−−そこばかりをフィーチャーして申し訳ないですが、低身長選手というのは、プレイで工夫をしていると思います。自然に意識も変わってくると思います。どういうことに取り組みましたか？

浅野：一番はトスを速くしてもらったので、その分、自分のふりを速くして、相手のブロックが完成する前に打つということを基本に考えてやりました。それでも相手がついてきましたが。自分の場合は、今年チームでも取り組んでたのですが、レシーブとストレート側。アタックは、他の人より高さが無いので、ドカーンとも決められないので、ブロックにあてて相手が取れないところにボールが飛んでいくように打つ様にしています。

−−バックアタックの決定率が高いという印象が強いですが。

浅野：バックアタックはセッター次第ですよね。セッターがどれくらいふってくれるか。あとは1枚半になってさえくれれば、ブロックさえ見えていれば、どこにでも打てますし。元々バックアタックは得意でした。

−−そしてリーグでの活躍を認められて全日本に初選出された訳ですが、どんな気持ちでしたか？　周りの反応はどうでしたか？

浅野：ただただ驚きました。こんな身長低いのに選ばれるんだと。（周りの方は）多分まさかだと思いますね。今までこんなに小さい選手が選ばれたことはなかなか無いと思うので。チームメイトは特に反応は無いですけど、がんばれよ〜みたいな感じでした。親は驚いて、どちらというと喜んでいましたね。うちの親は身長が高く無いので、（親は）全日本入りを諦めていました。

−−少しずつステップアップすることで、意識がどんどん変わってくると思います。たとえば、先ほど「チャレンジに参戦したころはプレミアでやれるとも思ってなかった」と言っていました。この3年で全日本へ上がって、意識の変化はありますか。

浅野：そんなに影響はあんまりないですね。自分が全日本だからといって強いとも思ってないですし。全日本の中で、今の自分の実力が通用するとは思っていないですし。こんなことは全日本の時は言えないですが。もしかしたらワールドリーグについていけるかもしれないので、そういう時に色々と経験して、試合で潰されることもあるかもしれませんけど、そういう経験をして、糧にしたい。ジェイテクトは年上の方が精神的に主体となっているからこそ勝っているところがあるので、自分たち若手が精神的に引っ張っていけるようになれたらなと思います。

−−でも、南部監督が選んだのはそれなりの理由があるはずです。どういった点が評価されたと思いましたか？

浅野：どうなんですかね…、どの辺が評価されたんですかね（笑）　南部監督によく言われるのは「身長が高い選手は抜いて決めようとするところがあって、それが外国人の高いブロック、日本より高いブロックの時にシャットされることが多い」。自分は、プレミアの選手が海外の選手を相手にしている様なもので、ブロックにあててはじく、あんまりかっこよくない決め方ができるから選ばれたのかもしれません。

−−点の取り方を知っていると思われているということですね。

浅野：それはよく言われますね。それは上手いですね。

−−昔でいうと、元全日本の青山繁さんみたいですね。

浅野：あぁ、青山さん。去年までここのマネジャーというか外部コーチだったので。

−−そうでしたね。浅野さんにアタックの指導とかされていたんですか？

浅野：いえいえ、練習とかには全然来られてなかったんで。ただ、自分は愛知大学で東海リーグで青山さんが監督の中京大学と試合していたので、青山さんと交流はありました。

−−あ、なるほど。そうでしたか。

浅野：青山さんから「お前ならプレミアで通用する」と言ってもらっていました。よく褒めてもらっていた（笑）。（敵チームなのに？）はい。大学リーグの優勝争いとか試合の後に「おい、浅野」みたいな感じで話しかけてもらって褒めてもらったイメージがあります。

−−向こうから話しかけてもらうのですか？

浅野：はい。

−−ちなみに、浅野さんの世代とかは知らないかもしらないですが、青山さんは20年前くらいに雑誌の「外国人選手たちに聞くすごいと思った日本人選手」という企画で、一番挙げられていた名前で、当時のVリーグ各チームの外国人選手は世界のトップクラスだったから、私自身は余計に「世界にも認められている青山選手って凄いな」と思った記憶があります。

浅野：レシーブはVリーグで何年連続で表彰されていてすごいというのは聞きますよね。

−−レシーブはもちろん、サーブや、そしてアタックも技術があって上手かった印象を持っています。その雑誌企画内の外国人選手たちのコメントはアタックの評価が高かったですね。バレーをよく知っているというか。

浅野：そうなんですね。ぶっちゃけ、その話を全然知らなかったんで、スパイクまでの評価については知らなかったです。

−−だから青山さんは余計に浅野さんを同タイプに感じていたのか、気にかけていたのかと思いました。ところで、目標にしている選手、意識している選手、尊敬している選手はいましたか？

浅野：まぁ、ないですね。これはずっと言い続けていますけど、プレミアに入るまでプレミアのことを見たことなかったので（笑）　プレミアに入って２年経ってようやく名前を覚えてきたところです。名前言われても誰が誰なのかわからなかったです。

−−そうなんですか（笑）　じゃぁ物怖じしなさそうですね。

浅野：全日本はさすがに知っていましたけど、誰が誰なのか一切知らなかったです。やることにしか興味無かったです。

−−なんでなんですかね？

浅野：基本スポーツは見ないですね。オリンピックの柔道くらい、よく見るのは。あれは「面白いな〜」とよく見てましたが。全日本の試合は、親が見るので、たまにですかね。プレミアはいっさい見たことなかったです。

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