―今のお話をうかがって、思い出したのですが、ジバとかニコラ・グルビッチとか、パスクァルとか、世界のトッププレイヤーに取材した時に、余談でどうしてこんな取材に対してきちんとしてくれるの? と聞くと、僕らはプロで、スポンサーがいてチームが成り立っている訳だし、イメージを大事にしなくてはいけない。そういうイメージをアップするのが僕らの仕事のひとつでもあるという事を言っていて、そういう共通認識があるのだなと。

そうですね、注目されないとチームからも外されますし。バレーだけ上手くてもだめなんです。サッカー選手でも野球選手でも変な事をするとすぐ解雇になりますし。ちゃんとした人間性が特にバレーボールには必要だと思いますね。

第2部に続く
第3部

聞き手:中西美雁
写真:Michi Ishijima、中崎武志、Miyuki
編集補助:横幕祐美

*加藤陽一さんの引退記事は、元々リリースの予定がございましたので、リクエストを採用とさせていただきました。

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