全日本バレー、Vリーグ、大学バレー、高校バレーの最新情報をお届けするバレーボールWebマガジン|バレーボールマガジン


バレーボールマガジン>インタビュー>清水邦広「五輪へ行けなくて、バレー界が低迷した。その分僕たちがやれることは、いいバレーボールを見せることしかない」

インタビュー

2017-01-18 17:04 追加

清水邦広「五輪へ行けなくて、バレー界が低迷した。その分僕たちがやれることは、いいバレーボールを見せることしかない」

清水邦広インタビュー

SV男子 / 全日本代表 男子

sJapansKunihiroShimizuafterthematch ――全日本について。OQT(オリンピック世界最終予選)は惨敗でしたが…。

一言でいえば自分の準備不足、力不足があったと思います。

――いつものシーズンよりもリーグも早く終了していましたが、それでも準備不足?

うーん、結果論なのでわからないですけど。W杯は、半年前からずっと海外遠征をして、海外の高さとスピードに慣れて、そこからアジア選手権、ワグナーカップ、イタリア遠征した中で、勝てた試合もありましたし、多少自信があって試合に臨めたのが大きかったですね。OQTは練習試合もしましたけど、うまくいかない。アメリカ遠征でもうまくいかない。不安のまま試合が始まってしまった。合宿中でもフランスと練習試合したんですけど、やられてしまう。自分たちが思っているようなプレイができず、不安のまま試合が始まった部分が大きかったと思います。   sJapanskunihiroshimizulostthegame――柳田選手にも聞いたんですけど、同じこと(準備不足)を言っていました。海外のチームと試合することは大事?

そうですね。日本のリーグで3ヶ月4ヶ月やっていたら、日本のブロックと海外相手では打ち方一つでも違うし、日本だったらタッチアウトになるボールでも、海外選手だったらブロックされてしまったり、高さの部分がすごく大きい。そういうボールをW杯中ずっと打っとかなければいかなかったのに、それを打つと日本のブロックだとアウトになってしまうから、国内に合わせてだんだんた高さが低くなっていって、海外相手の感覚を取り戻すのに時間が必要だったんじゃないかと思います。

――ワールドリーグは海外での試合は全敗。気持ちがきれてしまった?

全体としては気持ちを切らさずにやっていたつもりです。ただ、夜12時に試合があったり、11時に試合があったりで、終わって帰ってくるのが朝の4時とか、そんな環境の中でやっていたので、体力的にもきつかったです。五輪出場を逃したという思いのまま試合に入るっていう、すごく自分にとってもきついシーズンだったんですけど、それでも「若手につなげさせてあげたい」という思いを持って自分たち上の世代はやっていました。

――リオ五輪は見ていましたか?

みんなで見ていたときもあった。本当に素晴らしいプレイが多かったですし、ブラジルが強豪国揃いの予選で苦しんでいて、それでも最後勝ち切るというのは尊敬してみていました。こういうプレイしたいなと思いましたね。劣勢な場面で控えのセッターが入ってきて、絶対決まるだろうっていうツーアタックを拾って、そこから決めて大逆転したりとか、控えの選手が入ったときこそ流れを変えるというのが大きいなと思って見ていました。 OLYMPUS DIGITAL CAMERA ――去年は東京五輪について考えていないといっていましたが、考えは変わりませんか?

考えていないですね、僕自身。4年後を考えるより目先の1年1年を考えていきながらやっていきたいなと思います。

――その先には東京五輪がある?

それは僕が決める事ではなくて、次の監督のプレイスタイルにあった選手が選ばれると思います。自分が行きたいだけで行けるわけじゃない、そんな甘いものじゃない。僕らは一から入れるように頑張るつもりもありますし、そのためには、プレミアリーグで結果を残さない選手が全日本に選ばれることはまずないわけですから、それをひっくるめた中で、自分の持ち味をだして1年1年やっていきたいと思います。   OLYMPUS DIGITAL CAMERA

――全日本でも、かつての荻野選手のようにベテランが必要だと思いますけど。

先程言ったように、僕たちは出たいと思って出られるわけじゃないので、選手はみんな全日本選手になりたい、五輪に出たいとバレーボールをやっている以上みんな思っている。その中で選ばれるためには、4年後1番いい選手が選ばれていくべきであって、僕たちは過程を大事に戦っていきたいと思います。

――清水さんは今年30歳。かつてセリンジャー監督が吉原知子さんをスカウトするときに「30歳はバレー選手にとってまだベイビーだよ」と言ったエピソードがありますが。

僕は30歳だからベテランとは思ってないし、思いたくもないという思いもあります。自分の中で「おっさんだからゴールが見えてる」と思った時点で、もう人は伸びないと思うんです。若手と同じように「まだまだ伸びる」と思ってプレイしてますし、ここから先も上手くなるためにどうやっていこうと考えながらやっているので、「30歳だからこれだけでいいや」という思いではないです。

イゴール選手なんか36歳であれだけ打数を打って、あれだけチームを引っ張って優勝していますし。36歳であれだけやれるなら、僕なんかはもっとやらなきゃいけないという思いは強いです。国際的に見たら、30歳、35歳で、バリバリ決めてる選手はいる。ブラジルもそうですけど、ヨーロッパでも。日本人だけ「30歳だからもうトシだね」と言われるのはおかしいなと思うので、自分自身は熱意をもって戦っていきたいと思います。

――以前は現在サントリー監督のジルソンさんが憧れと言っていましたが、いまライバルの選手は?

東レのニコ選手にしても高さがない分スピードで勝負して、2段トスでも速くしてコースを打ち分ける技術はすごいですし、イゴール選手も、あれだけハイボールがたくさんあがってくる中でしっかりと奥に打って、シャットされずにスパイクを決めてくる。いろんな選手をみて、自分に足りないものを常に勉強しながらやっていきたいなと思います。

――同期の福澤選手について。ブラジルから帰ってきて変わったことはありますか?

パワーは増えたかなと思います。OQT前の話なんですけど、不安のある中で戦ってた部分もあるので、自信を持ってプレイしないと彼の普段の良さは出てこないと思います。僕自身もそうでしたけど、OQTが終わってパンサーズの練習にはいって、彼自身スピードを求めつつ奥に打つというのを心がけています。スピードがありながらコースに打つと、相手のブロック完成が早くてブロックされてしまったり無理やり打ってアウトにしてしまったりが多くなる。それを彼自身考えながら変わっていって、ブロックでワンタッチとったり、自分の持ち味をもう一回追求して成果を出していると思いますね。

――川村監督就任3年目ですが、そろそろ胴上げをしてあげたい気持ちはありますか?

すごくそれは大きいですね。選手を続けたいと思う中で、監督にならざるをえなかったにも関わらず、まだ優勝ができていない。自分たちが助けていかなければいけないし、結果を出すのは監督ではなく選手なので、一緒にやってきた世代は特に永野さん、白澤さんもそうですし、福澤なんかもその気持ちはすごく大きいと思う。僕自身も、川村さんには勝たせてあげたいという気持ちは大きいです。

――今シーズンの目標を。

優勝はもちろんなんですけど、毎試合するにあたってしっかり過程を大事にしたい。「このチームだったらこういう特徴がある」とデータが出てくると思うので、それをしっかりとはめられるように、違うことが起きたら対策できるように、試合を通す中で、こちら側が何もできずに負けてしまうという試合がないように、1戦1戦戦っていきたいと思います。

――今年はシーズン前に50周年記念イベントで大運動会がありましたね。

男女で一緒に、ファンの方々と混じり合ってやるっていうのは今までで初めてのことでした。ああいう機会が多い方が、バレー界にとってもすごくプラスになることだし、ファンにとってもいいイベントなんじゃないかなと思います。女子しか見てなかった人が、男子選手と触れ合ってみて、「こういう選手を見てみたいな」と思うかもしれないし、男子ファンの人たちが女子選手と触れ合って女子の試合も見てみたいと思うかもしれない。

バレー界を通した中で活性化できるように、いろんなイベントにもっともっと参加したいと思います。バレー界が盛り上がるように、ファンを増やせるように、見てくれる人がもっとバレーに興味を持てるように、いろんな活動をしていかないといけないなと思います。

――スーパリーグ構想について。

難しいですね。僕からしたら何も言うことはないというか、バレーの環境があること自体が僕たちは感謝です。どんなリーグになろうと、やることは変わらないです。ファンを喜ばせることが一番の役割だと思うので、どんな条件であっても一生懸命バレーをして頑張ってやっていこうと思います。

――今のマイブームは何?

マイブーム? マイブーム??

――漫画とか音楽とか。奥様(中島美嘉さん)の音楽が多いですか?

音楽は、やっぱり奥さんのをずっと聴いてますね。知らなかった曲が多い、これもいい、あれもいいと聴いています。 自分が一番癒されるのはお風呂なので、いろんな入浴剤を溜め込んで試すのが唯一の楽しみです。最近水素水の入浴剤がすごく良くて、あればっかり入ってます。水素水を直接入れる機械があるんですが、それはまだやってない。

――オフの日は何をしていますか?

朝起きて、銭湯に行きます。

――え? 自宅にお風呂があるのに?

夜に自宅のお風呂で、3時間くらい入ってます。

――そんなに入ってるの!?

出たり入ったりしてます。漫画を持って入って、それをずっと読みながらお風呂に入って、暑いなと思ったらシャワーして、次にめっちゃ汗かきたいなと思ったらサウナにして、お風呂場を熱くして、めちゃめちゃ汗かきながら漫画読みながら上がって寝ます。 朝7時くらいに起きて、近くの銭湯へいってそこでまたサウナ入るのがすごく楽しみです。

露天風呂があるんですけど、「朝の露天風呂! 今日はオフなのにこんな朝から浸かってる」というのが凄く気持ち良くて、そればっかりやってますね。どんなに眠たくても、朝の7時か8時くらいに起きて朝風呂いきますね。

――私は夜型なので、とてもやれないですね……(笑)。

自分、夜も遅いんですけどね。

――そうなんですか?

帰ってから寝たりしますけど、朝のお風呂は譲れない!

OLYMPUS DIGITAL CAMERA――ファンの皆さんへ。

五輪へ行けなかった分、バレー界が低迷したんじゃないかという思いが強いので、その分僕たちがやれることは、いいバレーボールを見せることしかできない。だから、しっかり結果を求めて、感動する試合、手に汗握る試合、ハラハラどきどきする試合が多くなればなるほど、ファンが見てくれると思うので、バレー界の活性化に繋げられるように、ひとつひとつのプレイを気持ちを込めてやっていきたいと思います。

前編「今季の注目選手は、山内晶大。パナソニックに入って大きく変わった」

聞き手:中西美雁 写真:
黒羽白、FIVB
編集補助:横幕祐美

>> インタビューのページ一覧へ戻る

同じカテゴリの最近の記事

コメント

Sorry, the comment form is closed at this time.

トラックバック