全日本バレー、Vリーグ、大学バレー、高校バレーの最新情報をお届けするバレーボールWebマガジン|バレーボールマガジン


バレーボールマガジン>インタビュー>JTの若き守護神・井上航「気がつけばそこにいる」後編 秘密はまさかのヤマカン?

インタビュー

2018-01-04 10:00 追加

JTの若き守護神・井上航「気がつけばそこにいる」後編 秘密はまさかのヤマカン?

V1リーグ 男子

理想のリベロ像はサントリー・酒井大祐

酒井とネットを挟んでプレー

——理想のリベロ像ってあるんですか?

井上:酒井(大祐、現サントリーサンバーズ所属、前JT)さんがずっと憧れで、深津さんと話した時に「酒井さんは周りを動かすことができる、ブロックのことにしても、今こうなっているよとか、ブロッカーを動かして、自分を取りやすくして、チームも全体も動かすことができる。そういうリベロだからあれだけ長く(現役で)できる」という話をしてくれたんです。ただ単にレシーブがうまいだけじゃなくて、チームのことを考えて、チームを動かすリベロということとか話されて、本当にその通りだし、プレーが上手いのはもちろんですけど、ムードを変えたりとかもできるようになりたいです。

——本能でプレーするスタイルと、酒井さんのそのプレースタイルって真逆ですよね(笑)

井上:そうですね(笑)。僕は枠にハマっちゃったらダメなんで、自分のそういったところを出しつつ、チームを勝たせられる存在というか、チームの全体を動かすことができて、精神的にも支えられるようにしてきたい。それが理想ですね。

——今シーズンの今後に向けての意気込みを。

井上:チームとして本当に厳しい戦いが待っていると思うんですけど、まずは気持ちだけは落とさずに。昨シーズンは入れ替え戦も経験しているんで、いってみれば挑戦者の立場で失うものはなにもない。向かっていくという気持ちを前面に出していきます。個人的にはチームの勝利に貢献するというのと、新人なので元気いっぱいなプレーを出していきたい。

子供の頃から見て来たJTに誇り

——ちなみに代表への意欲というのはありますか?2020年に東京五輪がありますが。

井上:そこは別に。興味が無いわけでは無いですけど。僕はずっと小さい頃からこのチームを見てきて、JTサンダーズというチームを自分自身誇りに思ってます。このチームで優勝するというのが僕の目標なんです。このチームで結果を出すことしか考えてないですね。

——子供時代に覚えている選手は?

井上:町野(仁志)さんとかは確か小学校の時とか見たことあります。酒井さんもそうですし、あとはサベリエフ*とか。
(*イリア・サベリエフ、元ロシア代表のウィングスパイカー。2000年〜05年にJTに所属。在籍中にJTをリーグ準優勝3度、黒鷲旗優勝に2度導く)

——サベリエフ懐かしい! いましたね!

井上:臺(うてな)さん(現:臺光章副部長)もセッターでやられていて、そういった小さい時からJTを見てきたので。

——ということは、代表よりはまずJTでってことですね。

井上:本当いっぱいいっぱいなんで。精神的にも追い詰められてるし、そんな余裕はないです(笑)。このチームで優勝するのが目標で、そうした中で今後結果が出てくれば、そういったところにも見てもらえるとは思いますが。まずはJTで優勝したいです。

——個人的にはアタックラインからBとかトス上げる姿を見たい様な…。

井上:多分ないですね(笑)

——ちなみに、休みの時はどう過ごされてるんですか?

井上:同期のロジャーズ海と、ほぼほぼ行動を共にして、あとは金子(聖輝)とか。ロードバイクを持っているので、自転車に乗って市内の映画館とか飯食いに行ったりとかしています。この前、原爆ドームの近くをロジャーズと自転車でポーッと行って、近くのカフェに入ると監督とコーチがいてて「こっち来いよ」となって、ロジャーズと4人でお茶しました。ロジャーズが英語を話せるんで、ロジャーズを通して会話しました。「今の時代英語ができないとだめだよ」と言われました(笑)。

——英語の勉強ですか(笑)。今日はありがとうございました。
(チーム関係者が、ここで「まずは英語の勉強やな!一緒に会社の英語教室に行こうよ」とツッコミ)
井上:それはいいんですよ!(笑)

取材から3日後の11月26日、JTはサントリーサンバーズと対戦した。サントリーサンバーズには、前JT所属で、井上の憧れの選手でもあるリベロ・酒井大祐がプレーする。この日のJTとの試合で酒井はVリーグ男子大会の通算出場セット数の新記録を達成した。試合後のチーム記者会見に登場した酒井に、相手コートの若き守護神についての感想を聞くと、「すごい上手だと思いますし、大学の後輩でもあります。彼もこれからの選手ですから、あまり褒めてもね(笑)大学時代からプレーを知っていますが、ディグが長けているので、ヴィスコ(JT・ヴコビッチ監督)から求めていることを実践していると思います」と丁寧に答えてくれた。
フルセット出場していた井上だが、12月4日の試合では唐川大志と交代しながらとなり連続フルセットは途切れた。また、10日の試合や、天皇杯でも唐川がリベロとして出場し、ディグで大活躍を見せている。チーム関係者によると、井上は肘の怪我による欠場とのことだった。ここまである意味順調に来ていただけに、井上がJTに入ってから初めてぶつかった壁になるかもしれない。怪我が治り、再び正リベロの座を取り戻すのか、年明け後のリーグ再開が楽しみでもある。
もし井上が復帰した際には、ぜひ井上のさりげないオーバーハンドパスにも注目してほしい。

井上航(いのうえ・わたる)
1994年7月5日、広島県広島市出身。ポジションはリベロ。小学校からバレーを始め、城南中学、崇徳高校、東海大学でプレー。東海大学時代にはリベロ賞を数度獲得。2016・17シーズンに内定選手としてJTサンダーズに加入した。2017年の黒鷲旗全日本男女選抜バレーボール大会では、リベロとしてJTを優勝に導く活躍し、若鷲賞とベストリベロ賞を受賞した。170センチ、65キロ。

文責:大塚淳史

>> インタビューのページ一覧へ戻る

同じカテゴリの最近の記事

コメント

Sorry, the comment form is closed at this time.

トラックバック