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インタビュー

2026-10-01 09:04 追加

子どもたちが「自分たちで考えるバレー」へ——。バレー経験とITの知識から生まれたバレーボールデータ分析アプリ「バレーアナリスト」開発秘話

バレーボールデータ分析アプリ「バレーアナリスト」開発秘話

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『バレーアナリスト』『バレーアナリストJr.』を開発した清水由紀子さん

バレーボールの現場において、スコアやデータの収集・分析はチームの強さを左右する重要な要素だ。しかし、本格的な分析ソフトは高価格であり、リアルタイム性も求められるため、小中学生のジュニアチームや地域のクラブチーム、部活動にとっては導入のハードルが高いのが現状である。

そうした課題を解決すべく、スポーツ少年団の保護者であり、現役のママさんバレープレーヤーでもあるWEBプログラマー・清水由紀子さんが夫とともに開発したのが、手軽に本格的な分析を行えるバレーボールデータ分析アプリ『バレーアナリスト』『バレーアナリストJr.』だ。

きっかけは「紙と3色ボールペン」からの脱却

清水さん自身、高校時代の3年間をバレーボール部で過ごし、大人になってからも地域のクラブチームや小学校PTAのママさんバレー(9人制)で主にレシーブ専門のセンターとしてプレーを続けている。さらに、中学1年生の娘と小学5年生の息子もスポーツ少年団や部活動でバレーボールに親しんできた、根っからのバレーボールファミリーだ。

アプリ開発の芽が生まれたのは、夫婦で子どものチームに関わるようになってからのことだった。元々競技経験のなかった夫が、子どもの試合を記録しようと紙と3色ボールペンを手に独自スコアを付け始めたことがきっかけとなる。コート上の6人全員の動きを色分けして追うという工夫を凝らしていたものの、目まぐるしく変化する速い試合展開に紙での記録は限界を迎えていた。
「書いているうちに試合が終わっちゃうよ!」という夫の言葉に、「今の時代、紙とペンで記録し続けるのはどうなんだろう?」——清水さんが抱いた素朴な疑問が、アプリ開発への第一歩となった。

清水さん夫妻は大学・大学院で気象分野の人工衛星データ解析を専攻していた理系出身だ。社会人になってからも培ってきたプログラミング、ウェブデザイン等のスキル、そして「スポーツは確率論でありデータが不可欠」というスポーツ経験に由来する視点が融合し、実用的なアプリの開発が進められた。

バレー未経験者ながら小学生チームのコーチを務める夫と小学5年生の長男

数値化がもたらした「冷静で前向きな指導」

アプリを現場に導入したことで、感覚や印象だけでなく、データをもとに振り返れるようになった。子どもたちも指導の意図を理解しやすくなり、スタメンやベンチ入りといった選手起用についても、納得して話し合う手がかりになっているという。

データの活用は、指導者が感情的に怒るのを防ぐ助けにもなる。例えば「何回ミスしているんだ!」と印象で叱る代わりに、「前の1セットでミスは2回だったね」と記録に基づいて伝えれば、具体的な改善点を落ち着いて話し合いやすい。数字は子どもたちにとっても受け止めやすく、指導者と子どもが前向きに振り返るきっかけになる。

その一方で、「データは時に残酷だし、『誰が一番ミスをしたか』を示したいわけではない」という現場の指導者からの要望もあった。そこで、個人データを非表示にしながらチーム全体の統計だけを表示できるモードも実装した。

小学生バレーの試合のチーム別サーブ成績の例

「自分で考え、話し合える子ども」を育てたい

清水さんがアプリを通じて最も子どもたちに体験してほしいと願うのは、大人から指示された通りに動くことではなく、「自分たちでデータを集め、話し合い、考えて動く」プロセスだ。
アプリで記録したデータや実際の試合映像をもとに、「次はどう改善すべきか」を子どもたち自身で議論する。バレーボールの技術向上にとどまらず、スポーツを通じて「論理的に考える力」や「主体性」を養ってほしいという強い思いがある。
小学生でバレーボールを始めた子どもがずっとバレーボールを続けるとは限らない。中学、高校、大学などに進学して、どこかでバレーボールを卒業し、他競技など別の道に進んだとしても、データを見て思考を深めた体験は将来必ず糧になると信じているからだ。

子どもたちが試合の記録を見て振り返り、考えるヒントに

すべてのチームに手軽で本格的なデータ分析を

アプリ機能の特徴のひとつは、「専用の動画配信サーバーを必要としない」構造を実現した点にある。一般的な本格的分析ツールは専用サーバーの運用が必要となるため高額になりがちだが、このアプリはYouTubeや端末内のローカル動画と直接連携して解析できる仕組みを採用した。これにより、大幅なコストダウンを実現している。試合中のリアルタイム動画同期機能こそ割愛しているものの、「試合後にじっくり動画とデータを照らし合わせて分析する」という用途においては、小中高のクラブチームやサークルでも十分に威力を発揮する仕様だ。

小学生向けの「バレーアナリストJr.」からスタートしたアプリだが、現在はリベロやローテーション機能にも対応した「バレーアナリスト」もリリースし、中学生以上のカテゴリーでの利用も着実に広がっている。
トップリーグや実業団だけでなく、地域のクラブチーム、草バレー、大学サークルなど、これまでデータ分析の導入を諦めていたすべてのチームへ。清水さんは、誰でも手軽に導入できるツールの提供を通じて、バレーボール界全体の裾野を広げるお手伝いをしていきたいと将来を見据えている。

テレビや配信などでSVリーグなどプロの試合を見て記録して学ぶという活用方法も

■取材を終えて
「バレーボールを通じて、賢く自分で考えられる子どもを育てたい」という清水さんの言葉には、保護者としての温かい視線と、理系出身者らしい合理的なアプローチが同居していた。データ分析が一部の強豪チームだけのものではなく、誰もが当たり前に活用できる時代へ。清水さんの開発したアプリは、これからのスポーツ指導とチーム運営に新しい風を吹き込んでいきそうだ。

【アプリのご紹介】
バレーボールの試合記録・分析アプリ「バレーアナリスト」シリーズ。小学生向けの「バレーアナリストJr.」と、中学生以上向けの「バレーアナリスト」があり、記録用アプリのほか、データ閲覧用のビューアも用意されています。
各アプリの対象や機能、料金、ダウンロード先は公式サイトのアプリ一覧をご覧ください。

・バレーアナリストJr.(小学生向け)公式サイト・アプリ一覧
・バレーアナリスト(中学生以上向け)公式サイト・アプリ一覧

アプリはiPhone・iPad・Androidスマホ・タブレットに対応している

 

写真・アプリ画像:清水由紀子さん提供
取材:高井みわ

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