2026-10-04 20:29 追加
群馬グリーンウイングス・松浦未波さん「3月16日、あの勝利でチームが変わった」 主将として掴んだSV初勝利
群馬グリーンウイングス・松浦未波さんインタビュー
SV女子
バレーボール選手には必ず引退の時が来る。
群馬グリーンウイングスでセッターとして活躍した松浦未波さんも、昨季現役生活を終えた。
現在は群馬のスタッフとして活躍中だ。

新シーズンの開幕を目前に、松浦さんの軌跡と群馬のターニングポイントについて話したい。
群馬、そして松浦さんにとって忘れられないのが2025年3月16日のSV初勝利だった。
■初めてのトップカテゴリー、そして主将に

松浦さんは福井県坂井市出身、1992年生まれ。
八王子実践からKUROBEアクアフェアリーズ、東京サンビームズを経て、2023年に群馬へ。一度引退したあとの復帰で、2024-25シーズン、SVリーグ参戦初年度のキャプテンを任された。
在籍時のKUROBEは2部であり、2024-25シーズンは本人にとっても初めてのトップカテゴリーだった。
「自分たちはどのくらい強いんだろう」
開幕前はワクワクしていた。
しかし、試合を重ねても勝てない時期が続いた。
苦しかった以上に残ったのは、勝たせられない主将としての無力さと、自分の力不足への落ち込みだった。
自信を失いかけたとき、支えたのは後輩や同じポジションの選手たちだったという。
■3月16日、36試合目の初勝利

シーズンも終わりに近づいた3月16日。群馬グリーンウイングスにとってチームの歴史に残る日が訪れる。
オープンハウスアリーナで挙げた、SV初勝利である。
「あの勝利で、チームも自分のメンタルも変わった。私にとって本当に3月16日でした」
太田市のオープンハウスアリーナ太田で、クインシーズ刈谷に3-0(25-23、25-17、25-19)で勝った。
開幕から35連敗、36試合目のSV初勝利だった。
試合後の記者会見で松浦は主将としてコメントしている。
「絶対に落とさない、拾ってやるという一人ひとりの強い意志がボールに伝わっていた。相手を観察するところも含めて、対応力がついてきている、成長している」
シーズン終了間際ではあったが、殻を破った群馬はその後順調に勝利を重ね、駆け込みでシーズン5勝をあげた。
すでに中堅チームと言える群馬だが、この日がすべての始まりだったといっても過言ではない。
勝利の瞬間、ファンと同じ景色を見れたことが、松浦にとって人生の中でも指折りの幸せな出来事だという。
「勝てなかった時期は本当に苦しかった。勝利の後、感動したよと言ってもらえて、主将をやって本当に良かったと思えた」
群馬の3年は、毎年立場が違った。途中出場の年もあれば、開幕から出た年もある。
最後のシーズンは交代出場が中心で、苦しい時間や流れを変えたい場面に出ることが多かった。時間が短くても、出たときに貢献できればいいと毎日練習した。
「来た当初より成長した」
と、自分の口で言える3年だったという。
■東京サンビームズでセッターとして開花

その前段は東京サンビームズにある。セッターとしての開花はこのチームがあったからこそだった。
サンビームズではアナリスト頼みではなく、選手同士で相手を研究し、自宅で試合映像を何度も見て弱点を突いた。
身長203センチの大型ミドルとして存在感を示した張心穆意(ちょうしんむい)さんからの信頼も絶大だった。
身長160センチの松浦が2メートル越えの張にジャストフィットのトスを送った。
「ムイに上げるのが好きだったし、私は上げやすかった。どこに上げても打ってくれると信じていた」
マークが集まると分かっていても預け、得点源として張を活かした。
普通、パスが乱れ、セットが苦しくなったボールはサイドに配給するのがセオリーである。しかし、松浦は張を常に選択の第1に置いた。
張も松浦のトスを受けたあとは他のトスが物足りなくなった、というほどだった。
そのプレーは群馬でも発揮された。
「私はミドルを使うことが自分の強みだと思って今までやってきたので、それを最後までぶらさずにやってこれたと思っています。最後まで自分は自分でいることができました」
■これからはコートの外から群馬を盛り立てる

群馬のファンは皆さん本当に優しい、と松浦は話す。
そんなファンが試合中はがらりと表情を変え、熱狂的に応援してくれる。それが松浦のモチベーションでもあった。
「(引退は)やっぱりちょっと寂しい気持ちにはなったんですけど、これからまたチームが変わっていくので、私はその後押しができればな、と。チームがより良くなっていけるように、別の場所で力になれればと思っています」
松浦はこれからも群馬でバレーに関わり続ける。
「本当に長い間たくさんの温かいご声援をいただいて、ここまでやってこれたと思っています。
苦しい時も多くあったのですが、ファンのみなさんの声援のおかげで頑張ることができたと心から思っています。
会場で声をかけてくださったりとか、温かいメッセージも読ませていただきました。辛い時にそれを見て、励まされることも何度もありました。
群馬に来て本当に良かった。そう思えるバレーボール人生になりました。皆さんが背中を押してくださったおかげです」
撮影 堀江丈
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