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インタビュー

2016-02-11 18:23 追加

越境バレーボーラー「ブラジルに行って良かったと言われるように」福澤達哉inマリンガ

Others / V1リーグ 男子

――日本の誰かと連絡取っていたりしますか?

パナソニックの結果は毎回チェックしていて、今年入って五連敗しているので大変そうやなと思いつつ、自分の体のコンディションのことで(パナソニックの)トレーナーと相談したりしています。日本じゃ考えられないくらいセルフケアしています。こっちにいるとどんどんどんどん疲れが溜まってきて、それがけがに直結してくるので、家に帰ってから日本から持ってきたロール使ってころころマッサージしたりしています。


試合に向けての準備とか、自分の体に対するこだわりというか注意の仕というのは、こっちに来てだいぶ変わったなとは思いますね。日本にいるときはもうもちろん、トレーニングにしてもケアにしても、どうやったらベストの状況に持っていけるかっていうのを常に考えてやってはいましたけど、この部分はトレーナーに頼ってやってもらおうと環境でいろんなものを選択して組んでいただけなので、いざその今まで自分の体のケア全般を担当してくれていたトレーナーがいなくなったときに、あ、全然自分でコントロールできてないなっていうことをすごくこっちに来て痛感しました。だから毎回そのことあるごとにどういうケアしたらいいですか?とか(日本にいるトレーナーに)相談しています。
それによって今までトレーナーがやってくれていたものを、自分で管理するようになったことで、練習や試合に入るための準備とかバレーボールに向けての入り方というか、アプローチの仕方みたいなのは変わったのではないかなと思います。

――ワールドカップは見られましたか?

こっち来ていたので映像では見てないのですが、結果とかはネットで見ていました。

――どういう風にご覧になりましたか?

日本がすごい勢いで躍進して、バレーボール人気も復活してっていうのは単純に客観的に見て、すごいなっていうのは正直思いました。特に清水がキャプテンマーク付けてチームを引っ張ってやっていたので、ずっと一緒にやってきた選手が、今やキャプテンマーク付けて日本の先頭に立って強豪相手にどんどん立ち向かっていっている、と。あとは、すごいなーと思ったのと同時に自分自身に対する焦りとか、代表選手がこんなに頑張っている中で、じゃあ自分は何をしないといけないのかなとか、あのメンバーにどうやったら僕自身が入っていけるのかなとか、そうことを同時に考えていました。僕自身代表から2年離れているので、そういう意味でもやっぱり、もちろんリオに出たいという思いは強く持っていますし、ロンドンを逃してしまったという責任と後悔と悔しさを常に持ち続けてこの4年間ずっとやってきているので、その中でもう一度そのチャンスを手繰り寄せるために、今自分に何ができるのかっていうのを常に考えてやっています。

――リオの舞台になる会場でワールドリーグファイナルをご覧になられたそうですが、どうでしたか?

僕が18歳でワールドリーグに出たときに、最初に行った海外がブラジルなのですよ。マラカナンジーニョでブラジルのチームと試合して。その当時2005年、ブラジルがアテネで金を獲り黄金期だったので、その時から僕自身ブラジルに対する憧れというのを常に持っていました。今回ワールドリーグのファイナルでブラジルが負けちゃったので、ブラジルのホームの雰囲気を僕も見ることができなかったのですが。でも、その会場で試合を見たときにやっぱりすごいなと思ったのが、ブラジルじゃなくても、ブラジルを破った相手に対してブーイングしているんですよ。それこそセルビアの選手をすごく応援したりするのです。その辺の熱の入り方はブラジル特有のものがあるなと思います。バレーってブラジルのチームが世界ランク一位なので、オリンピックに関しては注目されていると思います。こっちの人はスポーツにのめり込み、ホーム&アウェーでもどこのホームに行ってもホームのチームをめっちゃ応援して、相手にはブーイングしたり、いいプレーをしたら素直に反応してくれる。そういう意味では今までのオリンピックとはまた違った雰囲気になるのではないかなとかいう気はしていますね。

――では、オリンピックであそこの場所に立ちたいなっていう気持ちはありますか?

そうですね。でも僕の場合はまず、日の丸を背負うところを勝ち取らないといけないので。自分の現状を客観的に見ても、選考の段階で厳しい状況にいるっていうのは僕自身わかっています。今回ワールドカップでも石川君だったり柳田君だったり、若いいい選手がどんどん成長していて、それで、その若手の勢いと清水とか永野さんとかベテランが上手く合わさってワールドカップでは戦っていたと思います。その中で、自分の持ち味とか、勢いというのをどれだけ監督にアピールできるのかというところになってくると思います。最終的に決めるのは監督やスタッフになってくるのですけど、でも自分自身がこれで代表に向けて勝負するんだっていうものを、覚悟をもってアピールし続けることが、僕にとって一番大事なのかなと思います。柔軟に求められるものに対応してっていうのも大事だと思いますけど、まず単純に、「僕はこういう選手です、どうですか」っていうアピールの仕方しかできないのかなと思いますね。

後発でもしっかりと流れを変えることが求められる/写真:FERNANDO TANAKA

後発でもしっかりと流れを変えることが求められる/写真:FERNANDO TANAKA

――そういった意味では途中から出て、流れを変えてっていうところは求められてくると思うのですけど。

そうですね、すごくいい経験はさせてもらっています。後発でもどんな場面でも、常にコンスタントに自分の良さとか、自分の持ち味というのを発揮できる選手になることが、年齢重ねていくにつれて一番大事になってくることだと思うので、そういうところを意識しながら常にやっています。

――最後にパナソニックのメンバーにメッセージ、伝えたいことをお願いします。

正直、わがままというか…(この挑戦は)僕個人の思いで動いた部分っていうのがあって、それを一度会社とチームと話をしたときに純粋に後押ししてくれたのです。チーム状況が厳しいからちょっと待ってくれとか、行く必要ないだろうとか、そういうことも言われる覚悟で打ち明けてみたのですけど、僕の意見っていうのを尊重してくれて。それはチームの監督スタッフもそうですし、チームメイトも「福澤いなくて大変だけど応援しているからしっかり頑張れよ」っていうのは言ってくれました。清水なんかもそうでした。 今リーグで、直接彼と連絡取る機会ってあんまりないんですけど、なんか僕も少し控えていて(笑)。

――さみしくなるからですか(笑)?

そういう意味じゃなくて。僕が(パナソニックの)トレーナーとケアのことプラスチームの話を聞いたりするとき、「清水もワールドカップから連戦で戦ってきて、だんだん疲れてきているんじゃないですかね?」って話したら、トレーナーが清水に「(僕が)おまえ疲れてるんじゃないかって言ってたぞ」と言ったそうです。そうしたらあいつも「人のこと心配している暇あったらお前ががんばれ」って言ったみたいで。やっぱり考えていることは一緒で、正直気にはなりますけど、僕も覚悟を背負ってこっちに来て何かをつかんで帰らないといけないっていう強い思いがあり、自分の今の状況で客観的に「まぁ頑張れよ」っていう状況でもないので、それはやっぱり、向こうの選手もそう思っているやろうし、僕もそう思っているし。だからあんまり選手とは連絡取ってないのですよね。「あいつどうなん?」とか、向こうの選手もトレーナー伝いでみんな、「試合出てんのか?」とか「調子どうなん?」とか気にはしていると聞きますけど、それが例えば清水からメールが来るかっていうとそうではなくて、そういうところは理解してくれてるのだと思います。

だから全面的にバックアップしてくれたチームメイトや会社やスタッフのいろんな期待や思いを背負ってきているので、家族もそうですし僕一人での挑戦ではなくて、今このタイミングでこっちに出してくれたっていう思いを大事にして、毎日全力でその期待に応えるように、少しでもいい結果が出せるように、帰ってからブラジル行ってよかったなって思ってもらえるように、成長して帰ることが、最大の恩返しだと思っています。チームメイト、パンサーズに関しては本当に感謝しています。

――ファンの方にもメッセージをお願いします。

ブラジル来るのを機会にインスタグラムを始めました。少しでもブラジルの雰囲気とかを伝えたり、ファンの方とダイレクトにコミュニケーション取れるような場所っていうのを作った方がいいなと思ったからです。僕はそれまでSNSとかツイッターとかやってなかったんですけど、初めてやっていろんな方がコメントをしてくれました。「福澤さん帰るのをずっと待ってます」「ブラジルでしっかり頑張ってください」「また日の丸背負って戦ってるとこみたいです」とかそういう温かいメッセージをたくさんいただきました。それを見て今までももちろんファンの方に対する感謝の気持ちとか、応援してくれている熱心なファンの方にすごくありがたいなと思ってはいましたけど、こっちに来て単身でこう苦しい戦いをずっと強いられている中でそういうファンの方の励ましの声とか、これだけ日本で待ってくれている人がいるんだとか、これだけブラジルと離れていても応援してくれている人がいるんだっていうのは、それで今までにないくらいダイレクトに感じることができて、そういう応援とか励ましは僕の力になります。帰った時に、そのファンの方々にも海外行って成長して帰ってきたなって、いいプレーになって帰ってきたなって思ってもらいたいなっていう気持ちがあるので、本当に感謝していますね。

*** I gave my uniform for my excellent friends. They loved it. #Japan#Brazil#uniform#panasonic#panthers#bestfriends

Tatsuya Fukuzawa1️⃣5️⃣さん(@1tatsu5)が投稿した写真 –


――そこからもらえるパワーっていうのは大きいですか。

そうですね! することないので正直、こまめにチェックしたりします。

コメントとかも全部見ています。

すごく有難いなあと思います。

 

(1月29日インタビュー)

聞き手:宮﨑治美

写真:FERNANDO TANAKA

 

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