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会見・コメント

2026-09-07 22:58 追加

「勝つことは、当たり前じゃない」――セッター深津英臣が重圧の先に噛みしめる、バレーボールの真髄と“言葉の重み”

深津英臣 アジア選手権 バーレーン戦コメント

全日本代表 男子

バレーボールアジア選手権の予選ラウンド第2戦。バーレーンに3-0でストレート勝ちを収めた試合後、途中出場でコートに上がり、接戦の第3セットで巧みなトスワークを見せたセッター・深津英臣選手がミックスゾーンに姿を見せた。この大会はロサンゼルス五輪の出場権がかかった大事な大会だ。

第3セットは序盤から終盤にかけてずっと、相手の粘りに遭い1点を争う苦しい展開となる中、深津選手はブレずに攻撃陣へトスを供給し続けた。プレッシャーがかかる局面でみせた度胸と、試合後に見せた噛みしめるような表情――。そこには、数々の修羅場をくぐり抜けてきた司令塔だからこそ知る、バレーボールという競技の奥深さと真摯な向き合い方が凝縮されていた。

「練習してきたことを出すだけ」――難局を打開したトス選択

――第3セット終盤、接戦となった非常に難しい場面で、宮浦選手や髙橋藍選手らアタッカー陣へ素晴らしいトスを集めて見事に展開を打開されました。あの場面での意識を教えてください。

深津: とにかく「練習でやってきたことを出したい」という一心だけでした。ああいう接戦や劣勢の場面であっても、自分たちがやってきたことをとにかくやる。それを出してダメだったとしたら、それはもう仕方がない。そういう割り切った考えで、大事な場面でも迷わずに自信を持ってトスを上げることができました。

練習でできたことでも本番の緊迫した場面ではできなくなってしまうこともある。それを極力なくすために練習をしていますし、ボール1個、1個半でも違うと今の日本の緻密なバレーでは大きな影響が出てしまう。もちろんズレても打ち切ってくれる力のあるアタッカーが揃っていますが、相手のブロックの高さなども関係してきますしね。だから自分はもうとにかく練習通りにアタッカーが求めるトスをあげていくだけです。

「3-0も、勝つことも当たり前じゃない」――司令塔が語る勝利の重み

――第3セットは前回の試合に続き、チーム全体として苦しむ時間が長くなりました。この「第3セットの難しさ」について、セッターとしてはどう捉えていますか?

深津: いや、苦しんでいるという感覚はないですね。どのチームも強いですし、別に3-0で勝つのが当たり前なわけではないですから。3-2で勝つのも当たり前ではない。簡単に言えば『勝つことは当たり前じゃない』ということです。

だからこそ、今日こうして勝ち切れたことが本当に良かったと思います。反省すべき点は反省して、チーム全体で課題を共有しながら、また次の試合に向けて良い準備をしていくだけです。

――最後のトスを宮浦選手ではなく髙橋藍選手にあげたのは?

深津:今日は藍が非常によくあたっていたので、最後は彼に託しました。もちろん色んな選択肢を与えてくれているパサーの選手たちにもとても感謝していますし、僕の思いに応えてしっかりと決めきってくれた藍にもすごく感謝しています。

言葉を噛みしめて語った「たの、しんで、ます…ね」


ミックスゾーンで取材に対応する深津英臣  撮影:中西美雁

――7年ぶりに復帰したA代表で、(ロス五輪がかかる)緊張感のあるアジア選手権の舞台ですが、深津選手ご自身はこの大会を楽しめていらっしゃいますか?

深津: (少し考え込み、言葉の重みを確かめるように……)
「たの、しんで、ます…ね。」

一筋縄ではいかないプレッシャーや、一転して苦しい展開になる瞬間も含めて、このヒリヒリするような戦いそのものを、深津選手は噛みしめるように楽しんでいた。

いくつもの報道陣からの取材に対応し、ミックスゾーンを後にした深津英臣選手。しかし、そのやり取りの中に凝縮されていた言葉の重みは絶大だった。

「楽しんでいますか?」という問いに対して、ただ滑らかに「楽しんでいます」と答えるのではなく、一言一言を確かめるように「たの、しんで、ます…ね」と絞り出した姿が極めて印象的だった。どんな相手であれ勝つことの難しさを知るセッターだからこそ、その苦しいプレッシャーや葛藤すらも受け止め、バレーボールの醍醐味として噛みしめている。

7年ぶりのA代表で迎えた大舞台。深津選手が醸し出す精神的な安定感とコート上での熱量は、アジア制覇を目指す日本代表の大きな推進力となっている。

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