――選考の一番の理由で、「心」と挙げていましたが、この12人が例えばVNLの厳しい状況の中で強さやたくましさを感じた部分があれば教えてください。
また、選手たちに選考結果をどのようなシチュエーションでお伝えになったのかっていうことも差し支えなければ教えてください。

中田：私自身も自国開催でのオリンピックを経験したことがないので、どのくらいのプレッシャーがかかって、どういう大会になるのかというのは想像の中でしかわからない部分ではあります。でも、今回のオリンピック前のVNLはどこのチームもチーム練習がほぼできていない状態の中で試合をこなしてるというのは同じ条件だったと思います。

そういう中でも、やはり競り勝つとか、リードされていてもフルセットに持ち込んで勝ち切ったという場面での彼女たちの戦いぶりを見ていて、この東京五輪にかける思いだったりとか、プレッシャーがかかる中で力を発揮しなければいけないという自覚の部分だったり、非常に感じたところがありました。
選考結果については、帰国後、一人ひとりと話しました。17名全員と話す機会を作りました。

――発表の際に涙ぐんでいましたが、どんな思いがめぐっていましたか？　また、この質問は鳥羽（賢二）強化委員長になるかと思いますが、選手たちへのワクチンの接種スケジュールについて教えてください。

中田：この５年間、いいことも悪いことも、本当にいろいろなことがありすぎて…。まして、誰もが予想していなかったコロナウイルスの影響で引退をした選手も含め、その選手たちの東京オリンピックに懸ける思いだったりとか、そういうのも目の当たりに感じていた部分があったので、ちょっと複雑な気持ちになってしまいました。

鳥羽：IOCからいただいたワクチンをJOCから接種していただけるので、できるだけ早く打たせてあげたいということで計画しています。１回目はこれからで、できれば選手村に入る前までに２回目を接種したいと考えております。

――田代選手について、２回目の五輪になりますが、どのような役割を期待していますか？　籾井選手のサポート的な面が大きくなるのでしょうか？　また、五輪初選出の林選手についても期待するポイントを教えてください。

中田：田代に関しては五輪経験者でもありますし、代表歴も長く、籾井が若いだけにもう一人はある程度の経験者を置いておいた方がいいのではないかという判断をしました。VNLでは途中から入る機会が多かったですが、サーブやディグの安定性というところも評価しています。先発でもリリーフでもしっかり役割を果たしてくれる選手だと思っています。
林に関しては、173cmと少し小柄ですが、本当にミスの少ない、計算できる選手で、特につなぎの部分での精度の高さ。つなぎで彼女が失敗したところを私はまだ一度も見たことがないくらい、冷静に状況判断ができる、非常に良い選手だと思っています。今回はリリーフサーバーとして起用しましたが、安定した力を発揮してくれたと思います。

――リベロの小幡選手について。プレー面とチームを盛り上げるという意味でどういうところを期待されていますか？　もう一人、リオに続いての選出になりますが、石井選手に期待することも教えてください。

中田：小幡に関しては、サーブレシーブの安定性というところが一番のポイントになりました。あとはこのチーム、若干おとなしめの選手が多い中で、チームに指示を出せる力だったりとか、若い選手を引っ張る言葉掛けだったりというところが、本当にチームを支えてくれてると感じています。小幡には荒木を支えながら、後ろからどんどんバックアップしていってもらいたいと思います。

また、石井関しては、田代同様、オリンピック経験者でもありますし、特に本人には守備面で頑張ってほしいと話しています。あとは途中から入るリリーフとしても、しっかりと準備をし、それに徹してくれています。ただ、状況によってはスタメンから行く可能性ももちろんあると思うので、コミュニケーションをとって、チームの戦力として頑張ってもらいたいと思います。

写真提供：日本バレーボール協会

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