2013-11-17 02:19 追加
Evidence-based Volleyball事始め 第6回 アイデア募集
第6回 サーブ効果率 -最も数学的な指標のエビデンス-
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第6回 サーブ効果率 -最も数学的な指標のエビデンス-
はじめに
ご無沙汰しております。前回より少々間が空いてしまいましたので、今回より心機一転テーマを変えてみようかと思います。
前回までのテーマである「アタック決定されない率」ですが、一応前回までのデータで、それなりに使えそうであることを示したと思います。というわけで、他の皆さんにも使ってはいただけないかとお願いしたいと思います。そして、できたら使ってみた感想などを教えて下さい。そうした感想が元になってさらに発展させることができるのではないかと思います。
データ分析に完成はなく、常に発展・改善の可能性がありますので、「アタック決定されない率」については、そうした発展・改善を視野に入れた運用に入ってもよいのではないかと思います。
サーブ効果率
さて、今回のテーマの「サーブ効果率」ですが、副題に“最も数学的な”とつけたように、バレーボールの様々な指標の中でも少々異色の存在です。このサーブ効果率の計算式を以下に示します。
サーブ効果率 = {(100 × ノータッチエース + 80 × サービスエース + 25 × 効果)} ÷ 打数
この計算式の、ノータッチエース、サービスエース、効果にそれぞれ係数がかけられているのは、他の指標にはない要素です。
こうした計算方法によって導かれるサーブ効果率は、以下のような意味を持っているといえます。
サーブにとって重要なことは
・ノータッチエース
・サービスエース
・効果
の3つの要素であるということです。さらに、
サーブ効果1本に対して、
・ノータッチエースは100 ÷ 25 = “4”倍の価値がある
・サービスエースは80 ÷ 25 = “3.2”倍の価値がある
という意味も持ちます。係数を設定することは、要素間の価値を設定することになります。
なるほどそういうものか、とは思うのですが、今回のテーマはこうした価値の設定の妥当性について考えることです。
“いったいこうした価値の設定は、どのような根拠(エビデンス)でなされたのだろうか?”
“こうした価値の設定に妥当性はあるのだろうか?”
ということを考えていくのが今回のテーマです。
ソースはどこに?
このような価値設定の妥当性を考えていくためには、サーブ効果率を制定するにあたっての資料をあたるのが定石です。というわけでこの資料を探したのですが、どうにもこうにも見つからないわけです。
これはあまり良い状態ではありません。サーブ効果率という指標がどうやって成立したのか、そしてこの価値設定が妥当なものであったかどうかが確認できないからです。
つまり、現状ではサーブ効果率のエビデンスは存在しないということになるわけです。もしくは、あるのかもしれないけれど、確認することが難しい状態です。根拠のないまま運用されているという状態は改善しなくてはならないでしょう。
そこで、エビデンスのはっきりしないサーブ効果率について、この場をかりて改めて構築していこうというのが、今回サーブ効果率を取り上げた理由です。
まずはアイデアの練り直し
どうせやるなら、一からやってみようということで、係数による価値の設定の前に、
そもそもサーブにおいて重要なのは、ノータッチエース、サービスエース、効果の3つの要素だけなのだろうか?
というところから考えてみたいと思います。この3つに限る理由はどこにもないからです。自分なりにこうではないかと思うところはあり、分析のプランもあるのですが、まずはこれを読んでくださっている皆さんからもアイデアを募集してみたいと思います。
皆さんもEBV(Evidence-based Volleyball)に参加してみませんか?
「いや分析なんてちょっと……。」と思われる方も多いかと思います。EBVをやっていく上で、統計解析はどうしてもハードルとなってしまいます。しかし、この計算するという面倒な役どころを他の人にまかせて、
“そもそもサーブにとって重要なものってなんだろう?”
と考えることは誰にでもできるはずです。バレーボールの競技歴も観戦歴も問いません。「いや違うだろう」と思うようなことでもまずはアイデアとしてあげることが重要です。競技人口が多い競技のほうが優秀な選手が表れやすいように、EBVにおいてもまずはたくさんアイデアを集めてやることが、有用な情報を引き出す近道となります。
ご意見お待ちしています!といいたいところだったのですが、折り悪くコメント機能が使えなくなってしまっています。どうしたものかと考えて、そういえば以前twitterでEBV用に作ったタグ(#eb_volleyball)があるので、ここ宛てにツイッターでつぶやいていただくか、VBWサイトのお問い合わせフォームhttp://vbw.jp/contact/でご意見をいただければと思います。議論の場としてこうしたらどうかという良いアイデアも募集しております。
バレーボールに対して、“考えながら参加する”という楽しみ方があっても良いのではないでしょうか。
次回は、いただいたアイデアをまとめながら分析の指針を立てていこうと思います。
文責:佐藤文彦
「バレーボールのデータを分析するブログ」http://www.plus-blog.sportsnavi.com/vvvvolleyball/ の管理人
バレーボール以外にも、野球のデータ分析を行う合同会社DELTA にアナリストとして参加し、「プロ野球を統計学と客観分析で考えるセイバーメトリクス・リポート」や、「セイバーメトリクス・マガジン」に寄稿している。
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