2020-05-06 15:25 追加
越境バレーボーラー古賀太一郎(ポーランド)「監督やキャプテンの途中変更など、今季はいろいろなことがありました」
Others / 全日本代表 男子
――いよいよオリンピックイヤーですが、今年の日本代表での意気込みをお聞かせください。
古賀:やっぱりこのポーランドリーグの反省を活かさないといけないと思います。というのも、すごく状況が被っていて。クラブでは去年よかったけど、今年ダメ。代表では去年のワールドカップはよくって、じゃあ今年はどう?ってまだクエスチョンマークです。クラブと同じようにそこからスタートするわけですから、去年のイメージを持ったまま入るのが一番よくないと思っています。もう1回自分のパンツのひもをグッと締めるのがやっぱりチームとして大事で、そういうのは経験した人が伝えるべきだと思います。もちろんベテランの人とかはそういうのはもう経験しているだろうから、そのつもりで合宿に臨むでしょうけど、世代が上から下までいるので、その中で去年より上の結果を出すためにもう1回そういうところを、甘くなるようなミスとかについてもう1回お互いに厳しくやっていくことが大事です。そうしないと、また今年の自分のクラブチームと被るところが出てきてしまうから。同じ轍は踏まないように、最初の合流からやっていきたいなと思います。
――このクラブシーズン中にも他の日本代表選手と連絡を取ったりしていますか。
古賀:LINEで、福澤さん、石川、柳田のグループがあって。そこでやり取りはしています。いつも住んでいるカトヴィツェから体育館のあるザビエルチェまで車で40分かかるので、その間に電話かけたりしているんですよ。話すのが好きだし、ちょくちょく電話はします。時差があるので日本にかけるわけにはいかないじゃないですか。だからけっこう頻繁に電話したりはします。
――電話ではどんなことを話しますか。
古賀:もうバレーの話ばっかりですね(笑)。最近だと移籍とかの話にもなります。
――古賀さんの移籍事情はどうですか。
古賀:今はノーアイデアです(笑)。どうしようかなと。でもザビエルチェはもうないかなと思います。というのは、本当にチームを強くしようとしたら外国人のリベロというのはけっこうきついと思うからです。だから、今年3年目で、プレジデントはそこら辺も計算して来年以降のチーム作りになると思うから。まあたぶんないかなと。
――ポーランドリーグでも上位チームのリベロは皆ポーランド人ですからね。
古賀:外国人のリベロはペリー(レソヴィア・ジェシュフ、オーストラリア)とダスティン(・ワッテン、カトヴィツェ、アメリカ)ですね。ペリーも外国人枠の関係で去年なんて50%くらいしか試合に出ていませんね。
――個人的にはロシアリーグのほうがリベロに外国人を使っているイメージがあります(※ロシアリーグでは外国人選手は7人中2人までプレーできる)。
古賀:ロシアは今けっこう使っていますね。ケルミネ(ケメロヴォ、フィンランド)、サルパロフ(スグルト、ブルガリア)、ショージ(ノヴィ・ウレンゴイ、アメリカ)。イタリアも3人くらいいますよね(※セリエAの外国人リベロは、グレベニコフ(トレント、フランス)、ダナーニ(パドヴァ、スペイン)、コヴァチッチ(ラヴェンナ、スロヴェニア)の3人)。まあでもチームを探すのは僕の仕事じゃないですから(笑)。あとはマネージャーにまかせます。
――今ポーランド2部リーグのルブリンでプレーしている同じ日本人リベロの高橋頌選手についてはご存じですか。
古賀:知っていますよ。彼から連絡が来て、こっちに来たらメシ行こうって言ったんですが、日程があわなくてまだ会えてはないです。ただすごいビッグチャンス掴んでいますからね。強運の持ち主だから、ここ来た時に拝んどこうかなと(笑)。そうそういないですよ。だってシーズン初めはモンゴルでやって、ブルガリアに練習生で行って、それで今ポーランドにいるんだから。そんな強運の持ち主いないですよ。いや絶対拝んでおいた方がいいですよ(笑)。
――日本ではほとんど無名だった高橋選手でも、ポーランドでプレーできている。また今年はドイツリーグでも川口選手(ロッテンブルグ)、渡辺選手(エルトマン)の2人の日本人リベロがプレーしています。以前古賀さんが言われていた「日本のリベロはレベルが高い」という言葉が証明され始めていますね。
古賀:まだ需要はあると思います。だけど、Vリーグの人が外に出るのかとなるとまだ難しいところがありますね。
――最後にこれから海外でプレーしたいという日本人選手に、一言お願いします。
古賀:自分も日本でやっていて、そのあと海外に出たことによってチャンスが広がりました。自分の考えでは、環境が人を作ると思っています。今の環境でくすぶっている選手とか納得いってない選手で、やっぱり何か変えたいと思ったり、自分の可能性を信じている選手がいるのであれば、海外はそれに適した場所です。もちろん、ひとえに海外といってもレベルや環境の違いはあります。でも上を目指せば、自分のベストを出せる環境というのが絶対海外にはあります。今の環境でくすぶっていると思うなら、一歩大きく踏み出してほしい。僕がここまで歩んできた道というのもひとつあるから、参考にしてもらってもいいですし。もちろん日本にいても海外にいてもやることは一緒なんですが、だけどやっぱり環境が変わることによる成長の伸び率というのは全然違うと思うので、リスクを負ってでも挑戦する価値は海外にはあるかなと思います。
――ありがとうございました。
(5月4日追加取材)
オリンピックが延期になり、気持ちの切り替えは難しいことでしたが、無駄な時間というのを最小限にするために、考え方や物事の捉え方にかなり注意深くするようにし、今は前向きにオリンピックに向けて準備ができている状況です。
取材:堤敏樹
●プロフィール
古賀太一郎(こがたいちろう)
生年月日:1989年10月4日 出身地:長崎県佐世保市
身長:170cm/体重:70kg 血液型:A型
所属:ザビエルチェ(ウルフドッグス名古屋)
愛称:リトル ポジション:リベロ
指高:212cm 利き手:右 スパイク:300cm ブロック:300cm
兄の幸一郎と同じ豊田合成トレフェルサに入社。2015年にフィンランドリーグに留学。翌年フランスリーグ、更にその翌年にポーランドリーグへとステップアップ。2013年に代表初選出。2018年世界選手権、2019年ワールドカップに出場。
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